1987年、アメリカのカトリック教会から、ランディさんという男性が奉仕活動のためフィリピンへやって来ました。アメリカ人の彼がもっとも衝撃を受けたのが、現地の障害児の就学率の低さだったのです。

 

「フィリピンの学校制度がそこまで劣っているようには見えない。ただ障害児を教育できる施設が不足しているだけだ。だったら解決策は簡単だ、一般学校に障害児たちが通えるようにすればいい」

 

1980年代のアメリカでは、民族の違いや障害の有無など関係なく全ての人をとにかく地域の学校に通わせる統合教育が大流行していたこともあり、ランディさんをはじめとするRBIは、フィリピンでの統合教育促進を決めました。 その後彼はフィリピンにもRBIのオフィスを構え、アメリカの教会からの寄付金の助けもあって、1995年から、フィリピンにおいて統合教育導入を実現させたのです。

 

現在、夏休みの2カ月間を利用して、フィリピンノーマル大学で特別支援教育法の集中授業が行われています。一般学校の先生方がそのクラスを受講すれば、特別支援教育の修士号が取得できるのです。修士号を取った先生は、特別支援教育専門家として、各小学校の支援室のようなところに配属され、障害のある学生が一般のクラスに参加する手助けをします。

 

もうお気づきかと思いますが、このように特別支援教育専門家と呼ばれる先生方は、たった2カ月のトレーニングを受けただけなのです。さらに、小学校の先生方へのトレーニングは実施されていますが、中等教育を担当する先生方へのこのようなトレーニングは、資金不足からまだ実施されていません。

 

したがって、統合教育は初等教育のみで行われ、それ以上進学したい障害学生は、けっきょく首都圏を中心とする特別支援学校に通うか、もしくはサポートなどまったく無しに一般の学校へ通うかの選択肢しかありません。 その結果、多くの障害学生が、小学校以降の進学を諦めることを強いられるのです。

 

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