日本刀の製法解明へ。日本刀を作り出す鋼の強さの評価研究にご支援を。
寄付総額
目標金額 2,000,000円
- 寄付者
- 113人
- 募集終了日
- 2022年4月28日
「折れず曲がらず」を実現できる最新材料超ハイテン
自動車フレーム用の超高張力鋼板(超ハイテン)の金属組織の設計思想や製法は,日本刀内の金属組織とその製法と共通する部分が多く,日本刀を分析する上で大きな助けになると考えています。
研究を行う上では,関連する分野の知識や経験をどれだけ豊富かが重要となります。未知のことに取り組むのが研究となり,特定の狭い領域の知見だけでは対応できないことが多いです。関連する分野の広い知見があれば,未知の事柄にも対応しやすくなります。
以下,鉄鋼メーカー在職中に数件の特許も取得した超ハイテンについて,日本刀との関連性も含めた説明となります。なお,文中に記載の「引張特性」については,以前の新着情報に詳細を記載しています。
現在の自動車のフレーム(骨格)には,強度(主に引張特性)の高い鋼であるハイテン(高張力鋼板),さらに強度が高い(引張強さ980MPa以上)超ハイテンが用いられています。これは衝突事故時に乗員を守るためキャビンを堅牢な構造とする,そして強度の高い鋼を用いることで使用する鋼の量を減らし,軽量化によって燃費を向上させるためです。しかし,これらの鋼は硬いだけではなく,十分な延性(変形能)も備えています。これは,一つに,フレームは複雑な形状であるため,鋼を目的の形状に変形(塑性変形)させる必要があること,二つに,車のフロント部分では衝突時に生じる大きな力をフレーム自体をくしゃくしゃに変形させることで衝撃エネルギーを吸収し,安全性を向上させています。これを実現できるのは,ハイテンや超ハイテンが金属が本来両立できないはずの強度と延性を両立しているためです。
図1は,愛知県豊田市のトヨタ会館の乗用車の展示となります。外装が取り外され,フレームが見える状態となっています。フレームは,強度特性毎に色分けして展示されています。例えば,キャビン周辺は硬さを限界まで向上させた超ハイテンやさらに強度が高いホットスタンプ鋼が用いられています。強度が非常に高くなっている分,延性は低い鋼となっています。一方で,フロント部分のフレームには強度と延性の両特性が高い鋼が用いられています。但し,延性を向上させている分,キャビン周囲の鋼と比べると強度は低下しています。
図1 外装が取り外され,フレームが見える状態で展示されている自動車。色が異なるフレームは,強度特性が異なるハイテン・超ハイテンが用いられています。(トヨタ会館展示,2018年8月撮影)
図2は,愛知県名古屋市のトヨタ産業技術記念館の展示となり,自動車車体の安全性評価の実験に用いられた車体となります。図1とは異なる車体となりますが,フレームの設計思想は共通しています。衝突事故を模擬したため,車体前方はほぼ圧壊していますが,キャビンはほとんど潰れていません。これは設計によって意図して起こしており,フロントフレームを意図的に変形させることによって,衝突時のエネルギーを吸収しています。具体的には,強度が高い材料を変形させるためには大きな力が必要になりますが,フロントフレーム部の材料は延性も高いため,大きな力を掛け続けなければ潰すことができません。これによって、衝突時のエネルギーを車体前方で吸収し,キャビンを守っています。一方で,キャビンのフレームには強度を優先した鋼を用い,可能な限りキャビンが変形しない構造となっています。例えば,フロントフレームの鋼が強度のみを重視していた場合,最初の変形では大きな力が必要になりますが,フレーム材はすぐに壊れてしまい,衝突エネルギーの多くはキャビンまで伝わり,圧壊してしまう危険性があります。
図2 自動車の衝突事故を模擬した車体(トヨタ産業技術記念館,2021年7月撮影)
以上のように,強度特性を自在に変えることができるのが,ハイテンや超ハイテンの特徴となります。特に相反する特性である「折れず曲がらず(強度と延性)」を両立できるのは,鋼の組織の中に硬い組織と軟質な組織をバランス良く分散させているためです。日本刀では刀身の構造(造り込み)で同様の効果を実現していますが,ハイテンなどでは金属組織内でこれを実現しています。硬い組織としてはマルテンサイト,パーライト,ベイナイト,軟質な組織はフェライト,両方の特性を発現する特殊な組織がオーステナイトとなります。強度を上げるためには硬質な組織の量を増やし,延性をあげるためには軟質な組織を増やします。ただ,バランス良く組織を分散させなければ,上手く特性は向上できません。さらに,組織を上手く分散させるためには,製法が重要となり,熱処理条件はもちろんのこと,熱処理前の金属組織の状態や鋼に加える元素の種類と量を精密にコントロールする必要があります。これらのことは,日本刀にも共通することになります。
図3は,私が開発し特許を取得している引張強さが980MPa級超ハイテンの金属組織写真となります。これらは全て別の材料となり,引張強さは全て同じであるものの,変形できる度合い(延性や靱性)を変えた鋼となります。右下の写真を除いて,混ざっている元素の種類は全く同じで,熱処理条件だけを変えた鋼です。例えば,左上の材料は焼戻しマルテンサイトの割合が高く,き裂などの割れが発生しにくい組織です。金属組織としては僅かな差異となっていますが,この違いが特性差を生んでいます。これらは,日本刀の刃文内で生じている多彩な変化に通じる部分があると考えています。
図3 980MPa級超ハイテンの走査型電子顕微鏡による金属組織の観察結果。全て引張強さは同じですが,延性などの壊れやすさが異なる鋼です。
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- 2023年3月
300,000円
【プラチナコース】カスタム講演会の開催
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