みなさまこんにちは。東京大学大学院の隈研吾研究室に所属している修士2年の徐佳凝といいます、2016年から授業の一環としてこのプロジェクトに参加し、その後キッチンの設計担当として活動しています。

 

今まで自分が参加していた学校のスタジオや課題のほとんどでは、製図室や図書館で資料を調べて、提案を考えていました。「現地」という概念で周辺の建物、交通状況、プログラムの分布などデータや図式で表せるものしか捉えていませんでした。その場所にいる人が何を考えて、自分の設計がそこにいる人々にどのような影響を与えるのかを考えることが少なかったのです。

 

それに対して、今回のプロジェクトでは、最初のリサーチ段階からセントマーサエステートを訪ねて、「現地」の風景を自分の目で見たり、匂いを嗅いだり、フィリピンならではの温度・湿度を自分の身で体験することで、いままでのプロジェクトでは感じたことのない近さで「場所」や「現地」を感じていました。さらに、セントマーサの人々の話に耳を傾け、現地の経験を学びながら、コミュニティキッチンのデザインを進めてきました。

 

初期デザインを終えてから、再びセントマーサに戻り、キッチンの模型を人々に見せながら意見を聞いてみました。現地の皆さんが模型で遊びながら、私たちと真剣に話し合って、褒め言葉や不満などを遠慮なく自由に発言し、我々がデザインする際に、考えもしなかったこともたくさん聞くことができました。またフィリピンのローカル事務所と共に働くことで、日本とフィリピンの建材や構法の違いなど、「現地」でしか分からないことを理解するようになって、キッチンのデザインはまるで子供が育つように、日々成長しています。

 

今回のプロジェクトは僕に数え切れないこと教えてくれました。大学での勉強を通して専門な知識を学び、その知識を「現地」の経験に合わせて応用し、「現地」に一番ふさわしいデザイン、セントマーサならではのキッチンを考えてきました。このデザインプロセスの所々が、「現地」にある環境、人の需要や考え方と非常に強い繋がりを持ち、本当にセントマーサの皆に愛されるキッチンを生み出すことを信じています。

 

このキッチンは、私たちとセントマーサの人の繋がりでできたキッチンと言っても過言ではありません、どうか、このプロジェクトへのご支援を通じて、この繋がりの一員になっていただけたら幸いです。

新着情報一覧へ