
支援総額
目標金額 3,000,000円
- 支援者
- 322人
- 募集終了日
- 2022年3月25日
虹色・空雲の物語 ~9匹の赤ちゃんタヌキをリリースするまで~
昨年の4月、JWCには9匹の赤ちゃんタヌキが保護されていました。
最初に保護されたのは7匹の兄弟タヌキ。

この子達は側溝から鳴き声が聞こえ、誤って子猫が落ちてしまったのではないかと、消防隊まで出動し、大掛かりな救出がされたのですが、出てきたのはへその緒がまだ付いた状態の赤ちゃん、7匹でした。初めは、周りで救出を見守っていた方も猫の赤ちゃんだと思ったそうなのですが、預かった方が猫の赤ちゃんのレスキューを主に活動されている団体さんの方だったので、保護から日が経つにつれ、これは猫の赤ちゃんではないのでは……と、JWCへご連絡いただいたのです。
7匹の赤ちゃん。こちらで引き取った時はこれから先のことを思い、正直頭を抱えていたのですが、その約2週間後、更に2匹の赤ちゃんタヌキが保護されてきました。

この2匹も、同じく側溝にいるところを保護されました。しかし、保護してくださった方は親が迎えに来るかもしれないから、と一日そのままで様子を見てくださったそうなのですが、翌日様子を見に行ってもそのままだった為、保護に至ったのだそうです。
そして、とうとうさとやま保護センターでは9匹の赤ちゃんタヌキの子育てが始まってしまいました。
初めに来た兄弟タヌキは、7匹ということでそれぞれに虹の色の『赤(セキ)』『橙(トウ)』『黄(オウ)』『緑(リョク)』『青(セイ)』『藍(ラン)』『紫(シッ)』と名前を付け、後から来た2匹には『空』『雲』と名前を付けました。
皆様、写真を見て、「可愛い!」と思ってくださる方も多いかと思います。確かに、写真や動画だけ見る分にはとても可愛いです。しかし、9匹の赤ちゃんタヌキお世話は、本当に想像を絶する過酷さでした……。
まず、今回のクラウドファンディングの概要や新着情報の中でも何度もお話させていただいていますが、当団体は万年人手不足で、実際に常駐して保護動物達の世話にあたっている人間は代表と私を含め、3人しかいません。
そんな中、9匹の赤ちゃんタヌキたちの授乳は、朝の5時から夜中の1時頃まで、2時間置きに与えなければいけません。また、赤ちゃんの頃は自分で排泄も行うことができない為、毎回、一頭一頭促してあげなければいけません。(本来は、親が肛門を舐めて排泄を促すのですが、流石に私達が舐めるわけにはいかないので、お湯で湿らせたコットンで刺激をしてあげます)

ミルクを作って、全員にミルクをあげて、うんちやおしっこもさせて、哺乳瓶を洗って……そうしているうちに次のミルクの時間になって……という感じでした。
当然ながら、この子達だけではなく、他にも容体の悪い保護動物たちはたくさんいます。また、私達はのづた動物病院の総務の仕事もあるので、保護動物たちの世話をしつつ事務作業もして、その傍らで9匹の赤ちゃんタヌキの世話もして……と、それを平日はスタッフも泊まり込んで三人、土日の間は基本、私と代表の二人で行ってしました。
授乳期間は特に常に寝不足で、それでもどの作業も手を抜くわけにはいかなかった為、本当に心身共に疲弊しながらも、それでもやはり子ダヌキ達は憎らしい程に可愛くて。「しんどい……」と思う元凶であったとしても、その愛らしさに癒されもして、なんとか切り抜けていました(笑)
そんな辛い授乳期間が約1ヶ月ほど続き、徐々に歯も生え始めたので離乳食を間に挟むようになりました。

離乳食は、鳥の胸肉とジャガイモを蒸かしたものをマッシュ状にして、ミルクと混ぜて与えました。この離乳食も、毎度毎度作っているわけにはいかないので、胸肉とジャガイモのマッシュは予め大量に作って冷凍しておき、ミルクを足すだけというようにしていました。
しかしそれも、いくらたくさん作ったところで3日ほどではなくなってしまうので、授乳回数が減ったとはいえ、かなり苦労しました。
実は、この子達は保護動物たちがいる『さとやま保護センター』ではなく、暫くは短い間隔で給餌を行わなければいけなかった為、事務所で世話をしていました。
なのですが、この頃になると運動能力もだいぶあがってきて……。朝、事務所の玄関をあげると「ガサガサガサッ!!」ともの凄い音がするので、嫌な予感がしてみれば、ケージにしていた衣装ケースから飛び出して、事務所を駆け回っていました。種類やら何やらが散らばっていて、うんちまみれ……。その光景を目にした瞬間、意識が遠のきそうになったのは言うまでもありません。
それから一週間ほどして、完全に全員の離乳が完了できたの確認し、流石に事務所でも世話をしきれなくなってきていたところだったので、時期的にもちょうどいいと、屋外哺乳類ケージへ移動させました。
初めの頃は数時間だけ外は出して様子を見ました。一番最初は、初めてみる外の世界に好奇心半分、恐怖半分、といった感じで、なかなか衣装ケースから出て行こうとしませんでした。

しかし、一匹が出て行くとそれに続くようにしてみんな外へ出て行き、初めての土の感触と匂いにはしゃぎまわっていました。その内、後から保護されてきた空雲兄弟も少し遅れてその中に合流させ、9匹、屋外哺乳類ケージで本格的に野生復帰のリハビリをスタートさせました。
まず初めの段階として、離乳食をだんだんと固形物へと切り替えていきました。みんな、歯もしっかりとしてきたので、顎も鍛えていかなければいけません。
初めの頃は遊ぶだけであまり食べようとはしませんでしたが、甘やかさずにそれしかご飯はないんだぞ! ということを教えていき、徐々に食べ慣れさせていきました。
そして、次の段階としてセミやバッタ、ミミズなどの生餌の捕食の練習もさせていきました。
※虫注意です!!

こうした昆虫も、朝早くに草むらに出掛けて、良い年をした大人たちで必死に虫取り網を持って集めてくるのですが、ケージに放つとそれはもうみんな大興奮で追いかけて、一瞬で食べ尽くされてしまい……。「あっ……まぁ、ね……喜んでくれて良かったよ……また明日取ってくるね……」と泣きながら翌日の早朝も虫取りに向かう……という日々でした。
とある日は雨が降り、虹色・空雲兄弟にとって初めての冷たい雨の経験となりました。この時、少し誤算で、そもそも屋外哺乳類ケージは哺乳類が1~2頭収容される想定で作られていたので、雨除けとなる場所が9匹全員には行き届かないことに気付き……。急遽、雨の中、ブルーシートで屋根付けを行ったりもしました。

初めの頃は、それでも雨に濡れて凍えて最悪亡くなっているんじゃ……と不安になり、様子を見に行ったのですが、全く気にしていない様子で爆睡していて、「なんだよ!」と思わずツッコんでしまいました。やはり、幼くても野生動物。心身ともに図太いようです。
そうして、なるべく様々な経験をさせ、トレーニングを続け、保護から約4ヶ月目。ついにリリースとなりました。
リリース場所は、近くに畑もなく、かつタヌキが生活する上で問題のない山を調査して選びました。当日は夜20時頃、流石に私達JWCスタッフだけでは到底9匹を運びきれない為、「本当にごめんなさい!! 手伝ってください!!」とのづた動物病院スタッフにも無茶を言って泣き付き、山まで運ぶのを手伝ってもらいました。
診察後で疲れていたにもかかわらず、みんな「了解!!」と手伝ってくれて……仲間って良いな……と思いました。
しかし、この重いタヌキたちを抱えての山登りも、かなりの重労働。初めの頃は会話をしていたスタッフも次第に口数が減っていき、半分まで来たあたりで、全員のゼェ、ハァ、という息遣いだけが響いていました。

そんな苦労をしてようやっとの思いで目標地点に辿り着き、いざ、リリースとなりました。
ケージを開けた瞬間は、みんなおどおどと、ケージから出て行く様子がありませんでした。しかし、何匹かが好奇心から外へ出て行くと、つられたように一匹、また一匹と外へ出て行きました。その様子が初めて屋外哺乳類ケージへ出た時の姿と少し重なりました。
また、ケージから出てようやく動物病院のスタッフがいることに気が付いたタヌキたちは、「知らない人がいる!」と威嚇して、距離を取っていました。この姿にも、少しほっとしました。というのも、人に育てられた野生動物は少なからず人に慣れてしまいます。なので、なるべく人慣れしすぎないようにと、世話をする人間は極力少なくしていたのですが、知らない人にはきちんと怯えて逃げて、威嚇ができているのであれば、誤って人に近寄って行ってしまうこともないだろうと、安心しました。
意外、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、野生動物は人をよく見ています。施設に保護されている子達の中でも、このスタッフであれば餌を入れても怒らないけど、他のスタッフには威嚇するということも稀ではありません。
これは丁度良いと、最後は動物病院のスタッフに悪役を買って出てもらい、「知らない人間に近寄ると怖いんだ」ということを覚えさせる為に追い払ってもらいました。そうすると、一目散に山の深いところまで逃げていき、本来居るべき場所へと帰っていきました。

最初の頃、小さい子だと173g程しかなかった子達が、リリースの時にはみんな3㎏前後にまで大きくなってくれました。
二番目に保護されてきた空雲兄弟は体が非常に小さく、恐らく未熟児だったのだと思います。こちらに保護されてきた時は低体温症にもなっていて、ミルクも最初はスポイトで一滴飲ませるのがやっと、という感じだったので、「次の瞬間には亡くなってしまうかもしれない」ということを常に覚悟していました。
他の子達も一緒です。どれだけ元気に見えても、いつどうなるか分からない。そんなことをいつも考えていました。
リリースできた時、少しも寂しくなかったか、と聞かれると、「寂しくなかったです」とは、言えません。どれだけ、野生動物だから、と心を律していても、過ごしてきた時間には愛着が湧きます。ですが、それよりも、みんな無事に成長して、生きて、リリースできたことが本当に嬉しかったです。
それでも、人の手によって育て上げられた虹色・空雲兄弟が自然の中で一年後も生きていられるとは限りません。
もしかすると、その日のうちに他の動物に襲われて亡くなってしまうかもしれない。交通事故に遭ってしまうかもしれない。もしかしたら、ペットフードを食べて、疥癬症になってしまうかもしれない。
自然に帰すということはそういうことです。
そして、私達は彼らに、危険な場所を教えてあげることも、餌の本当の獲り方も、教えてあげることができませんでした。いくら、私達が最善を尽くしてたとしても、種の壁はあり、“本当の親”には絶対に叶いません。
だからこそ、私達は「誤認保護をどうかしないで欲しい」と、強く皆様にお願いしています。
昨年、この9匹のタヌキたちをリリースするに至るまで、「タヌキちゃん達の為に!」とご寄付をくださる方、ドッグミルクを送ってくださる方、野菜を送ってくださった方、時にはセミを大量に捕まえて「ご飯にあげて!」とわざわざ持ってきてくださる方と、本当にたくさんの方にご協力いただきました。
また、このさとやま保護センターがある近辺では畑をやっていらっしゃる方も多いのですが、有難いことに野生動物にもご理解のある方が多く、売り物にならない雑野菜を野生動物の為に放って、その代わりに自分の畑にはきちんと防獣対策をして荒らされないよう、工夫されている方がたくさんいらっしゃいます。
リリースする際、一応畑の近くではない場所に……とはしましたが、タヌキも動物なので移動します。もしものことを考え、「もし、放ってくださった野菜以外でタヌキに荒らされるようなことがあれば、『なんて恩知らずな!!』 と全力で怒って追い払ってやってください……」とお伝えしたところ、「分かった!!」と笑って言ってくださいました。
本来、大切に育てている野菜のことを思えば天敵であるはずなのですが、皆さん優しい方ばかりでした。環境に恵まれていなければ、この活動もできていません。本当に、有難い限りです。
野生動物に関する問題は山積みです。人との軋轢も多く、生計を立てる為に必死で育てた野菜を野生動物に荒らされた、野生動物に家族を殺されたと、恨みを持つ方もいらっしゃいます。その恨みを持つ方に「動物をそんな風に思うなんて」と憤りを感じる方も、いらっしゃいます。
野生動物と人との間には、数え切れないほどの壁があり、その人にとって、『何を大切に思っているか』で価値観は変わる為、一言に『共存を』と唱えていても、そこへ行きつくには膨大な難問が立ちふさがっていることを、この活動をしていてよく感じます。
それでも、目の前の命にまず向き合い、それを伝えること。それがスタートラインとして、行っていかなければいけないことだと思っています。
今回のクラウドファンディングで、目標金額を達成できたことももちろん嬉しかったのですが、何より、この機会にたくさんの方に野生動物のことを知っていただけたことが本当に嬉しく、挑戦して良かったと、心から思っています。
残り2日となりましたが、宜しければ最後までお付き合いいただけますと幸いです。
遅い時間での投稿な上、とても長くはなってしまい恐縮ですが、ここまでお読みいただきありがとうございました。
この虹色・空雲兄弟について、さらに詳しく知りたい方は、当団体の過去のブログやInstagramなどをぜひご覧ください!
リターン
5,000円

応援コース
・お礼のメール
・JWC通信 特別号
※普段、会員の皆様へ毎月活動報告としてお送りしている『JWC通信』を今回のクラウドファンディングに向けて特別に編集しています。
・保護されてきた動物たちのPC/スマホ壁紙用画像
◆画像解像度 1920×1080 px
アスペクト比 16:9
◆画像解像度 2778 x 1284 px
アスペクト比 19.5:9 (縦のみ)
※サイズが合わない場合はご自身でご調整ください
・ホームページにお名前掲載(希望制)
✳︎一度に30口までのご支援が可能です
- 申込数
- 89
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2022年6月
10,000円

オリジナルポストカード
・お礼のメール
・JWC通信 特別号
※普段、会員の皆様へ毎月活動報告としてお送りしている『JWC通信』を今回のクラウドファンディングに向けて特別に編集しています。
・保護されてきた動物たちのPC/スマホ壁紙用画像
◆画像解像度 1920×1080 px
アスペクト比 16:9
◆画像解像度 2778 x 1284 px
アスペクト比 19.5:9 (縦のみ)
※サイズが合わない場合はご自身でご調整ください
・ホームページにお名前掲載(希望制)
・保護動物ポストカード ×3
✳︎一度に30口までのご支援が可能です
- 申込数
- 31
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2022年6月
5,000円

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◆画像解像度 1920×1080 px
アスペクト比 16:9
◆画像解像度 2778 x 1284 px
アスペクト比 19.5:9 (縦のみ)
※サイズが合わない場合はご自身でご調整ください
・ホームページにお名前掲載(希望制)
✳︎一度に30口までのご支援が可能です
- 申込数
- 89
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2022年6月
10,000円

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アスペクト比 16:9
◆画像解像度 2778 x 1284 px
アスペクト比 19.5:9 (縦のみ)
※サイズが合わない場合はご自身でご調整ください
・ホームページにお名前掲載(希望制)
・保護動物ポストカード ×3
✳︎一度に30口までのご支援が可能です
- 申込数
- 31
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2022年6月

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