高齢猫を看取るための保護猫シェルターの設立にご支援をお願いします！

2021年の年末、忽然と2号が姿を消してしまいました。

 

私は2号を失った悲しみと後悔を繰り返さないためにチャトラと流れキジの保護を決意し、新たに物件を借りて保護猫シェルター作りを進めました。

 

そして、2022年の12月、いよいよチャトラと流れキジを保護する時がやってきたのです。

 

この頃のチャトラですが、お尻に謎のケガのようなものがありました。

 

さしあたって命に影響のある症状では無さそうですが、原因が分からず対処をするのも難しい状態でした。

 

 

この謎のケガは2か月ほど続いていてなかなか治らなかったため、病院で治療を受けるしか解決法が見当たらず、なるべく早めに保護してあげたいと思っていました。

 

また、チャトラが新しく流れてきたキジトラ猫とケンカして負けてしまったのも、保護を急いだ理由です。

 

そのキジトラ猫はたまに駐車場に現れていたのですが、ある日チャトラとケンカになってしまいました。

 

しかも、チャトラは完全に私の方に気を取られていて、後ろからキジトラ猫が近づいていることに気付いていなかったのです。

 

背後から不覚を取られたチャトラは、キジトラ猫の襲撃を避け切れずに、私の背後へ逃げる形になってしまいました。

 

 

このことは、私にとって大きなショックでした。

 

いくら油断していたとは言え、長くボス猫として君臨してきたチャトラが、他の猫に対して負けを認めてしまったからです。

 

さらにこの一件は、チャトラが老いて衰えてきたことも意味していました。

 

この6年間を思い返してみると、チャトラはずっとボス猫として駐車場の平和を守り、そしてチャトラーズの仲間たちを守ってきました。

 

しかし、どう若く見積もっても8歳を超えているだろうチャトラが、これからも第一線で他の若い猫たちと戦い続けるのはもう難しいでしょう。

 

私は年内を目処にして、チャトラと流れキジの保護を済ませることを決意しました。

 

 

2匹の捕獲方法についてですが、捕獲機は使用せず手掴みでキャリーケースへ入れることにしました。

 

流れキジはともかくとして、チャトラは捕獲機にトラウマを持っているからです。

 

さらに、捕獲する順番も重要です。

 

チャトラよりも先に流れキジを捕獲しないと、妙に勘の鋭い流れキジが異変に気付いてどこかに流れてしまうおそれがありました。

 

私は綿密に頭の中で手掴みのシミュレーションを重ね、流れキジの捕獲に備えていました。

 

 

そんな12月上旬のある日、流れキジが姿を消してしまったのです。

 

私は本当に焦りました。

 

捕獲まで残り数日というところだったのに、このタイミングで流れキジがいなくなってしまったのでは、後悔という軽い気持ちでは済みません。

 

私は流れキジという、ふざけた名前を付けた自分を呪いました。

 

「流れないキジ」とか「流れられないキジ」に改名しておくべきだった、と何度も自分に怒りをぶつけていたのです。

 

そして流れキジが消えて10日が経ったころ、駐車場の陰から長い尻尾をピンと立てながら流れキジがやってきました。

 

私は流れキジが戻ってきた嬉しい気持ちと、今まで姿を消していたことへの怒りの気持ちが入り混じった、不思議な感情を抱きながら流れキジを撫でまわしました。

 

 

こうして流れキジが消えて10日後に戻ってきたのは、これが最後のチャンスということかもしれません。

 

まず、私は車からキャリーケースを取り出し、猫たちの死角になる部分に置いておきました。

 

次にチャトラだけを離れた場所に連れていってご飯を食べさせ、その隙に流れキジを匂いの強いオヤツでキャリーケースの近くへ誘導したのです。

 

これは頭の中で何度もシミュレーションした動作で、なるべく猫に警戒心を与えないよう自然を装って進めていきました。

 

私の緊張が極限まで高まる一方で、流れキジは疑うことなくキャリーケースの方までやってきました。

 

後は、流れキジを掴んでキャリーケースに入れるだけです。

 

しかし、ここを失敗したら流れキジは私に警戒心を抱くようになり、今後は手掴みの捕獲が難しくなってしまうでしょう。

 

私は様々な感情が入り乱れるなか、躊躇いを振り切るようにして流れキジの首元を思い切り掴み、そのままキャリーケースに押し込みました。

 

キャリーケースに押し込まれた流れキジは一瞬だけ抵抗する素振りを見せましたが、私が強引に蓋を閉めたおかげで無事に捕獲が成功しました。

 

振り返ってチャトラの方を確認してみると、そのままご飯を食べていたので、流れキジを手掴みで捕獲したことは気づかれていないようです。

 

 

私は急いで流れキジが入ったキャリーケースを車にしまい、チャトラが食べ終わったご飯を回収して保護猫シェルターへと急ぎました。

 

絶対に失敗できないというプレッシャーを感じていた流れキジの捕獲を、無事に乗り越えられた私は気持ちの昂りを抑えられませんでした。

 

保護猫シェルターへ向かう車の中で、何度も何度も流れキジの入ったキャリーケースに色々なことを話しかけていたのです。

 

そして、保護猫シェルターに着いて流れキジに駆虫薬を済ませ、ケージへと移した時にようやく安堵の気持ちが湧き上がってきました。

 

 

私の家に流れキジがいる、という現実が大きな喜びとなって、心の中で波のように押し寄せていたのです。

 

長く私の念願だったチャトラーズの保護も、ついにチャトラの捕獲を残すのみとなり、本当にあと一歩のところまでやってきました。

 

私はケージにいる流れキジを見つめながら、チャトラの捕獲に思いを馳せるのでした。

 

（つづく）