支援総額
目標金額 2,500,000円
- 支援者
- 220人
- 募集終了日
- 2017年10月25日
文庫本カバーのご紹介その2「新うすゆき物語」「め組のけんか」
お早うございます。松竹大谷図書館の武藤祥子です。
今回はご支援いただきました方への成立後のお礼(リターン)について、3万円以上のご支援をくださった方へのお礼のご紹介をいたします。
3万円以上ご支援くださった方へは、「当館のホームページにお名前を掲載(※ご了承いただいた方のみ)」、「台本リストからお選びいただいた作品の台本カバーへのお名前記載」、「歌舞伎と映画の台本の表紙デザインの文庫本カバー」そして、当館所蔵の浄瑠璃正本「新うすゆき物語」と組上燈籠絵「め組のけんか」のオリジナル文庫本カバーの1セットもつき、計4種の文庫本カバーをお礼としてご用意しております。
それでは、今回は文庫本カバーのデザインのもととなっている、当館の所蔵資料「新うすゆき物語」と「め組のけんか」についてご紹介しましょう。
左が文庫本カバー、右がデザインのもととなった浄瑠璃正本
「新うすゆき物語」は、1741(寛保元)年5月16日大坂竹本座で初演された人形浄瑠璃です。現在も文楽で上演され、歌舞伎でも近年では平成27年6月に歌舞伎座で上演されています。
浄瑠璃正本(じょうるりしょうほん)とは人形浄瑠璃の正しい詞章が全て収められた本という意味で、当時は舞台の初日が開くと同時に出版されていました。つまり、評判の舞台の太夫が語ったそのままの詞章が本となり、一般にも広く読まれたベストセラーだったのです。浄瑠璃正本は半紙を二つ折りした半紙本の大きさがほぼ定形でしたが、今回の文庫本カバーのもととなっている浄瑠璃正本は、献上本といってちょっと特別な豪華本なので、サイズも大きめに作られています。
「新うすゆき物語」の題箋
文庫本カバーのデザインとなっている正本の表紙には文字を印刷した紙、題箋(だいせん)が貼られています。「時代世話 新うすゆき物語」とタイトルが表記され、その下には「竹本播磨少掾直伝/山本九兵衛新板」とあります。「竹本播磨少掾(たけもとはりまのしょうじょう)」とは、義太夫節の創始者、初代竹本義太夫の弟子で、この作品を初演した浄瑠璃の太夫の名前です。人物の内面性をしみじみと語るにふさわしい堅実な芸風は西風(にしふう)と呼ばれ、義太夫の後継者といわれました。「山本九兵衛」は京都にあった版元の名です。竹本座で初演した太夫と京都の版元の名を記すことで、この本が本家本元お墨付きの正規の出版本であることを示しているのです。
「新うすゆき物語」の奥付
そして、残念ながら文庫本カバーのデザインには使用していませんが、正本の奥付には「寛保元歳 辛酉五月十六日」の初演の日付と、版元として「山本久兵衛」の他に、大坂の「山本久右衛門」の名もあり、大坂でも出版されたことがわかります。
この浄瑠璃正本の文庫本カバー、実際に使ってみると、浄瑠璃本を読んで舞台をあれこれ想像して楽しんだ江戸時代の人になったような気分になれるのではないでしょうか。
続いて、組上燈籠絵「め組のけんか」のご紹介です。
組上燈籠絵「め組のけんか」
組上燈籠絵(くみあげどうろうえ)は錦絵の一種で、絵の中のパーツ部品を切り出して貼り合わせ、立体に組み立てて遊ぶ玩具絵(おもちゃえ)です。紙に無駄が出ないように、たくさんのパーツ部品が緻密に配置されているので、一枚の錦絵として鑑賞しても楽しい図柄となっています。
『神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)』通称「め組の喧嘩」は、1890(明治23)年3月に東京新富座(桐座)で初演され、現在でもよく上演される世話物の人気作品です。この組上燈籠絵には、人気俳優が揃った初演時の配役が入っていますので、初演当時の舞台をイメージして作られたのでしょうか。描かれているのは大詰の喧嘩の場で、鳶と力士が激しく華やかに争う立ち廻りが見どころとなっている場面です。柱や梯子を振り回す大柄な力士や、鳶口を構えるいなせな火事装束の鳶、そして屋根から投げられた瓦が辺り一面に散らばっている様子など、躍動感あふれる画面と鮮やかな色合いをそのまま生かした文庫本カバーとなっています。
この「め組のけんくわ組上とふろう」の地色に使われているのは、ピンクがかった鮮やかな赤です。明治期になると、錦絵にも輸入顔料が使われるようになり、こうした鮮やかな色合いの作品が多く作られるようになりました。パーツ部品を切り出して組み立ててしまうと、捨てられてしまう部分なのですが、こちらの文庫本カバーではそのままカラフルな明治初期の錦絵の雰囲気が味わえます。
以上、今回の新着情報は3万円以上のご支援を頂いた方へのお礼の文庫本カバーのデザインのもととなった資料に関するお話でした。
今後の新着情報では、1万円以上ご支援くださった方へのお礼として、台本カバーにお名前をお入れする作品を選んでいただくリストにある、映画作品、歌舞伎・新派作品の台本について、ご紹介したいと思います。プロジェクトの進行のご報告として、そして、当館の所蔵資料のご紹介として、これからもぜひこのプロジェクトの新着情報をご覧ください。
リターン
3,000円
活動報告+サンクスメール+HPにお名前掲載
■サンクスメール
■4月末に報告メール
■HPに名前を掲載
※ご了承いただいた方のみ掲載いたします
- 支援者
- 39人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2018年4月
5,000円
松竹大谷図書館オリジナル文庫本カバー(2種類1組セット)
3,000円のリターンに加え、
■松竹大谷図書館オリジナル文庫本カバー(2種類1組セット)
…蔵出し台本『助六由縁江戸桜』平成28年3月歌舞伎座公演&『東京物語』小津安二郎監督作品の表紙の特製デザイン!
- 支援者
- 65人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2018年4月
10,000円
オリジナル文庫本カバー+台本カバーに名入れ
5,000円のリターンに加え、
■台本カバーに支援者のお名前をお入れします
※作品リストより、ご希望の作品の「台本番号」と「タイトル」を応援コメントにお書き下さい
※作品リストはプロジェクト本文「リターンについて」の台本カバーの説明部分にリンクがあります)
※今すぐ決まらない方は、プロジェクト達成後にもご希望をお伺いいたします
- 支援者
- 89人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2018年4月
30,000円
オリジナル文庫本カバー(4種)+台本カバーに名入れ
10,000円のリターンに加え、
■組上燈籠絵「め組のけんか」の文庫本カバー
■浄瑠璃正本「新うすゆき物語」の文庫本カバー
- 支援者
- 16人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2018年4月
50,000円
図書館見学会+オリジナル文庫本カバー(4種)+台本カバーに名入れ
30,000円のリターンに加え、
■図書館見学会にご招待
【2017年11月30日(木)開催 午前(15人)/午後(15人)】
「午前」「午後」のご希望を応援コメントにお書き下さい
※今すぐ決まらない方は、プロジェクト達成後にもご希望をお伺いいたします
※11月30日に見学会に参加出来ない方には予約制で、松竹大谷図書館の書庫を1時間ご案内するガイドツアーへの招待券をお送りします。有効期限:平成29年12月~平成30年7月の平日(開館日及び整理休館中)
- 支援者
- 13人
- 在庫数
- 16
- 発送完了予定月
- 2018年4月