(現在、飫肥杉は海の前で乾燥しながら僕の家族4人で毎日面倒をみています)

 

 

先週Ready forの立ち上げと同時に東京へ出張してきました。新たに開発したスタンドアップパドルボードを持ってアスリートとしてレースに出場する傍ら、ボランティアの海人丸プロジェクトを推進する僕ですが毎回海を渡ると懐かしい仲間との再会や、新しい人との出会いがあってとてもいい刺激を受けます。様々なアドバイスや支援の言葉本当にありがとうございました。

 

 

 

10年前までは年の半年をハワイで生活しレースに明け暮れながらホクレアのクルートレーニングを受けていましたが、沖縄に移住したときから海と隣り合わせの暮らしと海人丸の中に溜まった雨水を汲み出しながら、古くなった一号の修復作業に精を出しました。

 

二号建造を夢見て全長10mを越す飫肥杉を伐採したものの、重すぎる大木は僕一人の力では到底動かすこともできません。年に2回、地元成人会の仲間や県外から集まってくれた家族、友人、そして教え子の学生達と海遊びしながら、皆の力を合わせて大木を移動して防腐剤を塗る作業をしていると、ブログやフェイスブックを見た人の輪が徐々に広がっていきました。サバニのメインテナンス作業をしていると、登下校の小学生が集まり作業を手伝ってくれるようになりました。独身生活が長かった僕はそんな純粋な子供たちの存在が何よりも大きなエネルギーでした。そして海遊びを通して繋がった母子とついに新しい家族の縁を結びました。

 

県外に住む僕の親、兄妹は事あるたびに海人丸作業に協力してくれます。それは誰よりも家族の繋がりが大切だとわかっているからです。転勤族サラリーマンだった父の仕事の関係で、幼少の頃から転校を繰り返し目まぐるしく生活環境が変化し地元九州の祖父母からもどんどんと離れ都会暮らしが続きました。海からも離れ幼馴染や地域コミュニティーとの繋がりも気薄化した中高時代を過ごした僕は非行の道へ進みました。親戚の中にもいじめや不登校、そして自殺等、子供達が苦しむ姿を沢山目のあたりにしてきました。

 

 

「一体何が幸せで、何が不幸なのか?」

 

ずっと自問自答を繰り返しながらトレーニングに明け暮れた大学生時代でしたが、海でトレーニングする時間だけが心が平和になれました。入学当初、全く泳げなかった大学一年生の僕がライフセービング活動を通して徐々に遠く、深い海へと漕いでいくうちに目に見えない離れた島の存在や水平線の裏側を想像するようになりました。見えなくても繋がっているということが実体験を通して感じるようになり、とにかく強くなりたいとトレーニングに明け暮れました。

 

ハワイのモロカイ海峡横断レースでは6時間を越すレース中、荒波に揉まれた極限の状態のときぼんやりと空に浮かぶ祖先の姿に背中を押され、果てしなく長かった56日間の海人丸大航海では小さなサバニの上で生活を共にする4名のクルーと陸で祈ってくれた家族仲間との心の繋がりが本当の幸せだとわかりました。まさに海を渡ることで生まれ変わるような気持ちになれたのです。

 

 

今では屈強だと言われる僕でさえ大学一年生のときは50mも泳げませんでした。生まれた時から海に接していたわけではなく、星を見て海を渡るなんて想像もできませんでした。ただ一つだけ思い出せる僕の幼少の体験は、小学生時代の先生が山へキャンプに連れて行ってくれたこと。折れそうな木の枝に掴まって深い川底へジャンプしたあの恐くて楽しかった経験がずっと大人になっても心の奥底に残っています。

 

国土保全という名目で四方八方をコンクリートで埋め尽くされ、埋め立て地に当たり前に人が暮らすようになったこの国の大人たちは安全という意味を本当に理解しているのでしょうか?僕はそう思いません。エンジンもないカヌーは人力と自然の力のみを頼りに海を渡るからこそ、生きた杉や、海の生物、そして乗組員全ての命の存在に感謝し、危ないことと無謀な事の境目がわかります。

 

本当の安全は危険な冒険の中でしか見つけることができないのです。

 

海に囲まれたこの日本という島は大都会のイメージが先行していますが、美しい海と山に囲まれながらひっそりと助け合いながら暮らすコミュニティーはまだまだ沢山あります。自然の脅威を理解し命のバランスとリズムが全て波長のように保たれている場所で海人丸は活動を続けています。

 

 

(昨年11月海人丸仲間が集まって開催したファミリーイベント)

 

 

将来海人丸二号に乗って大海に漕ぎ出す子供たち。今回、皆様にお願いさせていただいたサバニ建造資金は強く逞しい日本人を育成する無限の可能性に繋がります。どうか皆さん果てしなく続く海の道を開拓するために力を貸してください。

 

自分に自信を持てず、海に飛び込むことが怖くて仕方ない子供に、そして海に飛び込むことなく大人になった全ての人に生きる力を与えて下さい。

 

皆さん一人一人がFacebookでシェアしていただくこと、”いいね” とボタンを押してくれること。全て人の縁が波紋のように広がっていくことこそが意味のある事だと思っています。

 

どうぞ宜しくお願いします。荒木汰久治

 

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