支援総額
目標金額 3,700,000円
- 支援者
- 191人
- 募集終了日
- 2023年6月30日
【コラム】ベートーヴェンの交響曲第九番 2.「何が」描かれているの?/「どこが」凄いのか:その2
こんにちは!「住民と公衆衛生学会で第九を歌う会」事務局です。
今日も先日に続いて、第九コラム「ベートーヴェンの交響曲第九番・演奏の歴史と曲の持つ意味」をお届けします。筆者の余力の問題でとぎれとぎれになっていること、申し訳ありません。
以前のコラムはこちら↓
演奏会場について:感染対策のこと、この会場で演奏することの意義とは?
https://readyfor.jp/projects/tsukubadai9/announcements/267241
【コラム】ベートーヴェンの交響曲第九番:演奏の歴史と曲の持つ意味 1.「いつ」作曲されたのか
https://readyfor.jp/projects/tsukubadai9/announcements/268191
【コラム】ベートーヴェンの交響曲第九番:演奏の歴史と曲の持つ意味 2.「何が」描かれているの?/「どこが」凄いのか:その1
https://readyfor.jp/projects/tsukubadai9/announcements/270864
2. 第九に「何が」描かれているのか?
しばらく間があいてしまいましたが、まず交響曲第9番の全体の構成をご説明します。このプロジェクトで演奏するのは第三・第四楽章(合唱のある部分)なのですが、第四楽章の冒頭は第一・第二・第三楽章からの旋律の引用でできているので、第一、第二楽章にも触れておきます。
複雑な音楽なので何が書かれているか一言でいうのがとても難しいのですが、無理に説明しようとするなら以下のようになります。
まず第一楽章では意思の力のようなものがとても雄々しくかつ緻密に演奏され、第二楽章は第一楽章を気分的には承け継ぐ形で少しユーモアも交えながら力強く、第三楽章ではいったん音楽全体が非常に落ち着いて穏やかさとか安らぎとかを十分に与えます。
ここまではベートーヴェンの器楽だけによる交響曲としてとても秩序だった形をとっていますが、第四楽章の冒頭でそこまでの音楽の流れが一度完全に崩壊し、その中でこれまでの音楽の全てを振り返りつつも全く新しい「歓喜」の主題に至り、合唱と合奏が「歓喜の主題」に乗せてシラーの詩を様々な形で歌いながらやがて盛り上がりの極点に達したところで曲全体の終幕を迎えます。
この曲の核心部分は、明らかに第四楽章で「歓喜」を歌うことにあります。
それも、第一楽章から第三楽章に代表されるベートーヴェンの音楽の、そして器楽だけによる交響曲の「これまで」をいったん全て否定したうえで、ソリスト4人と合唱という大規模な歌唱部分を交響曲の終曲に用いること、通俗的にいうといわゆる「苦悩を通じて歓喜へ」という主題をこれ以上なくはっきりと示すために歌うことにあります。
間違いを恐れずに極端な言い方をすれば第一楽章から第三楽章は第四楽章の、それも声楽部分を呼び起こすための前置きと言ってもよいかもしれません。
できるだけ楽譜も使わずに、また音楽の、特に形式にかかわる専門用語は使わずに解説できるとよいのですが、うまくいくかどうか。全曲は約70分と長いのですが、ぜひ音源を探して併せてお聴きいただけると幸いです。
〇第一楽章
全体を通しての重々しい響きもさることながら、最も特徴的な部分が冒頭です。約1分にわたって非常に小さな音での序奏が続くのですが、そこではなんと長調なのか短調なのかが全くわからない状態が続きます。私たちはドミソの和音なら長調(明るい)、ドミ♭ソの和音なら短調(暗い)と感じますが、このミ/ミ♭の部分が延々と抜けているため(空虚五度といいます)、長調か短調のどちらかを区別することができないのです。
これを交響曲でやったのは筆者が知る限りではベートーヴェンが初めてで、そのことが曲全体への非常に壮大な、また何が起きるか全く予測できない、非常に謎めいた印象を与える前置きとなっています。また、この長い序奏が後で第四楽章の冒頭に引用されます。
その後にはニ短調のソナタが続きますが、音楽がある種英雄的な印象を与えるだけではなくて、形式的にはソナタの中にフーガを巧みに取り入れて、これぞベートーヴェンの曲というような非常に緻密な構成となっています。時折長調に転じたときに、奮闘するなかでの一瞬の安らぎ、のような感触を覚える人がいるかもしれません。
〇第二楽章
第一楽章と同じくニ短調で、楽譜の冒頭にはスケルツォと書いてあります。スケルツォとはなにかというとこれも曲の形式です。たいていは三拍子のA-B-Aの三部構成となっていて、内容の縛りはありませんが速いテンポで書かれることが多いです。語源はイタリア語の「冗談」なのですが、ベートーヴェンが書くととても冗談には聞こえないような印象を与えます。
非常に緊迫感というか力に満ちていて、テーマを執拗なほど繰り返し、速いテンポで音楽を発展させるニ短調の第一部(主部)から、第二部(中間部)ではニ長調へ反転してリズミカルなのは同じながらメロディの豊かさが目立つようになり、明るい穏やかな表情を見せます(実はここで第四楽章のいわゆる「歓喜の旋律」が形を変えて主旋律として登場しています)。そのあと第三部では第一部が概ね繰り返されて終わります。
第二楽章からは、第一部の主旋律が第四楽章に引用されます。
〇第三楽章
この作品をロマンティックに解釈する人は、この楽章のことを「ベートーヴェンの生涯で最も安らぎに満ちた楽章」と表現することもあります。実際そういう部分がとてもあり、第一楽章から第二楽章へテンポや力感が増しつつ発展したところ、うってかわって非常にゆっくりした穏やかな音楽がはじまる楽章です。
明確な形式はないのですが、主に2つのテーマを少しずつ交互に、あるいは重ねながら変奏する形をとっており、楽章の最後に近づいたところで音楽的には最高潮になり、その後穏やかな音量に戻って楽章が閉じられます。
テーマのうち1つがこの後の第四楽章に引用されます。
〇第四楽章
合唱部分の解説がとても大変なので、まずは導入部分まで。
冒頭、第三楽章までの流れを完全に断ち切りひっくり返すかのように、大音量の不協和音からはじまる、いわゆる「恐怖のファンファーレ」と呼ばれる短く激しい旋律が鳴らされます。直後に低音部の弦がファンファーレと全く違う旋律を奏でます。この低弦の旋律は一般的に「直前に演奏されたモチーフを、『いや、この音楽は今演奏すべきものではない』と否定している」部分、いわゆる「否定の動機」です。
「恐怖のファンファーレ」とそれに対する「否定の動機」が数回繰り返された後、第一、第二、第三楽章それぞれから引用されたメロディーが、これならどうか、これならどうかと試すかのように演奏されますが、いずれも低弦によって否定され続けます。
その後ようやくコントラバスによってニ長調の「歓喜の主題」が低く低くとても小さく語られます。ここにオーケストラの各楽器が少しずつ加わり、まるで互いに寄り添うようにしながら「歓喜の主題」を繰り返し繰り返し演奏しつつ、徐々に音量を増していきます。一度はオーケストラの音量がクライマックスに達したところで、再度「恐怖のファンファーレ」がその展開を突然打ち切ります。
それに対抗するかのように、ここではじめて以下のように声楽が登場します。バスの独唱です。
"O Freunde, nicht diesen Töne!
『おお友よ、このような音ではない。
Sondern laßt uns angenehmere anstimmen...
かわりに歌おうではないか、もっと快く、…
und freudenvollere."
そして歓びに満ちた歌を!』
と、冒頭から使われていた「否定の動機」に乗って歌います。歓喜(freude)に満ちた(freudenvollere)という言葉には、たった一語を歌うために何と10秒以上も続く非常に長いメロディが当てられており、この後続く合唱の主題が「歓喜」であることがここで早くも暗示(というか半ば明示)されます。
他はすべてシラーの詩からの抜粋なのですが、ここだけはベートーヴェン自身が書いた歌詞です。
そのままバスが「Freude(歓喜よ!)」と呼びかけ、合唱からの同じく「Freude」という短い応答を二回繰り返し呼び込んだ後に(まるでコール&レスポンスのようですね)、この曲で最も有名な部分、つまり「歓喜の主題」に歌詞がついた部分がはじまります。
実はここまでの流れ、つまりこれまで登場させたメロディを一つ一つ否定していく流れは、ベートーヴェン自身の長い作曲過程とほとんどシンクロしていたようです。
メモ魔だったベートーヴェンは第四楽章を作るにあたってももちろん大量のメモ(スケッチと言います)を残していますが、スケッチには楽譜の横に本人の言葉も書き残されています。以下すべてベートーヴェン本人の書き残した言葉です。
〇第一楽章からの引用譜には「おお、否、これではない、私が必要とするのは、もっと好ましいものなのだ」
〇第二楽章からの引用にも「ああ、これでもない、こんなものは単なる道化にすぎぬ、もっと快活で、より美しく、より良きものでなくては……」
〇第三楽章のメロディにも「ああ、これではない、あまりに繊細に過ぎる。何か、かくのごとき、覚醒した(?)ものを探し出さねばならぬ…」
〇そして「歓喜の主題」の横には「ほほう、まさにこれだ、いまや見つけたり、歓喜を…」
本人の書き添えた言葉を前にしてこれ以上は何をか言わんやというところですが、声楽の部分に至る第四楽章の導入部分はまさにベートーヴェンが悩んで歓喜の主題にたどりついた様子ととてもよく似ている、流れとしてはほぼ同じであると言っても間違いではないでしょう。
その後は合唱とオーケストラによって、ベートーヴェンがシラーの「歓喜に寄せて」を抜粋・再構成した詩を歌い続けます。途中には行進曲部分あり、「歓喜の主題」の再現あり、ゆっくりのテンポになって「抱き合え、百万の人々よ、この口づけを全世界へ!」と歌うところあり、やがてクライマックスに達したところで終曲を迎えますが、それは次回のコラム(3. 「どこが」凄いのか?)で、
〇シラーの原詩も参照し
〇第四楽章をくわしくみながら
〇ベートーヴェンの語ろうとした「歓喜」の手がかりにせまろうと思います。
(住民とともに公衆衛生学会で第九を歌う会・事務局 中野)
参考文献
ベートーヴェン 交響曲第9番ニ短調作品125〘合唱付〙 (全音楽譜出版社、解説諸井三郎)
第九――世界的賛歌となった交響曲の物語 (法政大学出版局、ディーター・ヒルデブラント、山之内克子訳)
生誕250年 ベートーヴェン《第九》すみからすみまで (音楽之友社、『音楽の友』&『レコード芸術』編)
リターン
3,000円+システム利用料
個人向け|3000円コース
・お礼のメッセージ
- 支援者
- 80人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2023年11月
10,000円+システム利用料
個人向け|招待券付10,000円コース(5名限定)
・お礼のメッセージ
・第82回公衆衛生学会合唱イベント優待席(立見)へのご招待
5名限定
▼合唱イベント詳細
日時: 2023年11月1日午後5時より
会場: つくば国際会議場
※会場への交通費は自己負担となります。
- 支援者
- 5人
- 在庫数
- 完売
- 発送完了予定月
- 2023年11月
10,000円+システム利用料
個人向け|10,000円コース
・お礼のメッセージ
- 支援者
- 58人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2023年11月
30,000円+システム利用料
個人向け|招待券付30,000円コース(5名限定)
・お礼のメッセージ
・第82回公衆衛生学会合唱イベント優待席(立見)へのご招待
5名限定
▼合唱イベント詳細
日時: 2023年11月1日午後5時より
会場: つくば国際会議場
※会場への交通費は自己負担となります。
- 支援者
- 1人
- 在庫数
- 4
- 発送完了予定月
- 2023年11月
30,000円+システム利用料
個人向け|30,000円コース
・お礼のメッセージ
・合唱に参加(希望者のみ、詳細は成立時にご案内します)
▼合唱イベント詳細
日時: 2023年11月1日午後5時より
会場: つくば国際会議場
※会場への交通費は自己負担となります。
※合唱イベントにご参加いただく場合ステージ上での合唱を想定しておりますが、人数に限りがありステージ下にてご参加いただく場合がございます。あらかじめご了承ください
- 支援者
- 20人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2023年11月
50,000円+システム利用料
個人向け|招待券付50,000円コース(10名限定)
・お礼のメッセージ
・第82回公衆衛生学会合唱イベント優待席(立見)へのご招待
10名限定
・合唱イベントにて歌うベートーヴェン第9の楽譜をプレゼント(希望制)(プロジェクト達成後郵送いたします)
▼合唱イベント詳細
日時: 2023年11月1日午後5時より
会場: つくば国際会議場
※会場への交通費は自己負担となります。
- 支援者
- 4人
- 在庫数
- 6
- 発送完了予定月
- 2023年11月
50,000円+システム利用料
個人向け|50,000円コース
・お礼のメッセージ
・合唱に参加(希望者のみ、詳細は成立時にご案内します)
・合唱イベントにて歌うベートーヴェン第9の楽譜をプレゼント(希望制)(プロジェクト達成後郵送いたします)
▼合唱イベント詳細
日時: 2023年11月1日午後5時より
会場: つくば国際会議場
※会場への交通費は自己負担となります。
※合唱イベントにご参加いただく場合ステージ上での合唱を想定しておりますが、人数に限りがありステージ下にてご参加いただく場合がございます。あらかじめご了承ください
- 支援者
- 3人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2023年11月
100,000円+システム利用料
個人向け|招待券付100,000円コース(10名限定)
・お礼のメッセージ
・第82回公衆衛生学会合唱イベント優待席(立見)へのご招待
10名限定
・合唱イベントにて歌うベートーヴェン第9の楽譜をプレゼント(希望制)(プロジェクト達成後郵送いたします)
▼合唱イベント詳細
日時: 2023年11月1日午後5時より
会場: つくば国際会議場
※会場への交通費は自己負担となります。
- 支援者
- 1人
- 在庫数
- 9
- 発送完了予定月
- 2023年11月
100,000円+システム利用料
個人向け|100,000円コース
・お礼のメッセージ
・合唱に参加(希望者のみ、詳細は成立時にご案内します)
・合唱イベントにて歌うベートーヴェン第9の楽譜をプレゼント(希望制)(プロジェクト達成後郵送いたします)
▼合唱イベント詳細
日時: 2023年11月1日午後5時より
会場: つくば国際会議場
※会場への交通費は自己負担となります。
※合唱イベントにご参加いただく場合ステージ上での合唱を想定しておりますが、人数に限りがありステージ下にてご参加いただく場合がございます。あらかじめご了承ください
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個人向け|特別席招待券付300,000円コース(10名限定)
・お礼のメッセージ
・第82回公衆衛生学会合唱イベント特別観覧席へのご招待
・合唱イベントにて歌うベートーヴェン第9の楽譜をプレゼント(希望制)(プロジェクト達成後郵送いたします)
▼合唱イベント詳細
日時: 2023年11月1日午後5時より
会場: つくば国際会議場
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- 支援者
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- 在庫数
- 7
- 発送完了予定月
- 2023年11月
300,000円+システム利用料
個人向け|300,000円コース
・お礼のメッセージ
・合唱に参加(希望者のみ、詳細は成立時にご案内します)
・合唱イベントにて歌うベートーヴェン第9の楽譜をプレゼント(希望制)(プロジェクト達成後郵送いたします)
▼合唱イベント詳細
日時: 2023年11月1日午後5時より
会場: つくば国際会議場
※会場への交通費は自己負担となります。
※合唱イベントにご参加いただく場合ステージ上での合唱を想定しておりますが、人数に限りがありステージ下にてご参加いただく場合がございます。あらかじめご了承ください
- 支援者
- 0人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2023年11月
100,000円+システム利用料
法人・団体向け|100,000円コース
・お礼のメッセージ
・第82回公衆衛生学会合唱イベントプログラムへのお名前掲載 小 (希望制)
・第82回公衆衛生学会合唱イベントプログラムへのチラシ折り込み(希望制)
※プログラムへ織り込むチラシは自己負担となります、予めご了承ください
※プログラムへのお名前掲載、チラシ折り込みの詳細についてはご希望者にのみプロジェクト達成後(7月上旬)にご連絡いたします
▼合唱イベント詳細
日時: 2023年11月1日午後5時より
会場: つくば国際会議場
※会場への交通費は自己負担となります。
- 支援者
- 4人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2023年11月
300,000円+システム利用料
法人・団体向け|300,000円コース
・お礼のメッセージ
・第82回公衆衛生学会合唱イベントプログラムへのお名前掲載 中 (希望制)
・第82回公衆衛生学会合唱イベントプログラムへのチラシ折り込み(希望制)
※プログラムへ織り込むチラシは自己負担となります、予めご了承ください
※プログラムへのお名前掲載、チラシ折り込みの詳細についてはご希望者にのみプロジェクト達成後(7月上旬)にご連絡いたします
▼合唱イベント詳細
日時: 2023年11月1日午後5時より
会場: つくば国際会議場
※会場への交通費は自己負担となります。
- 支援者
- 1人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2023年11月
500,000円+システム利用料
法人・団体向け|500,000円コース
・お礼のメッセージ
・お礼状
・第82回公衆衛生学会合唱イベントプログラムへのお名前掲載 大 (希望制)
・第82回公衆衛生学会合唱イベントプログラムへのチラシ折り込み(希望制)
※プログラムへ織り込むチラシは自己負担となります、予めご了承ください
※プログラムへのお名前掲載、チラシ折り込みの詳細についてはご希望者にのみプロジェクト達成後(7月上旬)にご連絡いたします
▼合唱イベント詳細
日時: 2023年11月1日午後5時より
会場: つくば国際会議場
※会場への交通費は自己負担となります。
- 支援者
- 0人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2023年11月