不動産×コトづくり、千駄木に新たな交流拠点「しろいおみせ」を

私には今年92歳になる祖母がいます。

 

今年老人ホームに入居しました。

 

何年も父親が説得を重ねたり、

色々な施設を紹介しても、

 

「わかった」と「いやだ」を繰り返し、

近年は何かにつけて母親を呼び出し用事を言い、

 

「なんで私はお前たちと一緒に住めなんだ！」と

癇癪を起しては物を投げたりしていました。

 

そんな数年の後、父親が新築でとても費用の安い

特別老人ホームを見つけた手続きの中でも

「入る、入らない」を繰り返しました。

 

私も何とか今回だけは入って欲しいと思い、

なんどもナダめたりしているうちに

「わかった」と約束したのですが、

 

それでも「入らない」と言う祖母に

「もうそんなんならどこでも一人で死ねばいい」

とまで本当に縁を切るぐらいの怒鳴り合いを

ファミレスの中でしました。

 

さすがに孫からの絶縁が効いたようで、

一人で老人ホームに行き

 

「私ここ入る」

 

と急に施設の方に言ったそうです。

 

いつも車で向かっていた祖母が

どうやって施設に行ったかわかりません。

祖母自身も良く覚えてませんでした。

でもとにかく一人で着いたのでした。

 

その前の祖母の引っ越しは今から13年前にもありました。

ずっと住んでいた古いアパートの立ち退きにあったのです。

 

大家さんと直接やりとりをしていたようで、

80歳のおばあちゃんが一人きりで不動産屋さんに入り

「娘と二人で住む」と嘘をついて物件を探していました。

 

そして立ち退きの2週間前になっても

行き場所がない祖母はそこでようやく息子夫婦や

孫に状況を話しました。

 

それはひっくり返しました。

 

不動産屋さんをやっている孫（私）は

そこで大家さんと交渉して立ち退き期限を延ばしてもらい、

一緒に部屋探しをしたのですがあれは嫌だ、これは嫌だと、

 

ずっと一人暮らしでわがままをしていた祖母が

住める賃貸は結局ありませんでした。

 

最終的には父親が古いマンションを購入して、

生まれて初めてのマンション暮らしが80歳で始まったのです。

 

80歳の引っ越しの時も「友達と場所が離れる。」

「縁が切れる」「会えなくなる」と行っていたのですが、

 

元の場所から13年間、しょっちゅう遊びに行っていました。

 

なんだ結構一人であちこち行ってるんじゃんと思ったのですが、

 

その時の交通手段がバスだったのです。

 

お年寄りにとってバスは若者が想像する以上に

日常の乗り物だとその時に知りました。

 

老人であれば無料で乗ることができます。

「地下鉄は高くて乗れない」とも言っていました。

 

気軽に乗れる唯一の乗り物なんです。

 

そして今回のプロジェクトの建物を考えた時に、

自分のおばあちゃんの事が頭に浮かびました。

 

自分のおばあちゃんがバスに乗り、

自分のおばあちゃんがバスを降りる。

 

言い合ったり、喧嘩したり、もう憎たらしいおばあちゃん。

 

そんなでもバスだけあればどこにでも行ける魔法の乗り物。

 

自分が関わることになった建物の前のバス停に

自分のおばあちゃんがもし来ることになったら。

 

そしたらやっぱり目印になる建物は分かりやすいように

「白くしたい」と思いました。

 

お年寄りにとって一番分かりやすい色が「白」

そして一番わかりやすい言葉が「おみせ」

 

なので今回の建物の名前は「しおいおみせ」なんです。

 

難しい話とか家族同士のいさかいの話の最中でも

「しろいおみせ」なら自然に出てくる。

 

「しろいおみせで降りて」

「しろいおみせで待ってて」

「しろいおみせのバス停で乗って」

 

ですので今は薄い茶色がかった建物を

「白く」全部塗る必要があるんです。

 

みなさまどうか建物を白く塗ることに

お手伝いください。

 

よろしくお願い致します。