真田ゆかりの九度山町 真田庵。修繕工事で後世へつなぎたい。

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支援総額

10,055,000

目標金額 5,000,000円

支援者
494人
募集終了日
2024年1月8日

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2023年12月26日 18:46

真田氏と六連銭|日本家紋研究会|高澤 等さん

 

真田が用いる六連銭(むつれんせん)紋は多くの戦国武将の家紋の中でもひときわシンボリックな存在です。

 

おそらく真田信繁も通常の家紋として六連銭を用いたでしょう。

 

しかしながら信繁の名を世に知らしめた大坂の陣では、どうやらこの家紋は用いなかったようです。それは信繁があくまで分家筋であり、本家の信之を憚ってのものかと思います。

 

大坂の陣に毛利勝永(吉政)隊に所属していた福富茂左衛門が記した『福富茂左衛門覚書』には、当時の真田隊の様子も触れています。

 

そこには、「あかねに大もくの文ノのほりはいぐんニ見へ申候時、豊前守も城中へ引取申と見へ申候」と記されています。

 

通説では毛利勢の右手・つまり西方に真田勢が布陣していたことから、毛利軍の進退に影響を及ぼした軍勢の敗退とは真田隊のことでしょう。でもそこには誰もが知る六連銭については一言も触れていません。

 

また大坂城天守閣所蔵の『大坂夏の陣合戦図屏風』でも、毛利隊と鳥居を挟んで陣を張る真田信繁隊の旗に六連銭は描かれておらず、真っ赤な幟が立ち並ぶように描かれています。

 

 

このことから、大坂の陣において真田信繁は六連銭を用いず、赤地に南無妙法蓮華経の題目が書かれた軍旗を用いていたと考えられます。

 

六連銭は真田氏を含む滋野一族で広く用いられた家紋です。

 

真田氏が藩主を務めた松代藩が編纂した『滋野通記』では、海野小太郎が水島の戦いに際して、海面の渦が銭が連なったように見えたことから旗標にした、と書かれていますから、真田家自体が『滋野通記』を編纂した時代まで六道の賽銭を意識していなかったようです。

 

それでは「六連銭」とは何をモチーフにしているのでしょうか?

 

現代では広く「地獄への渡し賃」として六道銭を意味していると云われていますが、六道信仰が東国に伝わる以前から海野一族で六連銭が用いられていたようです。また死者に手向ける埋納銭は六枚ではなく五枚であったことが多くの発掘事例で明らかにされています。

 

「連銭」という文言は軍記物を通じて歴史的に多用される言葉です。その文言とは「連銭葦毛」という馬の毛色で、真田氏の母体である海野氏が拠った小県郡には信濃十六牧筆頭という望月牧がありました。

 

 

想像に過ぎませんが、馬産を通じて勢力を扶植した一族の象徴として六連銭を用いたのかもしれません。

 

また、真田氏は六連銭と並び雁金紋と洲浜紋も用います。

 

中国では中央に穴の開いた銭のことを古くから「鵞眼(ががん)」と呼びました。これはガチョウの目が銭に似ていることによるもので、さらには鳥目とも呼ばれるようになります。

 

ガチョウは雁の仲間であり、目の縁が金色のカリガネは、まさに銭を表現しているとも言えます。つまり六連銭紋と雁金紋には共通の意味があることになります。

 

現代に人気を得た真田氏とその家紋を通して、信濃国の歴史や風土、文化に触れることができれば、また紀州真田庵を訪れることにも楽しみが増えるのではないでしょうか。

 

日本家紋研究会

高澤 等

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