5月5日(こどもの日)は毎年恒例の親戚仲間が弁当を持って海に集まるピクニックをしました。先週、海人丸一号をサンゴ礁に囲まれた安部(アブ)という部落に移動しましたが、ここは波が押し寄せることがないとても安全な海です。帆柱(マスト)をたおして錨をおろした海人丸は海に浮ぶジャングルジムのような遊び場になります。この日は午後の満潮時刻に合わせて朝からカヌーの紐結び作業を行いました。綿の紐で縛り組み立てるのはとても力がかかります。組み立てが終わる頃には遠くに見えるサーフポイントに徐々に潮が満ち波が崩れはじめました。

 

「さぁ、波乗りに行こう!!」

 

と、スタンドアップパドルボードで繰り出しました。

 

 

まだ小学校に入ったばかりの子供たちは、自分一人で上手く波に乗ることができません。でも高学年のお兄さんやお姉ちゃんの背中を追いかけて必死にチャレンジします。波にまかれたら当然海に投げ出されます。足の立たない海で波にまかれたら、”泳ぐ”ことよりも”水面に浮いて息をする”のに必死になります。たとえプールで25mを泳げても海で泳げるとは限りません。決してパニックにならず、落ち着いて浮くことが海で言う”泳ぐこと”なのです。

 

ここ島嶼県の沖縄で育った子供でさえ8~9割は海で泳げないのが現状です。日本全国では更に多くの人が海離れしています。もし自然災害で大切な家族が水に飲み込まれて、自分が水に飛び込まなければいけなくなったら?っと考えることもあります。自然災害は少し大げさでも、日頃の暮らしで水と触れあい、水に飛び込む機会が激減するこの国で発生する水難事故は数えきれません。

 

 

たまにサーフィンするカヌーがひっくり返る時もあります。その時は乗組員4人全員が立ち泳ぎしながらカヌーを戻し、中の水を汲み出してから再乗艇する作業になるのでとても大変です。SUPでもカヌーでも上手く波に乗れれば大喜びし、海に投げ出されたらボードまで必死に泳ぎます。

 

「落ち着いて。まずは大きく息を吸たら浮くから安心して!!」

 

っと、何度か海に投げ出された人は自然と浮くこと、そして平泳ぎ、クロールと体が自然と動いてきます。僕は特別な泳ぎ方を指導することはありません。小さな子にはライフジャケットを付けさせるのは当然ですが、小学高学年になれば全て遊びの中で、少しの不安と付き合いながら体で覚えていくのが自然ですからなるだけ裸で遊ばせるようにしています。そして水に対する恐怖心が少なくなれば水中メガネや足ひれを使って魚のように海へ潜る楽しみが広がります。速く泳ぐことよりも長く浮いていられること。そして深く潜れることが海のサバイバル能力の基本だと思います。

 

 

海人丸は二隻のサバニを繋げたシンプルな形です。その基本となるのが紐結びの作業です。荒れた海で船体がバラバラにならない理由は、柔軟性に富んだ紐の結び目は四方八方からの力を分散するからです。鉄のボルトやナットを使って頑丈に溶接する必要はありません。アウトリガーカヌーの紐結びも同じように子供たちは自然と覚えていきます。

 

 

海人丸はカヌーの紐結び技術を応用しサバニ2隻を繋いでいます。カヌーは1時間程で完成しますが、海人丸一号は約2ヵ月もの間紐を結ぶ作業がかかりますからとても労力がかかります。使った後は、皆で力を合わせてカヌーを運びます。陸も海も紐結びも仲間の協力が無ければ効率よく進みません。チームワークは時間をかけて構築します。

 

こうやって、僕たち海人丸クルーは遊びの中から全てを吸収します。紐結びから始まって潜りや泳ぎ、波乗りや帆の操作、そして潮の満ち引きによって魚の動きを予測したり、星や太陽の位置から方角を知ります。

 

 

僕は全国を転校しながら大人になりました。幼少の頃、両親が連れて行ってくれた魚釣りやキャンプの思い出が、その後中・高校時代もずっと心の灯となり、高校3年生の頃、当時ライフセービングチャンピオンだった教育実習の先輩に魅かれ大学でライフセービング部に入りました。入部当時は50mも泳げず、泳力テストに合格するのに半年かかりました。

留学先のオーストラリアでは大きな波に巻かれ溺れ、14歳の女の子にレスキューされたこともありましたし、その後活動の拠点となったハワイではクジラやサメと遭遇し危険な思いも沢山しました。でも、どんなに怖い思いをしても楽しさと好奇心の方が何倍も大きく、どんどん広くて深い海の世界にはまっていきました。

子供の頃、海やキャンプを通して自然を感じていなければ、教育実習の先生の風貌に魅かれることも無かったでしょうし、溺れた翌日には海を嫌いになっていたと思います。楽しいことであれば、どんな苦労も、恐怖も乗り越えられるということを僕自身、全て海を通して体感してきました。そして今現在も日々学ばせてもらっています。

 

 

僕ら大人たちが次世代の子供達に何を託し、何を残すのか?僕も特に子供の将来、日本の未来をより真剣に考えるようになりました。戦後、自然の脅威を感じることなく便利さを求め経済大国へ発展を遂げた私たち大人が山積みにした多くの課題・問題を解決するのは、間違いなく次世代の人々=子供達です、だから海を通して強く逞しく生きる力を培ってもらいたいと思います。より多くの人と、水、食料を積み、更に大きな海を渡れる海人丸二号で多くの子供達を海遊びさせたいと願っています。

 
 
どうか皆様、海人丸二号建造にご協力の程をよろしくお願いいたします。
 

Keep paddling. 荒木汰久治

 

※※※ メッセージ動画 ※※※

 

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