散逸している明治・大正期の彩色木版口絵を後世に残したい!

朝日智雄氏のコレクションからデータベースに収録される作品をご紹介させていただきます。第十回目は水野年方、宮川春汀、山中古洞、渡辺省亭です。

23.月岡芳方門下の筆頭弟子であった水野年方は、師匠と共に『やまと新聞』の挿絵を描きながら出版界の要望に応えて非常に多くの口絵を描いた。その中で鏑木清方、池田蕉園を育てたのは立派だが、過労がたたり42歳で亡くなってしまった。

24.富岡永洗に入門した宮川春汀は、博文館発行の少年少女雑誌や単行本に多くの挿絵を描き、多忙を極めたが、明治38年愛児の不幸に遭い、それを克服できず42歳の若さで没した。

25.月岡芳年等に師事し、烏合会結成に参画した山中古洞は、それほど多くの口絵作品を残していないが、明治35年誠進堂刊行の三宅青々軒著『うらおもて』の木版口絵を描いた。

26.明治11年3年間渡仏して学んだ渡辺省亭は,『美術世界』では編集者となり、当代一流の彫師と摺師を抱え、格調の高い作品を手掛け、口絵も春陽堂を通して発表していた。明治23年 山田美妙著『嫁入り支度に