東日本大震災の際の父の行動

2011年、東日本大震災の際には、いわき市各地の学校へ様々な理由で避難される方がいました。ライフラインは止まり、お風呂に入る事さえできない期間が続き、先が見えない不安で悶々とする日々が続いていました。

 

震災後すぐに、福島県理容組合の副理事をしていた父は、自分達の仕事を通してできることはないかと考えすぐに行動。

発起人となり、賛同してくれる協力者（理容師・美容師含めボランティアメンバー）を求め理美容学校等と掛け合い、当店や協力店また学校を利用し、避難所へ声をかけ、無料シャンプーを約1000人に行いました。

大人から子供まで、本当に沢山色々な方がいました。中には、お風呂に入れずにいた赤ちゃんもいた為、シャンプーボールにお湯を貯めて身体を綺麗にしてあげたりもしました。一番衝撃的だったのが、津波にのまれ海水を被ったまま生活をしていた方。頭から塩が噴いてた（乾燥して塩が髪の毛に）のを今でも鮮明に覚えています。

 

 

 

 

約２週間ぶりにシャンプーをしてさっぱりしたことを喜んで下さる方々のあの笑顔は今でも忘れる事が出来ません。

あれから、８年の月日が流れ、あの時がきっかけとなりお客様として来店して下さる方もいらっしゃいます。

 

 

 

※いわき市水道局、東部ガスさんにもご協力していただき、水とガスを確保する事ができました。また移動手段は　株）常磐交通さんがバスを無償で出して下さり、ピストン輸送を行う事で、沢山の避難所を回る事ができました。本当に有難うございます。

ボランティアに参加してくれた同業者、またボランティアスタッフにと食料が大変な中、かき集めた材料でせめて何か食べさせてあげたいとの父の想いから、母と姉が約50人分のサンドイッチを作りました。

みんなで分け合い食べた事。何とも言えない気持ちがこみ上げた事を思い出します。

 

 

フォーカスされる事はないであろう父が、人の為にいごく行動。やってきた証を物語るように、お葬式には、1000人以上の参列者が来て下さり、交通整理をするために警察が出る程でした。

そして、安らかに眠る父と対面し、男泣きをする方々。それを見た時に、凄い人だったのだなと父の生き様を見せてもらった瞬間でもあり、人を介して、今もなお教えられている日々です。

 

家族でゆっくり過ごした時間は、少なかったかもしれませんが、印象に残っているのは常に誰かを癒す笑顔です。これからも、父の背中を感じながら進んでいくのだと思います。