
支援総額
目標金額 2,500,000円
- 支援者
- 174人
- 募集終了日
- 2021年4月16日
インタビュー:榎戸雄一「富士山は、どんな人にも開かれている」
今回は、本プロジェクトの主要メンバーであり、この人がいなければこのプロジェクトも始まらなかった存在である撮影担当の榎戸ガイドにインタビュー形式でお話を聞かせてもらいました!
- 富士山ガイドを始めるきっかけと、これまでの富士登山歴は?
高校で山岳部に所属し、本格的に登山を始め、高校三年の夏に初めて富士山に登りました。その時は、高山病にかかり、渋滞により九合目で御来光を見ました。当時は、富士山はたくさんあるうちの一つの山にしかすぎませんでした。
富士山ガイドを始めるきっかけは、大学の山岳サークルの紹介です。20歳からガイドを始め、学生時代の5年間で60~70回のガイドツアーを行いました。大学卒業後に9年ほど社会人として働き、2011年に復帰して現在に至ります。
富士山で働くのは今年で 15年目となり、仕事とプライベートを合わせると 350回以上登っています。これまでに富士山の全4ルートから登っており、春夏秋冬全ての時期での富士登山もしています。一番好きなルートは、やはり慣れ親しんだ吉田ルートですかね。
- ガイドを始めた当時と今の富士登山はどのように変わっている?
何度かの登山ブームを経て、登ってる人の装備が非常にしっかりしてきました。昔はジーパンにウインドブレーカーのような格好で登る人が大半で、山の装備という感じではありませんでした。
最近は山の装備が一般に浸透してきたのではないでしょうか。アニメや漫画の影響で山に登る人への装備の重要性などが伝わっているのかもしれません。
また、近年は海外からのお客様が非常に増えているのも大きな変化です。これは世界遺産に登録された影響も大きいと思います。
また、当時は山小屋の寝具はすべて布団でした。今はもうほとんどの小屋が寝袋に変わり、登山道もしっかり整備されました。世界遺産に合わせて整備されたこともあると思いますが、看板や山小屋などの建造物はすべて赤茶色にしなければならないという決まりができたことで、景観も整備されました。
登山者の混雑状況は当時と今ではあまり変わらないように思います。なんなら渋滞は昔のほうが大変で、今の比ではありませんでした。昔は2泊3日のツアーがなく、1泊2日の山頂で御来光を見るツアーしかありませんでした。今は山小屋で御来光を見るツアー、吉田口から登って富士宮に下山するツアーなど色々なバリエーションがあります。
- ガイドを通して富士山に関わることで心境の変化は?
実際のところ、心境の変化はそんなにありません。より富士山のことが好きになったという事はあるかもしれませんが。ガイド業も基本的には富士山でしかやってなく、積極的に他の山でやろうとは思っていません。富士山は山小屋も多く、救助体制がしっかりしており、他の山よりもリスクが低いため、ガイドがやりやすい環境ができています。富士山の登山環境をもっと良くしたいということは考えています。
ーそれではどうして、富士山でガイド業を続けるのでしょうか?
富士山でガイドを続けるのは、富士山が好きだからです。あとは太子舘のガイド組織自体が色々な人がいて面白いからです。18歳から40代までが、同じ立場で仕事をする中で、面白い意見や多様な考え方などから刺激を受けることが多く、勉強になることも多々あります。
去年のコロナ禍で、富士山に登れない状況の中、太子舘ガイド会ではオンライン富士登山や低山ツアー、この写真集のプロジェクトなどの新プロジェクトが生まれました。普通の組織ならコロナの状況を静観しているだけだったと思います。
学生時代から関われる組織として考えると、今後絶対に役に立つ経験が積める良い組織だと思います。ガイド中は、高齢の方など、普段接することのないような方をお客さんとしてお連れすることになります。他の接客業ではちょこっと接するぐらいですが、ガイドでは丸々2~3日を一緒に山で過ごすことになり、他では得られないような、濃いつきあい方ができる貴重な機会だと思います。
これまで世界中を旅してきて、色々なぶっ飛んだ人に出会ってきました。インドのガンジス川を手製のイカダで下った人や、リヤカーを引いてアフリカを回ってる人など、何年も日本に帰らず、現地に溶け込んでいるような人をたくさん見てきました。メディアには載らなくても、世界にはすごい人がたくさんいます。そうした経験の中でも、ガイド会の人々は、型にはまらずに個性豊かな生き方をしている人が多く、面白い組織だと思います。
- 富士山の魅力とは?
どんな人に対しても開かれている山だと思います。見ても楽しめるし、登っても楽しめます。世界を見ても、富士山のように見て楽しむ山はなかなかないと思います。
富士山のように、信仰の対象とされるような山もありますが、富士山ほどのゆるさはありません。富士山は日本人全体の山として受け入れられているところがあります。
チベットの、登山が禁止されているカイラス山や、トルコにあるノアの箱舟がたどり着いたと言われるアララト山など、信仰の対象としての山は海外にもあります。カイラス山では五体投地といって、山の周りを這いながら巡礼する修行の一種がされており、非常にストイックな信仰です。また、フランスとスペインにまたがるサンティアゴ・コンポステーラなどの巡礼地もありますが、山は出てきません。
富士山のように登山そのものが信仰の対象となり、その存在がメジャーなものは世界の中でもそうないのではないでしょうか。色々な所から見える富士山だけを専門に撮っているカメラマンなどもいて、富士山はそれだけ開かれた山なのだと思います。
- 2013年に世界文化遺産として登録された内容である「信仰の対象と芸術の源泉」の2つ側面についてどう思うか?
信仰の対象の面は今は弱くなっていると思います。ただ、今の登山スタイルは昔の信仰登山のスタイルを踏襲しているところがあります。昔は先達(せんだつ)という方がいて、今はそれがガイドに変わっただけです。そういった意味では、形としては残っているが、富士山を信仰の対象として見る人はそんなにいないと思います。ただ、富士山を語る時に外せない側面なんだと思います。山頂が浅間大社の境内になっていたり、山頂の火口がご神体であるということは富士山が宗教的な聖地であるがゆえだと思います。
どちらかというと、芸術の源泉のほうが大きいと思います。あれだけ写真に撮られている、絵に描かれている、文学作品にされている山は世界にはありません。そこは世界的にも唯一無二だと思います。
- 写真に限らず富士山に関する作品で、面白いと思うもの、特に惹かれるものは?
やはり面白いのは葛飾北斎の富嶽三十六景だと思います。一枚摺で木版画形式の浮世絵という、今でいう絵葉書的な形式、値段で販売し、当時の富士登山ブームもあり、江戸の庶民の中で爆発的に広がりました。
富嶽三十六景は、富士山をメインとした浮世絵だと思われがちですが、どちらかというと富士山はオマケ的な扱いで、江戸の庶民の暮らしがメインに描かれた絵が中心になっています。純粋な富士山の絵は数点しかありません。
関連作品などを調べていくと、さらに面白さが広がります。富嶽三十六景(実際は四十六景)には、河村岷雪の『百富士』という参考にした絵図があり、富嶽三十六景の後には、『富嶽百景』というシリーズも出しています。北斎の死後に出た歌川広重の『冨ニ三十六景』など、日本はもちろん、19世紀後半のヨーロッパでのジャポニズムブームの火付け役でもありました。
葛飾北斎は14、5歳から絵を始め、90歳近くまで生きた人ですが、富嶽三十六景を描き始めたのは70歳を越えてからです。富嶽三十六景は当時の江戸で大人気となった作品ですが、富士山に固執することなく、以降はメインを版画から肉筆画に変え、絵の内容にも変化があり、亡くなる直前まで様々な絵を書き続けた彼の人生や、彼を取り巻く環境そのものも面白いです。
葛飾北斎がどうしてそれほど富士山にのめり込んでいったのかは分からないのですが、昔から描かれていた富士山の魅力というのは、彼をも魅せるものがあったのだと思います。
葛飾北斎の富士山の絵の中でも、一番好きなのは『富嶽三十六景』ではなく、実は『桜花に富士図』という北斎が40代の時に描いたものです。世の中ではほとんど知られていませんが、淡いパステルカラーがとてもきれいで、その多才さが伺えます。
また、亡くなる前に富士山を描いた『富士越龍(ふじこしのりゅう』は、自分を龍に見立てたとも言われる富士山と龍を描いた作品で、これも好きな作品の一つです。3万点とも言われる作品を残した北斎ですが、死ぬ前に「あと5年、いや、あと10年生きながらえることができたならば、本物の絵描きになれたのに……」と言い残したと言われているのも面白いです。
- これまでに撮影してきた富士山の写真はどのようなもの?
最初は富士山自体の写真をたくさん撮っていました。ただそういった写真は世間にはあふれているため、富士山からの写真や富士登山の写真を意識して撮り始めました。一番撮りやすかったのが富士山の中の写真だったという事もあります。
ー今回の写真集プロジェクトでは、どのような場面を焦点に撮影したいですか?
富士山の素晴らしさと、こんな景色も見えるんだという所を見せたいです。富士山から見える絶景や人が絡んだ登山中の様子をたくさん撮りたいと思っています。今後の状況次第だとは思いますが、山開き前後の山小屋や富士山の中の様子なども撮影できればと思っています。
葛飾北斎の『富嶽三十六景』のように、やはり人を絡めた富士山を撮りたいと考えています。
- 最後になりますが、榎戸さんにとって富士山とは?
単純に好きな山で、長く付き合う中で自分の中でもそのウェイトが大きくなっています。
今では、人生の半分は富士山と言ってもいい存在になってます。
リターン
1,000円
一合目コース
●サンクスレター
オリジナルポストカードに手書きメッセージを添え、富士山頂郵便局から投函いたします。ポストカードには山頂郵便局の消印スタンプが押されます!
- 申込数
- 12
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2021年8月
3,000円
三合目コース
●サンクスレター
オリジナルポストカードに手書きメッセージを添え、富士山頂郵便局から投函いたします。
●富士山写真のデジタルフォトブック
写真集出版と同じく2022年4月までの発送となります。
●ラミースピンドライタオル(finetrack製品)
- 申込数
- 36
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2021年8月
1,000円
一合目コース
●サンクスレター
オリジナルポストカードに手書きメッセージを添え、富士山頂郵便局から投函いたします。ポストカードには山頂郵便局の消印スタンプが押されます!
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- 12
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- 制限なし
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- 2021年8月
3,000円
三合目コース
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●富士山写真のデジタルフォトブック
写真集出版と同じく2022年4月までの発送となります。
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- 2021年8月

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