支援総額
目標金額 800,000円
- 支援者
- 95人
- 募集終了日
- 2023年3月6日
畑で暮らす黒猫のお話(後日談②)
アクオスが天に召されてから半年ほど経った頃、アクオスにそっくりな黒猫がハタケーズに仲間入りしました。
その黒猫は私にビエラと名付けられ、あっという間にハタケーズの一員として溶け込んでしまったのです。
そして、2022年も畑に厳しい冬がやってきました。
毎年の恒例行事で寝床ボックスを掃除したところ、ともくん・とんちゃん・ビエラの3匹がさっそく中に入ってくれました。
寝床ボックスを設置してだいぶ経ちますが、今年もハタケーズが寝床ボックスを使ってくれていることに少し安心しました。
それにしても、今年の冬は一段と厳しい寒さです。
私が畑へお世話に行く深夜の時間帯では、畑にある水飲みカップの中の水が凍ってしまうほどの寒さです。
水が凍ってしまって飲み水が無いのは本当に可哀想なので、私は魔法瓶にお湯を入れて畑へ持っていくことにしました。
桁違いの寒さなのでお湯を置いてもすぐに冷えてしまうのですが、せめて短時間だけでも暖かい飲み水を口にできるようにしてあげたかったのです。
そんな寒い畑へお世話に出掛けていたある日、ともくんがトイレをしているところに出くわしました。
私はともくんのトイレの邪魔にならないように、その場で立ち止まって様子を見守っていました。
すると、ともくんはその場所では落ち着かなかったのか、何歩か進んでから再び地面を掘ってトイレの体勢に座り直しました。
今度こそトイレかと思って見守っていると、またもや先ほどと同じように少し歩いては座り直す、という行動を繰り返していたのです。
この時、私との距離は10m以上ありましたので、私の気配が気になってトイレが出来ないということは無さそうです。
私はともくんの様子を一部始終見て、尿道結石の症状に似ていると思いました。
尿道結石はオス猫が発症しやすく、さらに放置していると尿毒症などを併発して、やがては死に至ってしまう病状です。
特に寒い時期ほど尿道結石のリスクが高まると言われていますので、寒さが厳しい畑に住むともくんは尿道結石を患っている可能性が高いと思われました。
ひとまずその日はともくんに十分な水分を摂らせるため、多めにウェットフードを食べさせて家へ帰りました。
そして翌日、友人にともくんの様子を相談してみたところ、やはり尿道結石の疑いが濃厚だと言われました。
家猫なら尿道結石は適切な治療を行えば比較的短期間で治るらしいのですが、外で暮らすともくんが尿道結石を自然治癒するのは難しいそうです。
私は友人から尿道結石の薬と療法食を譲ってもらい、その日の夜からともくんへ投与することにしました。
ここで問題となるのは尿道結石には2種類があり、友人が渡してくれた薬と療法食では治らない場合があることです。
つまり、投薬と療法食の目安となる1週間が過ぎても、ともくんのトイレが上手く出ていないようなら、病院で尿道結石の治療を受ける必要があります。
また、もうひとつの問題となるのが、投薬と療法食は1週間ほど連続で投与しないと効果が得られないことです。
友人にはともくんの投薬は頼めませんので、1週間連続で深夜の畑へ行くのは私の役目になります。
深夜の畑へ出掛けるのが1週間続くのは、少し考えただけでぐったりしましたが、ともくんの命には代えられません。
私は覚悟を決めて、次の日から深夜の畑へ通うことにしました。
実際に投薬で畑に通い始める前は、ともくんは食いしん坊で何でも食べてくれるので、薬と療法食を投与するのは短時間で済ませられるだろう、と思っていました。
しかし、上手くトイレが出来ないせいなのか異様にともくんの落ち着きが無く、投薬と療法食を口にしてくれないのです。
そのため、どんなに美味しい物に薬を混ぜても食べようとはせず、すぐに私の近くから離れてしまいます。
その挙句に、何度もトイレの体勢で座り直しながら、そこら中を徘徊してしまうのです。
私はその都度、薬と療法食を持ちながらともくんを追い掛け、何とか食べさせることを根気強く続けました。
こうしてともくんとの苦闘の末、ようやく1日分の薬と療法食を投与し終わる頃には、午前4時を過ぎていました。
その後、家に帰ってお風呂に入り家の猫たちのお世話を終えて布団に入ったのは、午前6時を迎える頃でした。
次の日は仕事で午前8時に起きるので、想像以上にともくんの投薬はハードです。
仕事の後は外猫のお世話をなるべく早めに済ませて家に帰り、畑に行く午前1時半くらいまでは仮眠を取るようにはしていましたが、充分な睡眠時間を確保するのは困難でした。
たった1日の投薬だけでこの状態ですので、無事に1週間続けられるか早くも暗雲が立ち込めてしまいました。
それでも私は、ともくんの尿道結石を治したい一心で、深夜の畑へ通い続けました。
こうして、ともくんに投薬と療法食を続けていましたが、3日目くらいからはともくんが私の行動を不審に思い始めたのか、薬と療法食を持つ私から逃げ回るようになってしまったのです。
それでも、私は今まで以上に時間を掛けて、何とかともくんへの投薬と療法食を1週間続けました。
そして投薬と療法食の投与目安となる8日目を迎えましたが、ともくんの状態は相変わらず落ち着きなく、何度もトイレの体勢を繰り返しては徘徊するばかりで、一向にトイレが出ている様子はなかったのです。
こうなると、ともくんを捕獲して病院へ連れていくしかありません。
しかし、私はともくんを捕獲することについて、2つ不安なことがありました。
1つは畑に残る空歌ちゃんととんちゃんのことです。
ともくん・空歌ちゃん・とんちゃんの3匹は本当に仲良しで、いつも一緒にご飯を食べにきていました。
特にミルクとアクオスがいなくなってからは、ハタケーズの古株として残ったのはともくんだけですし、一層と3匹の仲は深まったように見えました。
そのため、ともくんを保護してしまうのは、残された空歌ちゃんととんちゃんが可哀想に思えてきたのです。
さらに、ともくんを保護して頼れるオス猫がいなくなった空歌ちゃんととんちゃんが、他の餌場へ流れてしまわないか、という不安もありました。
もう1つは、治療を受けた後のともくんの処遇についてです。
尿道結石は再発しやすい症状なので、もし病院で治療を受けて治ったとしても寒い畑に戻してしまったら、間を置かずに再発してしまうおそれがあります。
そして再発した時にともくんを再び捕獲できるかどうか、という不安があります。
それに、ともくんは既に7歳を超えており、そろそろ高齢猫と呼べる年齢に差し掛かっています。
つまり、今回のともくんの捕獲に関しては、リリースを視野に入れずに保護猫として受け入れる方向で考えるべきなのです。
私は本当に悩みました。
なかなか答えが出せない私に対して、友人からはもう2~3日ほど投薬と療法食を続けてみる方法を提案されたのですが、それは私の体力的に限界でした。
何しろ、1週間続けて僅かな睡眠時間で深夜に畑へ通っていたので、これ以上この生活が続いたらともくんより先に私が倒れてしまいます。
その一方で、ともくんの保護についても、なかなか決断するまでには至らなかったのです。
そんな時、私はふとアクオスのことを思い出しました。
肺炎で苦しむアクオスを保護したものの間に合わず、あと1日だけでも早く保護できればと後悔したことを、ボンヤリと思い返していたのです。
もしかすると、今まさにともくんがアクオスと同じ状況なのかもしれません。
これでともくんまで保護して間に合わないことになれば、私は一生後悔してしまうでしょう。
それに、5年間お世話してきたともくんを見殺しにすることは絶対にできません。
空歌ちゃんととんちゃんに対する不安は尽きませんが、ともくんが死んでしまったら2匹はきっと悲しむはずです。
それに、空歌ちゃんととんちゃんも近いうちに保護すれば、私のシェルターで新生ハタケーズとして再会することができます。
私はともくんの保護を決意し、その日の深夜に捕獲機を持って畑へ向かいました。
畑に着いてさっそく捕獲機を仕掛けたのですが、落ち着きのないともくんはなかなか捕獲機に近づいてくれませんでした。
仕方なく私は最終手段であるマタタビを使うことにしました。
私は猫にマタタビを与えるのは、興奮剤を投与しているような感覚があるため好きではないのですが、ともくんの興味を惹くためにはもはや綺麗ごとは言っていられません。
そして捕獲機にマタタビを忍ばせてみると効果は絶大で、あっという間にともくんが捕獲機に入りました。
その後、ともくんはシェルターへ連れていき、駆虫を済ませてからケージへと入れてあげました。
こうして、ともくんの捕獲が無事に終わった次の日、友人から連絡がきました。
なんと、友人がともくんをしばらく預かって、尿道結石の治療をしてくれることになったのです。
この頃の私はシェルター作りを進めながら、エリちゃん、チャトラ、流れキジの捕獲にも取り組んでいました。
さらに他の外猫のお世話も続けているなかでともくんまで保護したため、見かねた友人が助け舟を出してくれたのです。
その翌日から友人宅の預かり猫になったともくんですが、投薬・点滴・療法食の治療によって体調はすっかり良くなったそうです。
そして、友人がともくんを預かってくれたおかげで、エリちゃん、チャトラ、流れキジの保護も無事に終わり、シェルターが落ち着いた2月の下旬に友人宅からともくんが帰ってくることになりました。
友人には2か月ほどともくんを預かってもらい、本当に感謝の気持ちばかりです。
シェルターに戻ってきたともくんですが、まだ新しい環境に慣れていないせいか、ケージで固まってしまっています。
しかし、食欲はありトイレも問題なくできているので、これからは健康にシェルターで家猫として暮らしてくれるはずです。
私はシェルターにいるともくんを見ながら、ハタケーズの保護の第一歩を踏み出した気がしました。
救えなかったアクオスの分まで、ともくんには長生きしてもらわないといけません。
そして、空歌ちゃんととんちゃんの保護を成し遂げ、私のシェルターで再びハタケーズとして3匹仲良く過ごして欲しいと思っています。
まだまだ道は遠いですが、ハタケーズの保護という目標を達成するためにも、全力を尽くしていくつもりです。
(おわり)
リターン
500円+システム利用料
お礼のメール
感謝のメールをお送りします。リターン希望なしの方向けのコースになります。
- 支援者
- 8人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2023年4月
1,000円+システム利用料
お礼のメール&保護猫画像
感謝のメールをお送りします。ご希望の方には保護猫画像も一緒にお送りします。
- 支援者
- 39人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2023年4月
5,000円+システム利用料
お礼のメール(リターンなしご希望の方向け)
感謝のメールをお送りします。リターンなしご希望の方向けのコースです。
- 支援者
- 34人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2023年4月
10,000円+システム利用料
お礼のメール&保護猫カレンダー(2023年版)
○感謝のメールをお送りします。
○2023年版の保護猫カレンダーを郵送にてお送りします。
- 支援者
- 18人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2023年4月
50,000円+システム利用料
お礼のメール&保護猫オリジナルトートバッグ
○感謝のメールをお送りします。
○保護猫オリジナルトートバッグ(ユニクロオーダー品)を郵送にてお送りいます。
- 支援者
- 1人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2023年4月
100,000円+システム利用料
お礼のメール&保護猫オリジナルトートバッグ&保護猫シェルターご招待権
○感謝のメールをお送りします。
○保護猫オリジナルトートバッグ(ユニクロオーダー品)を郵送にてお送りします。
○保護猫シェルター(千葉県船橋市)へご招待します。遠方の方は最寄り駅への送迎などご相談に応じます。ご招待権の有効期限は2023年4月1日より1年間と致します。
- 支援者
- 2人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2023年4月
200,000円+システム利用料
お礼のメール&保護猫グッズ詰め合わせ&保護猫シェルターご招待権
○感謝のメールをお送りします。
○保護猫カレンダー・保護猫オリジナルトートバッグ・オリジナルコースターなどの詰め合わせを郵送にてお送りします。
○保護猫シェルター(千葉県船橋市)へご招待します。遠方の方は最寄り駅への送迎などご相談に応じます。ご招待権の有効期限は2023年4月1日より1年間と致します。
- 支援者
- 0人
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2023年4月
500,000円+システム利用料
お礼のメール&保護猫シェルター命名権&保護猫シェルターご招待権&保護猫グッズ詰め合わせ
○感謝のメールをお送りします。
○保護猫シェルターの命名権をお渡しします。命名後は頂いた名前にて保護猫シェルターを運営致します。
○保護猫シェルター(千葉県船橋市)へご招待します。遠方の方は最寄り駅への送迎などご相談に応じます。ご招待権の有効期限は2023年4月1日より1年間と致します。
○保護猫カレンダー・保護猫オリジナルトートバッグ・オリジナルコースターなどの詰め合わせを郵送にてお送りします。
- 支援者
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- 2023年4月