残り１５日　今日は１１月１５日　～星晃さんをご存知ですか？～

ボンネット型特急「こだま型」の父、と言われる方のお話です。

 

幅広い世代の方からお力添えを賜りまして、心よりお礼申し上げます。

クハ４８９－５０１の保存に携わりだして１０年となりましたが、その間様々な方から多くのお話、エピソードを伺って今に至っています。

その中で、星晃（ほし　あきら）さんにまつわるお話は、資料文献に残っていない話として、私にとって忘れられません。

 

このお話は、２０１５年５月、クハ４８９－５０１が３年目の展示を迎え、「ちよだ」のヘッドマークを造って当時の天皇皇后両陛下（現上皇上皇后陛下）の「全国植樹祭」ご行幸に赴いた日の事でした。

生前親交のあったＥさんとおっしゃる方が、たまたま広場にお越しになられました。

こんな日に、私にとって神様のような存在、多くの国鉄型車両を設計された生みの親である星さんのお話が聞けるとは思いませんでした。

 

 

Ｅさんは、星さんが生前、クハ４８９－５０１が北陸の地で保存されると報じられた新聞紙面をご覧になられ、「何とかしてやりたいなぁ」と、仰られたそうです。

星さんがご他界されたのは２０１２年１２月の事。

その２ヶ月ほど前に、当時の小松市長が市議会の場でクハ４８９－５０１保存の為の補正予算審議の質疑資料として初めて公になったのですが、それまで極秘文書だったものを地元新聞社がスクープしたお陰で、生前の星さんのお耳に入れる事が出来たわけで、今でも新聞社には本当に感謝しています。

 

Ｅさんが言付けて下さらなければ、星さんと私、今のクハ４８９－５０１とは現世での結びつきはありませんでした。

植樹祭の日からしばらくして、Ｅさんが生前の星さんの印象やお話の内容を、お手紙にしたためて下さっていますので、この場にて、星さんからのメッセージだと思って載せたいと思いました。

星さんにとってもボンネットは、ステイタスシンボルであったに違いありません。

その星さんにして後悔されていたと言われる事が、２つあったそうです。

一つは、パーラーカーを保存出来なかった事。

クロ１５１は国鉄最上級の個室特別室で、新幹線が無かった時代に快適に移動出来るようにとの居住性に特化され、加えて電話も備わっていて、皇室や大臣クラスもこぞって利用された車両でした。

山陽新幹線全通に際して「あずさ」「あさま」「とき」の増発に転用され、全てクハ１８１に改造されて消滅してしまったのでした。

 

もう一つは、モハ８０系湘南電車の先頭車、クハ８６３００形。

大型２枚窓で、星さんが設計後に大幅な仕様変更が為され、「全金型」と言われました。

国鉄で初めての全金電車、大きな２枚の先頭窓は流線形の最終形態ともいわれました。

電気機関車ＥＦ５８形３５号機以降の流線形が国鉄電化の象徴となった事から前面スタイルが受け継がれましたが、実際に星さんが設計に注力された全金型こそ、国鉄近代化を確立する上で重要だった方針転換でした。

 

クハ４８９－５０１の車内には、国鉄型マニアでも有名な石破茂代議士が地方創生担当大臣時代に書いていただいたサインと、北陸新幹線や秋田新幹線、豪華列車四季島などのデザインで有名な奥山清行氏のサインを展示させていただいていますが、その上に、星晃さんのサイン入り列車種別板が、本当の意味の「サインボード」（＝略してサボ）として掲げられています。

 

どのボンネット型の保存車にもない、ここだけの特別があります。