マエストロ瀬山智博からメッセージが届きました！！

　ヴェルディのオペラ「椿姫」は中でも"乾杯の歌"が特に有名です。あまりにも有名になり過ぎた"ブンチャッチャ"ですが、実際どのような内容を含んでいるかは見落とされがちです。この場面でヴィオレッタは、愛を語るアルフレードに対し、愛の虚しさ自身の死をも暗示するのです。
   このオペラの本質はヴォレッタの精神と肉体の変容と、それに伴う音楽的変容にあります。ヴィオレッタの象徴としてのワルツ(三拍子のリズム)は様々なテンポ、調性に姿を変えて終焉へと向かうのです。ヴェルディはその見事な音楽的心理描写によって、唯一の幸せの光(un unico raggio di bene)を求めたひとりの女性の儚く落ちぶれた人生を崇高なまでに美しく描きました。
   さて、ノマドオペラ「椿姫」の公演まで残り一週間となりました。チーム一丸となって本番に向けて毎日密度の濃いリハーサルを行なっています。
   オペラの真髄を極めたヴェルディの偉大な作品をぜひ一度ご覧ください。 みなさまのご来場をお待ちしております。
瀬山智博