今日は「キハ183保存プロジェクト」が安平町とどのように結びついたかについて、ご紹介したいと思います。

 

北海道鉄道観光資源研究会では、全廃が決まっていて保存予定がなく、北海道の鉄道史において重要なキハ183系0番台をどのようにすれば救い出して、活用する道筋が描けるかをプロジェクトチームで検討して、提案書の作成を繰り返しました(なかなか条件が揃う場所が見つかりませんでした)。

 

廃車日程から逆算したタイムリミットが迫る中、2017年10月14日。折しも「鉄道の日」当日のことでした。安平町では保存しているD51 320の公開とミニSLの運転というイベントの撤収をしている最中、安平町追分SL保存協力会の工藤事務局長にお話を伺いました。「キハ183の保存場所を探している」と。

 

安平町鉄道資料館とSL保存協力会
安平町鉄道資料館とSL保存協力会メンバー

 

これまでの交渉不調から、当初はあまり良い返事を期待していませんでした。ところが、戻ってきた返答は「近く、道の駅ができて、このD51は引っ越しをする。この車庫はそのあと、壊さないことになっているから、空き家になる。町のこの担当者に話をしてみなさい。」

 

しばらくして、その方を探し出して電話をしてみると、「今度、話を聞かせていただけませんか?」と正直なところ、少しキツネにつままれたような様子になりました。

 

そして、さらにしばらくして、プロジェクトメンバーとともに指定された会議室に入ると、なんと町役場の様々な担当者が集められ、ロの字にテーブルが組まれているではありませんか!後に聞くところによると、この話を電話したあと、役場の内部でも様々な検討が行われていたそうです。

 

この会議で逆提案を受けたのが「プロジェクトがもし成功したら、新設される道の駅で、当初予定していた旧型客車の代わりに、そのキハ183特急車両を置きませんか?」というものでした。

 

保存して地域での活用することを目指していた当会にとって、これに否定をする理由はなく、その場で合意に至りましたが、もうひとつの提案をさせていただきました。「さらに募金が集まり、2両分の費用が賄えることになった場合、D51と同様に屋内で末永く保存するという挑戦もさせていただけませんか?」こうして、このプロジェクトが日の目を見ることになりました。

 

安平町航空地図
安平町鉄道資料館と道の駅「あびらD51ステーション」の位置関係

 

こうして、キハ183を追分に保存するプロジェクトは、2つの目的を持つことになりました。ひとつは、失われつつある北海道の鉄道史にとって重要な特急車両を救い、多くの人にその姿を広く伝えてゆくこと。もうひとつは、それを貴重な鉄道文化遺産と捉え、後世に残してゆくことです。

 

道の駅に設置する車両は、キハ183-214を予定しています。この車両は車販準備室が設置される改造が施されており、道の駅を訪れる方々に車内でかつての旅の記憶を偲んでいただけるような工夫をしていきたいと考えています。

 

ふたつ目の目的である「後世に残してゆく」ために、現在「D51 320」が保存されている「安平町鉄道資料館」その場所に、もう1両を1両目と同じく国鉄特急色に復元し、雨風や積雪から守られる屋内保存をして、できるだけ永く輝きを保てるようにしていきたいと考えています。

ここに設置する車両は、車掌室が残っているキハ183-220を予定しています。また新たに設立する「キハ183おおぞら保存会(仮称)」と「安平町追分SL保存協力会」とが連携して、D51とキハ183それぞれが綺麗に保っていけるように、技術継承も図っていきたいと考えています。

 

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さらにもうひとつのサイドストーリーもあります。私が訪問する前日、10月13日にこのようなテレビ放送がありました。NHK「北海道中ひざくりげ」です。

 

2017年10月13日(金) 19:30~19:55放送

「故郷つなぐ SLのまち ~安平町~」
https://www4.nhk.or.jp/P3118/21/

 

昭和62年に放送を始め30周年を迎える「北海道中ひざくりげ」。
今年度は、かつて紹介した懐かしい場所や人を振り返りながら、「変わるもの」「変わらないもの」を訪ねます。
今回訪ねたのは、胆振の安平町。その北部にある追分地区です。今はメロンなど農業の盛んな地域ですが、かつては旧国鉄の車両基地があり鉄道のまちとして栄えました。
24年前の番組では、1両のSLを大切に守り続ける旧国鉄OB達に出会いました。

    >1993.10.23 「汽笛よ響け 時を越えて~追分町~」

今回、再び訪ねると、旧国鉄OBたちは今も大切にSLを守り続けていました。
さらに、鉄道マンを中心に結成されたボランティアサークルが”炭”でまちおこしを行ったり、町の魅力に惹かれて新たに移住して来る若者も現れるなど、
24年経った今でも鉄道のまちを大切に守り続ける人々に出会いました。


〈旅人〉山田貴幸(やまだ たかゆき)アナウンサー(室蘭局)

 

偶然、この放送を見ていた私は、1両のSLを守る旧国鉄OBの思いを感じながらの訪問となりました。

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雪を蹴って走るキハ183-214
雪を蹴って走るキハ183-214

 

道の駅「あびらD51ステーション」に設置する車両は、キハ183-214を予定しています。そして、2両目が決まれば、キハ183-220を「安平町鉄道資料館」に保存する計画です。そして、この2両とも臨時特急「北斗88号」の先頭車両と後尾車両として、今日も走っています。

 

今日はバレンタインデー。道の駅「あびらD51ステーション」に保存されるキハ183-214に乗って、函館までチョコレートを買いに行ってみてはいかがですか?札幌駅を9時53分に出発する予定です。

 

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