出稼ぎ事情

 

現在、ネパールではアジアの近隣諸国や中東に「出稼ぎ」に行く人が後を絶たず、カトマンズではスキルのある若者がよりよい賃金を求め流出し、農村部でも各家庭で少なくとも一人は建設労働などのために出稼ぎに出ている状況で、農業を継続するために支障が出ている状況です。しかし皮肉なことに彼らの送金がネパールの経済の重要な部分を占めているのも事実です。

 

海外からの送金のGDPに対する比率は21.7%で、バングラデシュの10.8%と比較してもこれは南アジア諸国の中でもダントツで、ネパール経済が出稼ぎ労働者からの送金に頼っていることがわかります。(参考:UNDP Human evelopmentReport)
これを新規出稼ぎ労働者の数でみると、2000/01年には5. 5万人だったのが、2012/13年度には41.6万人となっており、さらに送金されたお金の使い道はというと、78.9%が日用品の消費、次いで7.1%が融資返済となっており、渡航費用を借金して出稼ぎに行き、家族に仕送り。家族はそれで借金の返済をしながら生活を賄う、という構図が浮かび上がります。事実私の周りにもそういった家庭がたくさんあります。

          海外出稼ぎからの一時帰国者や帰国者でごった返す空港

 

国内で手にする賃金では現在の物価では生活費が足りず、海外に期待し出稼ぎに行く人が後を絶たないのです。では海外で受け取る賃金が破格かというと、必ずしもそうではなく当然、職種によって大きな違いがありますが、「だんらん」レストランを辞めて海外で「単純労働」をして戻ってきた元スタッフなどに話を聞くと、ここで十分稼げる金額だったりするのです。

 

ぎりぎりの生活さえままならず出稼ぎに行く場合もあれば、さらに良い暮らしを期待していく場合もあります。後者の場合特別なスキルがあって専門職の仕事につければよいですが、単純労働であれば期待するほどの賃金はもらえません。

 

今回のプロジェクトで和食技術を教えるということで、「技術を身に着けたらすぐに海外に行くんじゃないか?」というお声をよく聞きます。私自身もその懸念はあります。できるだけネパールで仕事をしようという人に受講させることは勿論ですが、行くか残るか、それは個人の自由です。行こうとする人を縛りつけておくことはできませんから、。
ただ、身に着けた技術を生かせる場がここにあれば、そこで十分な賃金を手にできればネパールに残ろうとする人は多いはずです。

 

人材不足の現状

 

現在は「だんらん」も含めレストラン業界に優秀な人材が足りません。今現在でもその状況ですし、加えてここ数年のネパールの政治的な安定を反映し観光客の数は2011年度736215人、2012年803092人と増え、その後も増え続けています。

サービス業全体の成長率で見た場合も2011年度/6.0%、2012年度/6.9%と伸びを示しています。

 

このように「観光」が好調になってきており、このところネパールではホテルの建設が進んでいます。観光客の受け皿が整うことで、今後、間違いなく雇用の機会は増えるはずです。この機を捉え、優秀な受講者には就職を斡旋し、同時に和食のプロモーションを展開していきます。具体的には雑誌、TVなどを介しての和食の紹介、イベントを通じての和食ファンの取り込み等。

それらを同時進行しながら、和食業界の雇用創出へと繋げてゆきます。

 

                 地元新聞に掲載された「だんらん」の記事

 

技術を伝えようとするとき、それが生かせる場も同時に考えていかなければ単なる「習い事」になってしまいます。技術移転と同時に雇用創出が私たちのターゲットです。

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