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パレスチナに唯一残る工場で紡がれる最後の織物の物語を伝えたい

北村記世実(パレスチナ・アマル)

北村記世実(パレスチナ・アマル)

パレスチナに唯一残る工場で紡がれる最後の織物の物語を伝えたい
支援総額
986,000

目標 870,000円

支援者
90人
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2015年03月14日 16:48

【残り7日・達成率94%】あの夏、私はガザにいた④

みなさん、こんにちは。パレスチナ・アマルの北村です。

 

いよいよクラウドファンディングへの挑戦もあと7日になりました。現在、「達成率94%」、85人のサポーターのみなさまから、819,000円のご支援をいただいております。ありがとうございます。

 

先日、ある方から質問されました。

「どうしてそんなにパレスチナなの? しょせんは他人事なのに。なぜそうまで一生懸命になるのかがわからない」

 

私はこう思いました。

「他人事なんかじゃない。パレスチナはすでに私の問題なのに」

 

私がそう思うのは、やはりあの夏が鮮烈すぎたから。元来楽天家で、反省しても後悔しない主義なのですが、「彼」のことはずっと心の奥底に揺らいでいます。

 

なぜ、あの時、写真を撮らなかったのだろう? と…。

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私があの夏、ガザでお世話になっていた一家の隣りの隣りに「彼」は住んでいました。聞くと、「彼」の家はとても裕福で、貧しい一家が困った時に、いつもサポートをしてくれていたそうです。いつか長男さんが学費を払えなくて大学を休学しなければならなくなりそうだった時も、「彼」が援助してくれたそうでした。

 

長男さんと「彼」は親友で、腕を組んで笑いあう姿は兄弟のようでした。私は長男さんに連れられ、「彼」の家にお邪魔しました。

 

金で縁取りされた家具や、あでやかな花が描かれた壷。シャンデリアがきらめき、いかにも高価な調度品に囲まれた応接間に通されました。「彼」はぎょろりとした目で私を値踏みするように見て、早口で長男さんになにかを告げました。大柄で浅黒い顔にぐじゃぐじゃの巻き毛。長男さんと同い年とは思えないぐらい、老けた感じに見えました。

 

「彼」は英語が話せませんでした。なので、始終長男さんとおしゃべりをしていて、私は何のためにここにいるのか、わからなくなりました。けれど、そんなことはここではよくあることで、私は部屋の中を見渡しては、「彼」のお姉さんが出してくれた甘ったるいお茶(シャイ)に口をつけていました。

 

そんな私に、ふと「彼」は顎をつき出し「picture,picture」と写真を撮るまねをしました。どうやら、長男さんと一緒に写真を撮ってほしいみたいでした。持ってきたバッグの中にカメラは入っていたのですが、なんだかその偉そうな物言いに、私は「NO!」と拒みました。

 

意外そうな顔をしたあと、何事もなかったように長男さんとまた話をはじめました。そして、暇そうにしている私に、時折思い出したように顎をつき出し「picture」と催促しました。

 

でも、結局撮らずじまいで「彼」の家をあとにしました。また今度、会った時には撮ってあげても良いかもと、そんな感じでした。

 

それから三日後の夜、空が暗闇に変わる頃、街に銃声が鳴り響きました。

そんなことは日常茶飯事でしたが、その時はなにかが違いました。とても近くて、腹を切り裂くような音に、私はなにかイヤな予感がしました。

 

「どうしたの? なにが起きたの?」

救急車のサイレンの音が向かうのが聞こえました。けれど、それを阻むように銃声が長く尾を引きました。そんなことが二度・三度くり返されました。

 

一家が集まり、みなラジオに耳を傾けました。一様に息をのみ、短く叫び、落胆の色が重く部屋を覆いました。

「どうしたの?」アラビア語がわからないもどかしさに私は身震いしました。「なにがあったの?」

 

長男さんが「彼」が…。と言いました。「彼」がイスラエル兵に撃たれたのだと。とてもひどい怪我をしているのに、救急車が助けに行こうとしても、またイスラエル兵に銃撃されるのだと。

 

救急車に対して攻撃するなんてことは、ジュネーブ条約で禁止されています。

けれど、そんな正論はまったく無意味で、滑稽にさえ思えました。ここで起きていることは、世界は何も知らないし、気にも留めていないようでした。そして私はなにもできない。ちっぽけでまるで意味をなさない存在でした。

 

深いため息と絶望に満ちた貧しいガザの家のなかで、私の居場所はありませんでした。できることといったら、ただ祈ることだけでした。

早く救急車を、早く「彼」がイスラエル兵の敵意から救いだされますように。

 

けれど「彼」が病院に運ばれた時には、すでに手遅れでした。

なぜ「彼」が殺されたのかは、わかりません。友人とふたりイスラエルの入植地近くを、ただ歩いていただけです。一家の3ブロック先のことでした。

 

ひどい夜でした。ひどい絶望の夜でした。

息をするのも苦しく、身を横たえるにも痛みを感じました。

 

どうしてあの時、写真を撮らなかったのだろう?

それが「彼」の最後の写真になったでしょうに。

 

その問いが、いまだに心を去来します。

あんぐりと虚無が口を開け、私を闇にのみこもうとします。

 

それに抗うすべを得るために、私は起業したのかもしれません。

そう。私の「絶望」から、パレスチナ・アマルは生まれたのです。

「アマル」とはアラビア語で「希望」。まさに「アマル」は私にとって希望です。

 

パレスチナを守りたい。

パレスチナの地場産業を守りたい。そのためのプロジェクトです。

 

どうか、ご協力を。最後まで、よろしくお願いいたします。(つづく)

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リターン

3,000

■みなさまからのご支援で完成させるブランドブック(非売品。A5サイズ・約16ページを予定)
■現地の写真家が撮影した写真で作るサンクスカード
■アマル通信(報告書)

支援者
52人
在庫数
制限なし

10,000

3,000円の引換券に加えて、
■現地の女性たちが作ったパレスチナ刺繍の小物製品
*色やデザインはこちらで選ばさせて頂きます。お楽しみに。

支援者
26人
在庫数
74

20,000

3,000円の引換券に加えて、
■パレスチナ写真集「PALESTINE -CHILDREN OF BIL'IN-」
*流通などの問題により、他のパレスチナにちなんだ本になることもございます。予めご了承下さいませ。

支援者
2人
在庫数
8

30,000

3,000円の引換券に加えて、
■カラーの「ラスト・カフィーヤ」1枚
*色柄はこちらで選ばさせていただきます。お楽しみに。

支援者
10人
在庫数
20

50,000

3,000円の引換券に加えて、
■カラーの「ラスト・カフィーヤ」1枚
色柄についてはプロジェクト成立後メールにてご相談させてください

支援者
2人
在庫数
13

100,000

3,000円の引換券に加えて、
■白×黒のパレスチナオリジナル「ラスト・カフィーヤ」1枚
■カラーの「ラスト・カフィーヤ」1枚
色柄についてはプロジェクト成立後メールにてご相談させてください

支援者
1人
在庫数
4

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