「若者に安心して失敗できる一人暮らしを提供したい」事業報告
【はじめに】
「若者に安心して失敗できる一人暮らしを提供したい」に、118名という沢山の方々からご支援を頂き、6月30日に無事終了することができました。
応援して頂いた皆様、本当にありがとうございました。
これまで、たくさんの若者たちと出会い寄り添ってきた私たちでありますが、「居住支援」をキーワードに考えてみますと、必ずしも「経済的困窮」や「失業」だけで語ることは難しいと考えています。社会情勢の変化などにより、本来は家族が担ってきた役割や家庭内での関わりというのが難しくなってきている印象を受けます。
※2019年度、62名の若者から住居に関する相談を受けました。
◯性別
◯年代
◯相談内容
今回のプロジェクトには「寮母さん」が常駐していました。
居住支援の現場には、経験・知識が豊富な支援員を配置し、様々な問題解決のサポートをしています。しかしながら、若者たちは、何か決断をする時には「寮母さんと相談して決めます」と皆さん言います。
支援現場の安心材料、信頼要素は専門職の配置というのがひとつ基準とされることが多いですが・・・。
「若者らしい、安心して失敗できる一人暮らし」には「失敗しても失わない環境」と「家族のような第3者」が必要なんだろうと思います。
今回参加した若者たちは、沢山の人に「応援してもらっている」ということを知っています。孤立していた若者にとってこの「沢山の方々の応援」を実感できることは、税金を使い実施される行政のサービスとは、また、違った効果を若者に届けることが出来たのではないかと思います。
【参加した若者について】
★Oさんの声(20代・女性)
【背景と支援経過】
幼い頃から、生活保護を受給し生活。高校に進学するが周囲に馴染めず中退。中退後は、アルバイトをするが、「生活保護が廃止になってしまう」と母親と何度も口論になりました。また、アルバイトをしたお金も生活費にまわるだけで、何も買えずにいたことから、家出。友人宅を転々とアルバイト先で、生活の状況について相談した際、札幌市のホームレス相談支援センターの紹介を受け、シェルターへ入所。シェルターで半年過ごしましたが、一人暮らしを開始するには不安があるとのことで、ユースサポートハウスを利用。入所後はアルバイトを継続してきましたが、もう少し収入が高いところを目指したいと、コールセンターに転職。また、2020年1月母親との関係が改善され、実家に帰省。水落としをせずに帰省していたので、水道管が凍結し、破裂。本人の部屋及び階下の部屋が水浸しとなり、別の部屋に移動し生活を送ることになりました。札幌のコールセンターでクラスターが発生し、不安を感じる時期もありましたが、通常通り出勤できました。勤務先から雇用調整助成金を申請するため、給料の6割を支給するので1週間休むように言われ不満を感じてはいましたが、仕事は継続していきたいとのこと。コロナ禍で部屋の改修が遅れていましたが、6月20日に戻ることができ喜んでいます。
【参加しての声】
①ユースサポートハウスを利用したきっかけは?
コミュニティハウス「れおん」のシェルターを利用していて、退所先を探していました。いきなりの一人暮らしは不安で、れおんの職員さんから紹介され、利用してみようと思いました。
②利用して良かったことは
一人で生活していくことの難しさを知れたことです。水道の凍結や一人暮らしをしながらの、家事などは大変だなぁと思いました。おかぁさんの大変さがわかりました。
③こんな若者支援があったら助かる
一人暮らしは、凄く不安なので、ユースサポートハウスのような、近くで相談にのってくれる人がいると助かります。食事会では、色々な人と知り合いになれたので、そんな場もあると助かります。(行きたい時に行けるのがいい)
④皆さんへ一言
ユースサポートハウスを利用して、色々な経験をしました。特に、水道は凍ると大変だなぁと思いました。途中、アルバイトを辞めて、転職をしたりもしました。ここでの経験を生かして、これからの人生を頑張りたいです。本当にありがとうございました。
★Gさんの声(20代・男性)
【背景と支援経過】
高校生の時に、両親を亡くし、児童養護施設へ入所。高校3年生の時に大学を受験したが失敗。高校卒業後も、大学受験の勉強をしながら施設で生活。長期間施設にいることが難しいため、施設を退所し、一人暮らしを開始。家事、受験勉強に加え週5〜6日のアルバイトを、2年間続けてきましたが、思うように勉強が進まず、昨年の6月、受験勉強とアルバイト・家事の疲れからメンタル不調となり、うつ病と診断されました。アルバイトも休みがちになり、経済的に困窮し、生活保護を検討しましたが、進学費用を必死で貯めてきたため、生活保護の利用はできませんでした。浪人生を支援する公的な仕組みはなく、本事業について、本人に情報提供をし、利用開始となりました。アルバイトの回数を減らしながら国公立大学を目指しましたが、受験は不合格でありました。夢であった大学進学を諦めることを決断。(本人としては凄く納得していた)コロナ禍の中、就職活動を行い、電気工事の会社に入社し、非常事態宣言を受け休業した時期もありましたが、宣言が解除され、元気に仕事に行っています。
【参加しての声】
①ユースサポートハウスを利用したきっかけは?
精神的にも、経済的にも大変だった時に、ユースサポートハウスについてスタッフさんから紹介して頂きました。
②利用して良かったことは
家計がすごく楽になり、精神的にも落ち着きました。大学受験にも専念できましたが、結果は不合格でした。仕事を探す、気持ちを切り替えるキッカケになりました。
③こんな若者支援があったら助かる
家賃や生活費の援助。それと、相談できる人が、近くにいるというのは助かります。
④今回、寄付して頂いた方へ一言
今回、本当にありがとうございました。経済的にも、精神的にも、本当に楽になりました。今回、参加したことで、前に進むきっかけになりました。
【夕食会について】
ユースサポートハウス利用者を対象に、週3回夕食会(夕食の提供)を実施。施設退所者・一人暮らしの若者についても食事提供を行い日常的な見守りと生活破綻の早期発見の場としています。若者の中には、自身の将来像を想像できない若者も多いことから、若者世代以外の中高年・高齢者についても、有償(1食400円)で参加。食事を通じて、多様な生き方の大人と出会うことで、自身のローモデルの発見や人生の再考につなげる機会となっています。
※コロナウィルスの影響で、2020年2月末北海道知事による緊急事態宣言発令後は、お弁当の配食として実施。2020年6月30日時点でも同様の対応が続いています。
◯食事の準備をしているところ
①参加人数
述べ1857名(若者1223名・その他634名)
②実施回数
135回
③実施日
毎週火曜・木曜・土曜 17時30分〜21時00分
◯手作りのお弁当
【リターン】
①夕食会への開催
2019年11月30日にご支援頂きました方をお招きして、ユースサポートハウス事業に参加している若者との
夕食会を開催しました。当日は、ご支援頂いた方が2名、若者が5名参加をしました。この日のメニューはキーマカレーとポテトサラダで、お昼過ぎから若者が準備をしました。緊張して中々話せない方、楽しく団欒する方など様々でしたが、会は楽しく終了し、その後は、コミュニティワーク研究実践センターの若者居住支援事業について説明させて頂きました。
②サンクスカードの発送について
2019年12月に今回ご支援頂いた方に、今回のプロジェクトに参加している若者が一人ひとりの手書きのコメントをのせたサンクスカードを送らせて頂きました。枚数もかなりの数でしたので、「腕が痛いという声」もありましたが、1枚1枚本人たちなりに一生懸命書いていました。サンクスカードのデザインは、引きこもりの方の仕事づくりの一環として、40代の引きこもりの男性にお願いして、書いて頂きました。
③アイピローとバードコールの発送
2019年12月に今回ご支援頂いた方に、アイピローとバードコールを送らせて頂きました。どちらも、引きこもりの方の仕事づくりの一環として作っているものです。自宅から出ることが難しい20代の男性にお願いし、バードコールのネーム彫りをお願いしました。
④記念プレート
2020年5月に記念プレートが届きました。こちらの記念プレートの製作は、まだご本人にお会いすることが出来ていない20代の引きこもりの男性の仕事づくりの一環としてお願いいたしました。かなりの大きいサイズとなりました。
⑤報告書について
2020年7月中に発送させて頂きます。発送作業は、引きこもりの方々の仕事づくりの一環として実施する予定です。
※報告書表紙
【収支報告】
2020年6月30日の決算金額です。光熱水費や報告書印刷費などは確定前のため、確定後、新着情報でお知らせいたします。
①収入内訳
・寄付金:1,125,000円(クラウドファンディング)
・事業収入:648,000円(利用料)
合計)1,773,000円
②支出内訳
・家賃:527,200円(若者が暮していた部屋)
・光熱水費:184,537円(若者が暮していた部屋)
・食材費:237,657円
・消耗品費:147,284円(生活消耗品・食器等)
・家具家電購入費:126,072円(テレビ・冷蔵庫・洗濯機等)
・通信運搬費:28,131円(リターンの郵送)
・印刷費:165,000円(報告書等)
・委託費:45,000円(リターンの制作・発送作業)
※制作・発送作業は仕事づくりの場として活用させて頂きました。
・旅費交通費:2,670円(水道凍結の際の緊急対応)
・雑費:50,300円(シャワー等利用料)
・支払い手数料:145,800円(READYFOR手数料)
合計)1,659,651円
③決算合計
収入合計−支出合計=113,349円
※残金は、若者の自立に向けた活動に利用させて頂きます。
【最後に】
今回、参加したOさん・Gくんは、これからもしばらくはここで暮らしていきたいと話しています。仕事に就き、お金をためて自立することも大切でありますが、「安心できる環境」で、様々な経験や出会いを重ねていく中で自然と旅たつ日が来るのだろうと思います。そんな温かい目で、今後も若者たちを見守って頂ければと思います。一方で、コロナ禍に入り、相談に来た若者は、突然、居場所や仕事をを奪われています。少しでも現状を変えるため、私たちは、クラウドファンディングを6月15日から開始しました。何があっても「失わない」・「奪われない」安心して暮らすことが出来る場所の提供を目指しています。
ご支援頂き、本当にありがとうございました。そして、今後とも応援よろしくお願いします。