
支援総額
目標金額 4,000,000円
- 支援者
- 436人
- 募集終了日
- 2022年1月24日
安藤邦廣先生インタビュー #2「茅葺きの歴史=“茅葺き農業”」
昨日より始まりました筑波大学大学院生による、
安藤邦廣先生(筑波大学名誉教授、日本茅葺き文化協会代表理事)へのインタビュー連載の2回目をお届けします!
本日は「茅葺きの歴史=“茅葺き農業”」というテーマでお送りします。
安藤先生のお話から茅葺きの歴史を紐解くと、
茅葺きが屋根だけでなく様々な面で人々の暮らしに影響を与えてきたことがわかります。
それでは第2回「茅葺きの歴史=“茅葺き農業”」です。
お楽しみください!

――茅葺きの歴史について教えてください。
安藤先生 茅葺きの歴史はねやっぱり農業と一体のようなもので、農耕とともに始まると考えていいと思います。
じゃあ、農耕の始まりがいつかっていうとまあ縄文時代だね。日本の農耕が始まるのは約5000年前と言われているよね。
日本の植生は人間が手を付けなければ森林で、草はほとんど生えない。
草は川べりとか水辺とか崖とか、そういうところにわずかにある程度だ。
だけど農耕っていうのは森林を伐採してそこに草を植える訳だ。草の実が農耕だよね。
森林を草原に変えることによって、農耕が始まる訳だ。
また、日本人は草を食糧としてだけでなく、寝床や繊維としても使って暮らしていた。
だからその時に家も草で作るってことが始まったと考えていい。
だから5000年前の焼畑農耕の始まりと共に、屋根を草で葺くっていうことが本格的に日本人の暮らしの基本になっていった、ってことだと思いますね。

(昨年12月 濱田窯敷地での茅刈りの様子)
そして、日本中が全部草原っていうか、森が大幅に後退するのは稲作の導入だ。
それが約3000年前。約2000年前にはもう日本中で米を作るようになってくる。
そうなると稲藁っていうのは非常に大事な資源として、生活の上で畳とか藁ぐつとか全部我々は草の繊維として作るようになった。
だから草の繊維っていうのは非常に有益だったわけ。
縄文時代は30万人しかいなかった日本列島の人口は、当時300万人に増えるし江戸時代には3000万人まで増える訳だ。
草はもちろん燃料にもなるし、当時の衣食住を支えたのは草なんだね。
で、その象徴が茅葺きっていうことだ。面積的にも大きさ的にも最もたくさん使うのは家だから。
だから、茅葺きが日本中に広まっていくのは約2000年前と考えていいでしょうね。
――最近では茅葺きを目にする機会は多くありませんが、昔はよく見られたのでしょうか。
安藤先生 江戸時代はよく見られていたね。稲作が広まっていた当時、米を作るためには必ず草の肥料が必要だったんだよ。
だから茅っていうのはね屋根に葺く材料だけど、じゃあなぜ葦やススキ野原がたくさん日本にあったかって言うと、それは農業の資材を生産する上で農地よりその2倍ぐらい茅場が必要だったからだ。
そして、青いススキとか葦は最も有用な家畜、牛馬の餌だったんだ。
だから、茅は牛馬の飼料、それから屋根に葺く材料、それから最後にその廃材は全部田畑の肥料として使われていた。
そして、今みたいに化学肥料がないから持続的な農業生産のためにはススキのような青草が一番良かった。でも青草だけ使うよりは、一旦屋根に葺いて古い茅を使う方が2回使えるだろう。
同じように、飼料、屋根の材料、肥料の3つに対して茅を用意するとしたら沢山の茅が必要になるでしょう。

(昨年12月 濱田窯敷地での茅刈りの様子)
でも、それを全部最後に肥料ってことにすれば、屋根として茅を使った後に肥料として使う、そして牛馬のフンもこれで利用するとなると、最終的にもともとの3倍が肥料になるわけですよ。
持続的な生産のためには、昔の有機農業だから、土が劣化しないような、動物のフンか草や葉っぱの腐ったものが一番。
茅のようにフカフカとした保水力と微生物がものすごい力を持った土壌ができることによって、作物が持続的に生産できたんで、その最大の仕組みが茅葺き屋根なんだよ。
茅葺き屋根っていうのは、人間の命と暮らしを守る屋根であると同時に最も大事な食糧生産の資源を供給する一つのプロセスだった。
だから茅葺きは屋根のためだけにあるんじゃない。
最終的に食糧を生産するための大量の茅の肥料っていうのを生産するプロセスなんだよ。
茅葺きの屋根の裏って真っ黒じゃないですか。そこにはもう煙とすすがこびりついてて、中が凄い炭化されている。あとそれから表面が雨と紫外線でだいぶこう腐朽してるわけだ。そうするとその状態がこの微生物にとって最高の生息環境になってる訳だから、古い茅葺きを見るともうこれは微生物の宝庫だ。
あらゆる動物がそこで食物連鎖を繰り返して、そこに住んでるハチとか色んな虫とかそれは全部、農地に帰るから農地は素晴らしい生物多様性の宝庫になって、土地としてはこれほど素晴らしい農地はないぐらいの土壌が出来上がる。
これが江戸時代から続いてきた茅葺きと農業。
私はこのことを「茅葺き農業」って言っていいと思う。
茅葺きがエンジンとなってこの炭素と窒素の循環を回してるわけ。
それによって農業を持続することができる。
「土地を肥やして牛馬を肥やす」
「肥やす」っていうのはとてもいい言葉、肥やしになるっていうじゃないですか。
君たちも社会の肥やしだな、社会工学ってそういうものだな、肥やしになる。
ってことはその日本の肥やしの最大のものは茅であり、ススキと葦なんだ、
それを持って屋根を葺くっていうことはその一つ前のプロセスで、それがさらに30年間、いい肥やしになって施される。

(安藤先生のお話を聞く”社会の肥やし” 筑波大学大学院生)
人は数日間胃袋の中にあったものが最終的にその排泄物になりまわりまわって暮らしになる。
茅もそれと同じようなプロセスを取って二度使ってるわけ。
そうしないとやはり効率が良くない。草も今の石油とか化学工業に比べれば効率悪いんだよ。
だけど、二度三度使うことによって効率を上げているということは素晴らしい。
それが知恵だ。
現代、今でもなお見直すべき仕組みだと思うよ。
一見、効率が悪いんだけど、多面的で重層化されてるからそれは素晴らしい。
今、世の中で茅場っていうのは防災的にも土地を保水保持するから、がけ崩れとか土砂災害を防いでることも分かってきたので、そうすると3倍ぐらい効率また上がる訳です。
現代は防災は防災、食糧生産は食糧生産、建築は建築、ばらばらに予算付けて無駄なことやってるけど、一つを3回使ってそういうことができる、
まあ茅葺きの知恵から学べるっていうことの一つだよね。
(次回以降につづく)
いかがだったでしょうか。
茅葺きの果たしてきた役割の大きさを、今回話を伺う中でひしひしと感じました。
次回以降も興味深い内容になっているので、また読んでいただけると嬉しいです!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
共に茅葺き長屋門を残し、育てていきましょう!
引き続き本プロジェクトへのご支援・ご声援よろしくお願いいたします。
益子濱田窯 × 筑波大学大学院生 有志チーム
リターン
3,000円

返礼品なし① 【You can support even if you don't live in Japan.】
●サンクスレター・限定ムービー付き
●お名前を建物に掲示いたします
※海外在住の方でも支援できます
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- 79
- 在庫数
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- 発送完了予定月
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【益子で体験】濱田庄司記念益子参考館入館券 選べるドリンクとお菓子付
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営業時間:9時半から17時
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日休館)
詳しくは濱田庄司記念益子参考館ホームページ(https://mashiko-sankokan.net/)をご確認ください。
※有効期限:2022年12月まで。
ただし2022年2月1日~18日は休館となります。
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------------------------------------------------------------
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