永青文庫の新たな挑戦。文化財修理プロジェクト第1弾｜「黒き猫」他

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本日の新着情報では、修理予定作品のご紹介の2作品目として、重要文化財　松岡映丘「室君」（大正5年（1916））をご紹介します。

室君とは、播磨国の港町・室津（現在の兵庫県たつの市）に集った遊女のこと。五月雨がしとしとと降るなか、屋敷の向こう側に広がる海面が小さく波立ち、室内では遊女たちが各々の時間を過ごしています。映丘は、4人それぞれの着物の色を変えるなど配色を工夫し、人物の顔に能面の雰囲気を取り入れることで、衰退した港町で年齢を重ねる遊女の悲哀を表現しました。第10回文部省美術展覧会（文展）で特選（首席）を獲得した映丘の出世作です。

●松岡映丘（まつおかえいきゅう、1881～1938）

兵庫生まれ。民俗学者・柳田國男（やなぎたくにお）の弟。東京美術学校で寺崎廣業（てらさきこうぎょう）から指導を受け、卒業後は同校の助教授となりました。文展で入選を重ねる一方、大正5年（1916） 吉川霊華（きっかわれいか）、結城素明（ゆうきそめい）、平福百穂（ひらふくひゃくすい）、鏑木清方（かぶらききよかた）と金鈴社（きんれいしゃ）を結成。のち帝国美術院美術展覧会（帝展）で活躍しました。伝統的なやまと絵や有職故実の研究に基づきながらも新たな視点に立ち、近代的なやまと絵の表現を追求しました。

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