光化学の面白さを中高生と共有したい！化学の未来をピカリと照らす！

はじめまして。若林 里衣（わかばやし りえ）です。

九州大学大学院工学研究院 後藤・神谷研究室で准教授をしています。
本ページを訪れてくださってありがとうございます。

私の専門は超分子化学で、普段は自己組織化といって小さなピースとなる分子が自然に寄り集まって大きな構造をつくる現象をつかって、色々な構造・性質・機能をもつ材料を作っています。使う分子はペプチドとかタンパク質とか、生体内で働く生体分子に人工的に色んな修飾をしたもので、こういう材料が、細胞に対してどういう作用をするのか、体内でどう働くのか、という点に注目して研究を行っています。

化学の道、研究の道を歩んだきっかけとして、小さいときから◯◯に興味があって〜といった話ができると良いのですが、実はそんなことはなく、理科や化学が特段好きだったり得意だったり、ということもありませんでした。中学・高校時代に可愛がってもらったのは専ら国語や英語の先生でしたし、九大・工学部の物質科学工学科（現工学部第II群）に入学が決まったと報告すると、高校の化学の先生は驚いていました。ただ小さい頃から好奇心は旺盛で、色んなことに興味を示す子どもだったそうです。何でもやりたい！と言う私の性格と、やりたいことはやらせてあげたいという母親の教育方針が相まって、小学校1年生のときには習い事を7つも抱える多忙な小学生でした。

そんな私ですが、小学校の夏休みの自由研究で、植物の花粉の観察をしたことは良く覚えています。祖父母が遠方に住んでいたので、夏休みに1週間ぐらい家族で祖父母の家に行くのが恒例となっていましたが、その期間を利用して、道端にある色々な植物の雄しべから花粉を採取してプレパラートを作製して、市販の顕微鏡を使って観察、スケッチしてまとめるという内容でした。きっかけは草花が好きな母親の提案でしたが、顕微鏡を覗いて見える世界は目で見える世界とは全く違っていて、そのことにとてもワクワクして、この植物はどうだろう、あれはどうだろう、と夢中で花粉を採取して観察しました。今でも顕微鏡で自分が作った材料や細胞の観察をする時間は大好きですが、きっかけは何であれ、実際にやってみたり見てみたり、ということが興味を持つことの一番の道だと感じます。

生き物を観察したり生命の神秘について考えてみたり、あるいは星空を見て宇宙の始まりについて考えてみたりといったきっかけが、化学については少ないような気がします。本当は化学って身の回りにあふれていて、それがないと私達の生活は成り立たないのですが、それを実感する機会が少ないように思うのです。

本クラウドファンディングでは、中高生の皆さんを主な対象に、（光）化学に興味を持ってもらうきっかけとなるような様々なイベントを企画しています。少し知ると普段なにげなく見ているものの見え方が変わってきて、もっと色んなことを知りたくなって、気づいたら化学の道に進んでいた、あるいは化学の道に進まなくとも化学って面白いなと感じてくれる方が増えてくれることを目指して活動をして参ります。クラウドファンディングは私達にとって初めての試みで、始まるまでどうなるか不安でしたが、予想以上の反響でたくさんの方に応援していただいて、とても心強く感じています。ピカリかがくメンバー一同、皆さまの想いをしっかり受け止めて精一杯活動して参りますので、今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。

若林 里衣