高齢猫を看取るための保護猫シェルターの設立にご支援をお願いします！

チャトラーズと出会ってからおよそ6年が経った2022年12月のある日、ついに流れキジを保護することができました。

 

私にとって念願だったチャトラーズの保護のうち、およそ半分が済んだことになります。

 

そして残り半分の課題であるチャトラの捕獲について、まずは友人に相談してみました。

 

私はかつてチャトラの捕獲に失敗していますし、上手く手掴みで捕獲する自信が無かったのです。

 

私の話を聞いた友人は二つ返事でチャトラの捕獲を引き受けてくれて、数日中に決行されることになりました。

 

 

友人は多くの猫を捕獲してきたベテランではありますが、相手がチャトラだけに多少の不安は残ります。

 

老いたとは言えチャトラはボス級の体格で腕力がありますし、友人の細腕で抑えきれるかどうか心配だったのです。

 

それにもし捕獲に失敗したら、チャトラが再び心を開くまでしばらく時間が掛かりそうなので、チャトラの保護は先延ばしになってしまうでしょう。

 

しかしチャトラの捕獲に関して私が手伝えることはありませんし、ひとまずは友人からの知らせを待つことにしました。

 

そして、流れキジの捕獲から僅か3日後、私の元へキャリーケースに入ったチャトラが届けられました。

 

 

友人の話では、それほど手こずることなく、チャトラの捕獲に成功したそうです。

 

私は友人からチャトラを受け取り、そのまま保護猫シェルターへ急ぎました。

 

例によってチャトラにも駆虫薬を済ませた後は、ケージに入れて様子を見ることになります。

 

すると、ケージに入ったチャトラは外で暮らしていた時には見たことないほど、身体を縮めて怖がっていました。

 

急激な環境の変化に戸惑っているのだと思いますが、家猫になるためにはどの猫も通る道です。

 

 

私はチャトラに少しでも早く家の暮らしに馴染んでくれるよう、優しく話しかけました。

 

チャトラは私のことを分かっているのか、保護した初日から身体を触らせてくれたので、ある程度の時間を掛ければ家猫として無事に過ごすことができそうです。

 

食欲やトイレも問題なく、まずは家猫生活の第一関門をクリアしました。

 

こうして、保護猫シェルターにはエリちゃん・チャトラ・流れキジの3匹が暮らすことになったのです。

 

 

そして捕獲から2週間ほど経ったころ、チャトラのお尻のケガを診察してもらうために、動物病院へ行くことになりました。

 

診察した先生によると、チャトラのお尻のケガはお腹を下した汚れによって腫れているのではないか、とのことでした。

 

おそらく、お腹の状態が良くなってくれば自然とお尻のケガも治ってくる、との診断結果だったため、整腸剤で様子を見ることにしました。

 

また病院にきたついでに、チャトラは高齢と思われたことから、エイズ・白血病検査と血液検査を受けることにしました。

 

エイズ・白血病検査の結果は、猫エイズが陽性で白血病の方は陰性でした。

 

チャトラは外にいる頃に散々ケンカしてケガをしていたのですから、猫エイズだったのは想定の範囲内です。

 

 

また、血液検査の結果に関しては、想像以上に健康な数値で驚かされました。

 

外猫として暮らしている時のチャトラは水を良く飲んでいた印象があったので、腎臓にダメージが蓄積していると思われたのですが、血液検査の結果では腎臓に問題はありませんでした。

 

こうしてチャトラの病院はひとまず終わり、後はシェルターでゆっくりと養生しながら家猫修行をするだけです。

 

 

私はケージにいるチャトラと流れキジをゆっくりと眺めながら、私はつくづく自分を幸せ者だと思いました。

 

6年間外猫としてお世話をしたチャトラと流れキジを、私の元へ保護できたのですから。

 

でも、それは全てチャトラと流れキジが過酷な外猫の暮らしを、強く生き抜いてくれたおかげです。

 

私はチャトラと流れキジへ、6年間頑張ってくれたことにお礼を言いました。

 

 

そして、2号と一緒に3匹で保護できなかったことを謝りました。

 

私が3匹の義兄弟猫たちと交わした桃園の誓いは、完全な形で果たすことができなかったのです。

 

ここにもし2号もいれば、私は何ひとつ思い残すことはありませんでした。

 

そんなことを考えていた時、三国志の劉備・関羽・張飛の義兄弟たちも、最初に命を落としたのが関羽だったことをふと思い出しました。

 

私が2号に関羽の名前を当てはめてしまったのは、悲しい運命を引き起こすきっかけになってしまったのかもしれません。

 

しかし、2号が消えたことは、チャトラと流れキジを保護するきっかけにもなりました。

 

もし2号の一件が無ければ、私はここまで懸命に保護猫シェルター作りに邁進できなかった気がします。

 

 

それに、2号は死んでしまったとは限らないのです。

 

何らかの事情で駐車場から他の餌場に流れて、今でも元気に暮らしているかもしれません。

 

もしかすると、どこかで誰かに保護されて、幸せな家猫生活を送っている可能性だってあります。

 

私はチャトラと流れキジを交互に眺めながら、どこかにいる2号へ話しかけてみました。

 

「チャトラと流れキジは家猫になったんだよ。」

 

「2号も一緒に保護できなくてごめんね。」

 

「チャトラと流れキジは私が絶対に幸せにするから。」

 

目の前に2号はいませんが、私の気持ちを言葉にすることで、何となく報われる気がしたのです。

 

そして2号もきっと、チャトラと流れキジの行く末を見届けてくれているはずです。

 

 

こうして私とチャトラーズの新たな関係がスタートしました。

 

私はチャトラーズと交わした桃園の誓いを果たすため、これからもチャトラと流れキジをしっかりお世話していこうと決意を新たにしたのでした。

 

（おわり）