ポスターの修復が終わり、展示会を開催いたしました!
このたびは、本学初のクラウドファンディング「100年以上前のポスターを修復し、
貴重なデザイン教材を次世代へ」にご支援をいただき、ありがとうございました。
修復したポスターの一例をもって、プロジェクト終了報告とさせていただきます。
アール・ヌーヴォー様式を代表する作家アルフォンス・ミュシャによる「リジー」
(1910)は、折りたたんで保管されており、折り目に穴が開くなど損傷が激しく、
本紙がもろくなっているために、展示が不可能な状態でした。
紙の折り目を伸ばし歪みを補正後、本紙の欠けた部分には紙をすいて穴を補修し
和紙による裏打ちを施しました。厚みのある裏打ち紙で補強したことで、今後の
保管や展示に十分な強度が得られました。
また、修復したことにより、ポスター本来のデザインの魅力がよりよく観察できる
ようになりました。髪や布の繊細な描きこみと太く強調された輪郭線、また細かく
描きこまれた頭部や周辺の装飾に対して身体と背景の平面的な表現が、画面のコン
トラストを生んでいます。特に、人物頭部とその背景の花が色鮮やかに画面を彩る
さまが目を引きます。
いただいた支援金で修復したポスターは、「リジー」を含め13点あり、「近代デ
ザインの誕生-京都工芸繊維大学 術工芸資料館 名品展」で展示しております。
前期展は5月15日(水)から6月15日(土)まで、後期展は、6月24日から
8月10日(土)まで開催しております。ご覧いただけますと幸いです。
なお、いただいた支援金は、修復費、リターン発送費、展示備品の購入費に使用
いたしました。
最後に、今後について、お知らせいたします。
美術工芸資料館が収蔵するポスターで修復が必要なものは、まだまだございます。
大学の資金での修復も進めてまいりますが、またの機会に皆様からもご支援を
いただけますと大変嬉しく思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。