小説好きのあなたに未発表の作品を届けたい。
支援総額
目標金額 1,100,000円
- 支援者
- 0人
- 募集終了日
- 2021年5月10日
(上)『ホタテと瓢箪』。その16。「鎌倉七口」
Reiが考え出した広義の労働概念に触発されたわたしは組合活動に目覚めた。なり手が不足して欠員が目立つ神奈川県教組婦人部の代議員に立候補。それから活動を始めた。二週間に一度ニュースを発行。大上段に構えたテーマはわたしにふさわしくない。わたしたちを取り巻く日常で気づいた数々を自分なりに書いた。定期的に開かれる教研集会の感想や、婦人部の名称が気に入らないとか、パワハラをセクハラと呼ぶ魑魅魍魎な古参の教師を取り上げた。教師に労働組合は必要なのかを問いかけ、県と市の教育委員会へ対抗するための結束は必要不可欠と書いた。教師には団結権が在ると。
手書きのA4版。『鎌倉七口』。鎌倉古道七つは切通しで八幡宮に繋がる。八幡宮からは日本の至る処に繋がる。日本海にまでも繋がる。ここに意味と想いを込めニュースを書いた。好評だった。湘南支部の執行部はすべて男性。
「新風が吹き込んで来た。女性が活躍しないと活力が生まれない。華も無い」
発行するとReiに送った。わたしは感想を聞きたかったのではない。Reiから褒められたかっただけ。その望みは叶った。
「のぞみさんらしい文体。とても良い。でもニュースの発行を続けると組合から足抜けできなくなるよ。のぞみさんは高校教師として組合活動に邁進して組合内出世を望んではいない。専従者は教育者としての出世は望めない。日教組と云う巨大な組織の中で出世ばかりを考えている。会社で偉くなれないのなら組合で出世したいのと同じ。組織率が高いのは北海道と神奈川県。このふたつに籍を置く活動家は人脈を活かせるなら出世を望める。俺にはのぞみさんに活動家のイメージが湧かないんだ。きっと違うのぞみさんらしい世界が…」と言われ、喜んだ後には、落ち込んでしまった。それから『鎌倉七口』は二週間に
一回が一ケ月に。そして退職と伴に途絶えてしまった。一〇号。残念では無かった。やれることをやったまで…。
ニュースの発行はひとつだけ成果をもたらした。苦手だった作文が嫌で無くなった。苦にならなくなった。書く主題が決まるとイメージが湧くはず。これが以前のわたし。作文苦手のわたし。主題がイメージを喚起するのでは無い。強いイメージが主題を決定するのだ。イメージが湧いて来ないと筆が進まない。まったく書けない。わたしを奮い立たせるイメージが書く源動力なんだ。何よりも大切なのはイメージ。イメージによって突き動かされて書く。これに気づかなかったわたしは鈍い。今までは与えられた主題から入った。それは楽しくなかった。無理やり書いているのは義務。楽しいはずが無い。義務は面白くない。
イメージが湧いてくると頭の中で言葉が踊った。踊る言葉でわたしは書く。興奮状態で書く。書かされる。ひとつのイメージは友達を連れてくる。友達は別の友達を招く。膨らみ続けるのがイメージ。イメージの連鎖が楽しかった。こうなったらわたしのモノ。これがわたしの変わってゆく姿。主題はイメージが決めてくれた。ニュースに求めていた主題とイメージがそぐわない時は書くのを止めた。仕切り直し。それでもわたしはイメージを書き残した。何故ならもったいなかった。折角のイメージを忘れたくなかった。
シャワーを浴びてスッキリしたわたしはお城の中を散策。お城と云うよりも教会の造りのよう。あちこちに額に入れられた宗教画が飾られている。絵の出来栄えよりお城に宗教画が飾られているのに驚いた。造りもカトリックの教会仕立てに改造されている。処々にアーチが在ったりステンドグラスの窓も散見。資料室があった。銃展示。火縄銃ではない。後込めの単発式。磨かれていて今でも発砲できそうな気配。よく見ると販売していた。資料室は販売ブースを兼ねていた。サーベルも売られている。
説明板にはブルボン王朝とカタルーニア王国の戦いが書かれていた。1711年。三四日間のカルドナ包囲戦。驚かされた。レコンキスタに勝利したカタロニアにはスペイン内戦まで戦さが無かったと勝手に思っていた。違った。攻めたのはブルボン王朝。この地域における支配権獲得のほか塩山を狙ったのでは…。どうもそれも怪しい。当時のカタルーニア王国はハプスブルグ家と友好関係を強めていたと書かれていた。フランスは東西から攻められるのを嫌い先手を打ち、ピレネー山脈を越えてカタロニアに侵攻して来たのだ。我国の戦国の時にも挟撃は敗け戦さの典型例。ヨーロッパでも同じだった。わたしは重装
備の軍勢はピレネーを越えられないと。これも違った。人間の国防意識はすざまじい。
ヨーロッパは常に戦っている。第二次大戦まで戦国時代が続いていたのだ。有史以来の乱世を終わらせようとの試みがEU。こうした試みは人間しか出来ない。それが揺らぎ始めている。揺らぐのは自国の経済。揺らぐとナショナリズムが台頭する。EUの近未来も安泰ではない。EUのこれからはナショナリズムとの闘いなのだ。
リターン
5,000円
応援してくれた方には直ちに感謝のメールを送らせてもらいます。
『どうせ死ぬなら恋してから(上)(下)』の書籍を郵送します。
- 支援者
- 0人
- 在庫数
- 200
- 発送完了予定月
- 2021年7月
10,000円
10000円の方へ。御礼と感謝のメールを直ちに送らせてもらいます。
『どうせ死ぬなら恋してから』の書籍を郵送します。それと拙著の『未来探検隊』(圧縮ワープロ原稿)を添付メールで送ります。
- 支援者
- 0人
- 在庫数
- 200
- 発送完了予定月
- 2021年7月
15,000円
15000円の方へ。御礼と感謝のメールを直ちに送らせて頂きます。
『どうせ死ぬなら恋してから』の書籍を郵送します。それと拙著の『未来探検隊』『スパニッシュダンス(上)(下)』をワープロ圧縮原稿を添付メールで送信します。
- 支援者
- 0人
- 在庫数
- 200
- 発送完了予定月
- 2021年7月
20,000円
20000円の方へ。御礼と感謝のメールを直ちに送らせて頂きます。
『どうせ死ぬなら恋してから(上)(下)』の書籍を郵送します。次に『未来探検隊』『スパニッシュダンス(上)(下)』『』アンダルシアの木洩れ日』のワープロ圧縮原稿を添付メールで送ります。
- 支援者
- 0人
- 在庫数
- 200
- 発送完了予定月
- 2021年7月