繊細な子どもとお母さんの居場所であるフリースクールを守りたい。

先日開催された全国てらこやネットワーク拡大理事会にて、福岡てらこやあそびの取り組みに賛同くださいました久保さおり様から応援メッセージをいただきました。さおりさんは、もともとは伊勢崎てらこやの参加者のお母さんであり、キャリア30年の現役の保育士さんでおられます。さおりさんと意見交換の場が持てましたのも、クラウドファンディングに挑戦したからこそ、10月5日までどうぞよろしくお願いいたします。

子どもたちを取り巻く環境が大きく様変わりしていく様子を、３０年近く保育の仕事に携わり、肌で感じてきました。特に、どの社会的集団にも属さず『家庭保育』の状態にある子やその親に対してのケアは圧倒的に不十分だと感じています。核家族化、社会からの孤立、虐待や貧困、子どもの自殺などの悲しいニュースも後を絶たず、社会全体が変わらなければ、少子化にも歯止めがかからないことは、もはや誰もが承知している事実です。

私自身もシングルマザーとして仕事と育児の両立を目指すも『子育ては母親の責任』という古くからの根強い偏見の壁にぶつかった時期がありました。日々を生きていくことだけで精一杯で、頼れる場所やささいなことを相談できる人もなく、絶望感も味わいました。次第に追い詰められ引きこもりがちになっていた時、運よく『てらこや』に出会い、その魅力に引き込まれ、積極的に各地の活動に出向きました。まさに『てらこや』に救われた母子です。しかし、職業柄子育て世代にいちばん近い場所にいながらにして、保育士として現実に思うことと、実現できることの限界を感じ、全く無力であることを痛感しています。

福岡てらこやさんの『乳幼児期からの子と親への支援』への取り組みを知り、長らく自分の中でくすぶっていたものに一気に火が付いたような気持ちになりました。この活動が、現代の子育て環境への社会的役割に一石を投じることになると確信しています。さらにこれを『てらこや』で目指すことに強い意義と可能性を感じます。いずれ全国各地の仲間へ広がっていくことを期待し、北関東の小さな町からですが、全力で応援させていただきます！

久保　さおり様　　プロフィール

昭和４８年群馬県生まれ。20歳より保育士として勤務。20代半ばで結婚、出産。娘の小学校入学を目前に、前夫と死別。ほどなくして両親も相次いで他界し、生きる気力を失いかけていた時に『てらこや』の存在を知る。地域の大人、大学生、子どもの３世代がつながりを持ってすべての子どものために居場所を作っていくという、その活動の趣旨に感銘を受ける。一方で、保育士として子や親の環境に深くかかわる立場でありながら、幼稚園と保育園ではいまだに制度上の大きな差があることを疑問に感じ、独学で幼稚園教諭免許を取得。H29年、勤務先の保育園の姉妹園である幼稚園が、国の制度改正により認定こども園に移行するのに伴い、幼稚園へ異動となり主に乳児保育の立ち上げに携わる。元来の幼稚園の教育機能は失わず、加えて保育園と同様の社会的支援を行っていくことへの課題は多岐にわたり、日々奔走中。すべての子と親が安心して暮らせる社会を夢見て、これまでの自身の経験が少しでも役立てばと思い、地元『伊勢崎てらこや』の一員として活動を続けている。

追記：『てらこや』に参加するきっかけとなった人物(現夫)と新しい家庭を再構築しながら、現在に至る。