寄付総額
目標金額 2,000,000円
- 寄付者
- 217人
- 募集終了日
- 2019年12月26日
漱石文庫の自筆資料を整理する ―目録の話(2)―
第2回目では、最新の『漱石文庫マイクロフィルム目録』(平成9年)へ至るまでの自筆資料整理の来し方を振り返ります。
漱石文庫が昭和18年に東北大学(当時は東北帝国大学)に受け入れられた後、まずは蔵書のみの目録が編まれました。その後長い間、残りの資料の目録化が大きな課題となりました。特に、日記・手帳・ノート以外の、冊子形態をとらない「断片」資料の整理に、何人もの関係者が努力と試行錯誤を重ねる時期が続きます。
後の『漱石文庫目録』(昭和46年)冒頭文によると、蔵書以外の日記、手帳、ノート断片などいわゆる「身辺自筆資料」と呼ばれる資料群は、当初は小宮豊隆が自身で整理する心づもりであったらしく、小宮の手元にしばらく置かれていたそうです。また、日記2冊の欠落も判明し、後に買い足すということもありました。
その後、昭和25年になってから、これらは「雑件文書一袋」などとして一括して図書館に受け入れられましたが、目録化されず、未整理のまま保存されました。
自筆資料は、昭和37年に当時の図書館長の委嘱を受けた文学部の北住敏夫教授(国文学)と村岡勇教授(英文学)によって整理されることになりました。その成果は『漱石資料ー文学論ノート』(岩波書店、 昭和51年)として出版されました。この期間、附属図書館では漱石の自画像および書簡を含む晩翠文庫の受け入れ(昭和41年)や、『道草』原稿の受け入れ(昭和45年頃)などにより、所蔵資料の充実が進みました。
昭和46年には『漱石文庫目録(東北大学附属図書館所蔵特殊文庫目録シリーズ1)』が発刊されました。これは東北大学に漱石文庫が設置されてから、初めて公に刊行された目録です。これは世の中に大変歓迎されたそうで、当時の館報『図書館通信No.93』によると「寄贈のあとに残しておいたものも、たちまち受贈の申込みによってほとんど無くなってしまった」そうです。
自筆資料については、わずかに項目と総枚数だけが記録されるだけにとどまりました。しかし、現在から見て、この目録の優れている特徴の一つとして、昭和25年までに受け入れられた資料と、後に関連して集められた資料がはっきり分けて記録されているということが挙げられます。その後の『漱石文庫マイクロフィルム目録』では、これらの資料は区別せずに記録されることになります。
平成に入ってからも整理は続きます。マイクロフィルム化の作業のために、全蔵書の全ページを点検した際には、従来の資料に加え、蔵書中に挿入されたメモなど120点についても初めて全貌が明らかになりました。岩波書店や本学教員の協力を仰ぎながら整理を進めた記録が、平成8年度の館報『木這子』に残っています。
湯本智子「漱石文庫の整理にたずさわって(1)蔵書中の挿入物について」
(Vol.21 No.1)
(Vol.21 No.2)
湯本智子『漱石文庫の整理にたずさわって(3)自筆資料に見られる用紙と未翻刻断片について』 (Vol.21 No.3)
湯本智子『漱石文庫の整理にたずさわって(4)蔵書目録をめぐって』
(Vol.21 No.4)
断片資料を目録化する作業は、日本語・英語が入り乱れる独特の筆致の紙片を読み解き、書かれた内容や資料の形態を参考にしながら、いくつかのカテゴリにまとめ直すこととなります。
本とは違ってタイトルも頁付もないため、ひとつひとつに新たに資料名を考え、順序付けを行わなければなりません。もともと糊付けされていたものが破損・分離していたり、紙片に穴が開いて読めない文字もあります。当時の担当者が熱意と使命感をもって根気強く取り組んだと想像されます。
こうして作成されたマイクロフィルムは『漱石文庫マイクロフィルム目録』に整理され、また同時期に自筆資料を撮影したカラーフィルムに関連して『漱石文庫自筆資料カラーフィルム目録』『漱石文庫自筆資料フォトCD集成』『漱石文庫自筆資料フォトCD目録』が作成されました。カラーフィルムは、『東北大学デジタルコレクション』の収録画像の元データにもなりました。インターネット上での目録や画像の公開が試みられるようになったのもこの頃からです。
その後の自筆資料整理に関連する成果としては、平成12年の「漱石文庫「身辺自筆資料及び漱石関係収蔵資料」目録リスト」(石垣久四郎著『東北大学附属図書館研究年報』33)の発表が挙げられます。
参考文献:原田隆吉「東北大学附属図書館「漱石文庫」のインスペクション」『図書館学研究報告』Vol.13, 昭和55年)
(つづく)
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