プロジェクト概要

 

日々目まぐるしく動いている街、東京。

しかし一歩踏み出してみると、

誰にも邪魔されない静寂がある。

自分の行きたい先へ、

いつでも何処へでも連れて行ってくれる。

何もかも受け入れてくれる場所がある。

そんな場所を感じ取ってほしい。

 

 

 

移ろいゆく東京湾の姿を残した写真集を届けたい

 

はじめまして、「TOKYO BAY」プロジェクトの佐藤丈幸です。製本という本作りの最後の工程を約20年間にわたり、担ってきました。

 

現代では出版社の営利を考えるとなかなか実現しにくい写真集。本の製作には、多くの費用と手間がかかります。一見するとデジタル化社会を逆行するかのようにも見えますが、逆に言うと多くの人の手が媒介し、多くの想いが詰まった作品とも言えます。

 

 

そんなことを思う中、8年前に写真家・野寺治孝氏とその作品「TOKYO BAY」に出会いました。浦安市出身の写真家ならではの、東京湾の捉え方、そして前作である25年前の自らの大作に挑みたいという野寺氏の想いをなんとかカタチにしたい。

 

そして、浦安市出身という作家の東京湾への想い、作家に対するプロジェクトの想い、写真集に対する想い、多くの想いが詰まったピュアなこの写真集を、究極のプロフェッショナルメンバーによって世界最高傑作に仕上げたい、そんな思いで、TOKYO BAYプロジェクトを立ち上げました。

 

 

 

写真家・野寺治孝

 

 

ー作品についてー

 

普段見過ごしてしまう東京湾の移りゆく風景、時の流れを写真という媒体で美しく止めて皆様にご覧になって頂きたい。そう考え、正確には風景写真ではなく東京湾のポートレート写真を目指し、作品の制作に取り掛かりました。

 

2013年から2019年までの6年間にわたり、千葉県浦安市千鳥の護岸、時々千葉ポートタワー、袖ケ浦からも撮影を行いました。その総数は、約10,000枚にも上ります。その中からまずは200枚に絞り、最終検討を重ね、今回選りすぐりの57枚をこの一冊にまとめることにしました。

 

撮影を通して、さまざまなことを感じました。巨大な橋がかかったり、ビルが乱立したりと東京は成長していることが本当にいいことなのか。そして、そんな巨大都市に寄り添う東京湾は自然を失わず美しく存在していることが嬉しかったり。

 

微妙な色やグラデーションがいかに表現できるのか、今回の作品では印刷にとことんこだわり、文学の行間のような所を感じ取っていただけるような作品づくりを目指しました。

 

 

ー制作にあたりー

 

2014年の冬、私は心身共に疲れ切っていた。ありとあらゆる人生の問題が荒波のように押し寄せ、私は帆が折れた小舟のようにその波間を彷徨っていた。妻がそんな私を見かねて「またTOKYO BAYを撮ってみたら」と言ってくれた。そんな助言にも最初は全く聞く耳を持てずにいた。なぜなら先にも書いたがTOKYO BAYはすでに完結した作品であり、私にとっては手を付けてはいけないような聖域のようなものになっていたからだ。

 

しかし次第に苦しい状況から脱したいと藁をも掴む一心で、何の決意もないまま20年ぶりに撮影に出かけていった。だが私の瞳にはどんなきれいな海を見ても淀んだ色にしか映らなかった。そして何度も海に聞いてみた。「この撮影に何の意味があるのか?」と。ところが写真家という哀しい性なのか、そんな状況でもシャッターを押す瞬間だけは全てを忘れて楽になれたのだ。それだけが救いだったかもしれない。

 

そんな状況も次第に変化し、家族や友人達の支援も功を奏し、ようやくどん底から抜け出すことができた。すると長い冬眠から目覚めた獣が獲物を求めるように、私はTOKYO BAYの撮影に没頭していき、自分で創った聖域を超えるのは自分自身だと強い意志を持てるようにもなった。ただ以前と違うのは熱く夢中になるだけではなく、時には冷静に一歩引いた目線で撮ることができるようになっていた。

 

 TOKYO BAYはこの20年で大きく変わっていた。東京湾アクアラインが架かり、三浦半島と房総半島が結ばれた。まるで恐竜が向き合っている様のゲートブリッジもできた。東京の街は再開発などでビルが乱立し、よりビッグシティになった。2020年にはオリンピックも開催される。

 

1つだけ分かったことがある。20年前のTOKYO BAYからの宿題、“何か”は海風の中に音だけは聞こえてはきたがその答えは分からなかった。しかし今はその海風の中に“移ろい”とはっきりと聞くことができる。どうもそれが私が撮りたかったものらしいと。

 

「移ろいとは?」とTOKYO BAYに再び聞いてみたが何も答えてはくれなかった。また大きな宿題を突き付けられたような心境だ。もしかしたらあと20年後、その“移ろい”の答えを海風の中に聞くことができるのかもしれない。

 

 

2019年早春の自宅にて。

野寺治孝

 

 

高額な制作費や出版社の営利面から実現しにくい写真集

でも、良いものは残していきたい、広めていきたい

 

現在、出版業界の不況の影響などもあり、コストがかかり、好き嫌いが分かれるような分野の出版物を手がけることが少なくなってきています。日本では、アート作品を好き嫌いだけで購入を決める人が多くない傾向があり、幅広い作品が普及しにくい文化背景があります。

 

人気や話題になったものが売れる傾向が大きく、日本発の作品でも、海外で売れたことで日本でも売れ始めることもよくあります。こういった背景から、アート分野に属する写真集などは、非常に難しい立場に立たされています。

 

 

特に写真集などは、作品の良さを引き出そうとすると、やはり大型の本になってしまったり、世界観を表現するために、用紙や高度な印刷技術を使おうとすると、どうしても製作コストがかかってきてしまいます。

 

出版社では、制作を自社で行わないことが多いため、制作費が大きな割合を占める写真集などは、ハイリスクかつ薄利なため、この分野には手を出しづらい状況があります。

 

一方、製本会社で制作する場合、通常の出版社のマージン分がなくなるため、ローコストで仕上げられるという利点があるとともに、自社の技術を生かし、体裁など工夫を凝らしたものを制作者と直に話し合いながら、作家と共に仕上げていくことができるため、非常にクオリティの高い作品を生み出して行くことが可能になります。

 

そのため、今後こういった分野で製本会社が担っていく役割は大きくなっていくと考えられます。今回はそんな時代の先駆けとなるような取り組みです。

 

 

 

質感・色合い、全てにこだわり抜き、命を吹き込んだ作品

 

<仕様>

・ページ数:120P

・サイズ・版サイズ:H297mm×W303mm 

・本の仕様:フルカラー、ハードカバー

・写真の掲載点数:57点

印刷のクオリティにも非常にこだわり、表紙のタイトルには文字加工を行った仕上がりとなる予定です。

 

今回、みなさまから頂きましたご支援は、写真集を製作する上に必要となる、デザイン費、印刷費、製本費、用紙代、送料、世界の各賞への申し込み費用、プロモーション費用、などに充てさせていただきます。

 

 

 

作家やアーティストの想いを本というカタチに込めて

後世に残し、その文化を世界に広めていきたい

 

現在は、自分で作品集など出版したいと思って出版社に持っていっても、断られるケースがほとんどだと思います。また、仮に受け入れられても、出版社の言いなりになって、自身の作風などは却下されることも多くみられます。

 

そんな中、このような形でプロジェクトに挑戦することで、少しでも支援してくださる方がいて、弊社のように本を作れるプロフェッショナルと一緒になれば作品集が出来る、それによって少しでも多くの方々に、さまざまな作品に触れていただく機会を作ることができ、ひいてはそんな取り組みが、日本のアート文化の貢献に繋がっていけばと考えています。

 

 

 

プロジェクトメンバー紹介

 

◼︎佐藤丈幸 プロデューサー

1972年東京千代田区神田生まれ、米国ノースカロライナ州立大学シャーロット校芸術学部卒業。帰国後、広告代理店など経て、家業である製本会社「栄久堂」に入社。製本だけに留まらず、企画・デザインから受注し製本までの一貫制作を試みるも、一人で全てこなすことに限界を感じたため製本分野に選択集中し、実験的製本レポートをはじめ製本の可能性拡大に注力しています。


紙の可能性をまだまだ広げるため、「世界一美しく面白い本を作りたいと思っている製本会社」として、日々本作りに励んでいます。今回の「TOKYO BAY」は究極の写真集を目指して、各ジャンルトップの職人を集め、プロデューサー兼製本職人として参画しています。

 

 

◼︎中島雄太 アートディレクター デザイナー

1978年 静岡生まれ。文化服装学院アパレルデザイン科卒業。フリーランスとして独立。2018年にユータデザインスタジオ設立。紙媒体のグラフィックデザインを中心に、装丁、エディトリアル、展覧会構成、広告、パッケージ、ロゴマーク、WEB、UI、企業・商品のブランディングなどのデザイン制作に携わる。

 

東京在中で、普段何気なく見ている東京湾。ここまでさまざまな表情があることに驚かされ、同時に自然と人との接点を感じる写真群です。そんなうつろいの旅にページをめくりながら是非ご参加ください。

 

 

◼︎江口貴勅 Takahito Eguchi 作曲家

ゲーム•アニメ•映画•ドラマの劇伴作編曲やアーティストの楽曲制作•ライブサポート演奏など東京を拠点にマルチに活動中。代表作に「ファイナルファンタジー X‐2」「ソニックシリーズ」などのゲーム音楽、「D.N.ANGEL」「トリニティブラッド」「レンタルマギカ」などのアニメの劇伴、『最後の晩餐 ~刑事・遠野一行と七人の容疑者~』「陽はまた昇る」「ママが生きた証」『松本清張•地方紙を買う女~作家•杉本隆治の推理』「就活家族~きっと、うまく行く」などのドラマ音楽。

 

最初テーマ作曲の依頼を受けた時、光栄であると同時に身の引き締まる思いがしました。本物の作品を前に音楽が果たして必要であるのか…初めはそんな想いもありましたが、僭越ながら、この価値ある作品と皆様を繫げる何かしらのお手伝いができるとしたら、とお引き受けしたことを思い出します。2011.3.11の後、こうして生まれ変わろうとしている新しいTOKYOBAY。そこには、どのようなメッセージがあるのでしょう。今度はどんな”音楽”が聴こえてくるのか…。僕はそれが楽しみでもあり、通るべき価値ある挑戦だと思っています。

 

 


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