以下の文章は、カンボジア在留日本人に向け発行されているフリーペーパー「Phnom」に連載していただいてる掲載記事です。カンボジア伝統医療の現状について、より深く知って頂けると幸いです。

 

高田忠典

 

① クルクメールとの出会い


カンボジアにはクメール王朝時代から伝わる伝統医療があります。国連の世界保健機関(WHO)の推計では、カンボジア国民の76%以上が伝統医療を利用しているというほど、伝統医療は医療サービスの乏しい地域で人々の健康を支えています。
そして代々医療知識を継承し、村人の健康を守りつつ精神的な支えとしての役割を担ってきたのが「クルクメール」と呼ばれる人々です。カンボジア保健省国立伝統医療局は、地方の医療アクセス向上のため、全国の現役クルクメールを対象に短期研修を実施してきました。

 

(伝統医療師研修 課外授業の風景)

 

私がカンボジアに来たのは2009年。伝統医療研修第一期生の入学式に出席しました。平均40歳という(フレッシュではない)熟練のクルクメールたち50名に囲まれ、医師や薬剤師に混じり、講師として鍼灸の授業と併設のモデル治療室での施術を担当しました。


また、学生たちとコミュニケーションがとれてきた頃から、地方の学生の村を訪問してきました。医療アクセスの乏しい地域では、クルクメールが村人たちから厚い信頼を得ていて、同じ治療師としてうらやましく思いました。長い間継承してきた知識で家族や地域の人々の健康管理をおこなう。決して高度な医療を受けられるという環境にはありませんが、自国のアイデンティティーを保持しているという観点においては、なんとも贅沢なことです。


研修を卒業したクルクメール342名は、カンボジア伝統医療師協会(CaTHA)を設立し、情報の収集と正しい伝統医療情報の発信に取り組んでいます。
日本の伝統医療である漢方は、最近ようやく市民権を得た感があります。ここカンボジアではどんな変化が起きているのでしょう。ちょっとレアなカンボジア伝統医療事情と薬草の情報を連載でお伝えしていきます。
 

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