こんにちは!

今回は、先日のイベントでも朗読させていただいたストーリー全編を、イメージ写真とともにアップさせていただきます。

 

(ストーリーと下絵の制作・擦り合わせの様子[写真:豊田 圭美])

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(1)
アフリカの、ガーナという暑い国の、ボナイリという村。
この村に住むルカヤは、お絵かきと家族が大好きな5歳の女の子。

(2)
ボナイリ村に、早い朝が来ました。幼稚園へ行く前にお姉ちゃんと水汲みをするのが、ルカヤの日課。


(3)
まだおひさまもでていない道を、2人はてくてく歩きだしました。道を進んでゆくたび、一人、また一人と村人たちが集まってゆきます。
そうして向かった水道には、たくさんの村人たちが列になって、あたりがわいわいとにぎわっていました。
「なにか絵を描こうかしら。」
ルカヤはそう思い、スケッチブックをひらきました。

 

[写真:原 ゆかり]


(4)
ルカヤのスケッチブックには、数えきれないほどの絵が描かれています。なかでもルカヤのお気に入りは、大好きな家族の絵。
遠くへお嫁に行ったお姉さんや、ルカヤ達の学校のためにお金を稼ぎにでたお兄さん。
ルカヤは、家族みんながいた頃がなつかしくなるたびに、2人が今どうしているかを、お父さんに聞きます。そしてその話をたよりに、家族の絵を描くのです。

 

(5)
しばらくして、順番が回ってきました。
ちゃぷちゃぷ、ぱっしゃん。水はバケツの中にそそがれていきます。
「どのクレヨンを使っても、きらきらとした水の色はぬれないわ。」
ルカヤは毎朝、そう考えます。
たっぷり水のはいったバケツを頭にのせ、2人はいつものように、ゆっくりゆっくりおうちへ持って帰りました。

 

[写真:越出 水月]


(6)
そのころお父さんは朝のお祈りをし、お母さんはもう2人のお母さんと、一緒に朝ごはんを作っていました。そう、ルカヤのお父さんには、3人の奥さんがいるのです。
ルカヤたちがおうちに着くと、家族20人分のおかゆができあがっていました。おいしそうなにおいがあたりをふわふわとただよっています。
ルカヤは弟のアブドゥルを起こしてやって、身支度をさせると、一緒にあたたかいおかゆを食べました。

 

[写真:原 ゆかり]

 

(7)
さて、朝ごはんを食べ終えると、幼稚園へ出発です。イスとお弁当をひょいと頭に載せると、ルカヤはアブドゥルの手を引いて歩きだしました。


(8)
2人は幼稚園につきました。お友だちもつぎつぎと集まってきます。
みんなが集まると、広場にぴしっと整列。
先生にむかって、ぺこりとごあいさつ。
ごあいさつが終わると、みんなで声を合わせてガーナの国歌をうたいます。
行進の歌をうたいながら、それぞれの教室へ。いち、に、いち、に。みんなで足をそろえます。

 

 [写真:原 ゆかり]


(9)
年長のルカヤは、幼稚園で英語と算数とお絵かきを習っています。ルカヤの好きな科目はもちろん、お絵かき。
授業では、先生から配られる鉛筆と一枚の紙で、絵を描いていきます。

 

[写真:堀田  よしこ]


(10)
2年前、お絵かきをならいはじめた時に、ルカヤはすっかりお絵かきのとりこになってしまいました。
描けるところなら、どこでも、なんでも、いつまでも。
木には真っ黒な炭で、しゅかしゅかしゅか。地面には木の棒で、さらさらり。
ところがルカヤには、ひとつのなやみがありました。
「もっともっと、たくさん絵を描きたいのに。」


(11)
けれどもある日、そんなもやもやは、解決しました。年少さんだったルカヤは、幼稚園で一番お絵かきを頑張ったことを表彰されたのです。
お母さんや先生も喜んでくれましたが、賞品でスケッチブックとクレヨンをもらったルカヤは、誰よりうれしく思ったのでした。
そう、お絵かきが大好きなルカヤにとって、自分だけのスケッチブックは、まるで宝物のようなものだったのです。
「これで、好きな分だけたくさん絵が描けるのね!」

 

[写真:樋口 陽子]


(12)
もらったスケッチブックをひらいては、ルカヤは思いのままに絵を描きます。
描けるときになら、いつでも、なんでも、どこまでも。
あか、あお、きいろに、ピンクやみどり。
「いろって、とってもすばらしい!」


(13)
そうして今日、幼稚園に外国からの先生がやってきました。
ルカヤ達は先生をスィミンガと呼び、先生が村にいる1週間、お絵かきを教わることになりました。


(14)
スィミンガ先生は、ルカヤが見たこともないような、不思議ですばらしい絵をたくさん描きました。
なんと、いろいろな色やかたちが、毎朝汲む水のようにきらきらと光っていたのです!
ぐにゃぐにゃ、ふんわり、ぴちゃぴちゃ、ぽたぽた。
「先生の絵は、まるで魔法のようだわ!」
今まで、目にみえるものだけを絵に描いていたルカヤは、先生と、先生の絵にすっかり夢中になっていました。

 

(15)
お別れは寂しいけれど、ルカヤは、先生からとてもすばらしいプレゼントをもらったのです。
それは、いつかすてきな絵描きになるという、夢。

 

[写真:原 ゆかり]

 

(16)
「大きくなったら世界中を旅して、大好きな絵を、たくさん、たくさん描きたい。そして、絵描きになったらボナイリに帰って、村のみんなにたくさん絵を描いてあげるんだわ。」

 

(17)
こうしてルカヤは、大きな夢をこころに咲かせて、今日もスケッチブックをひらくのでした。


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このストーリーを、是非とも声に出して読んでいただけたら嬉しいです。
声に出す事で、言葉のあたたかみを感じ取っていただけたらと思います。

 

MY DREAM絵本プロジェクト ストーリー担当
豊田 圭美

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