7つの冊子に記録された被爆体験を一冊の本にし、未来の世代に繋ぎたい

7つの冊子に記録された被爆体験を一冊の本にし、未来の世代に繋ぎたい

支援総額

1,519,000

目標金額 1,500,000円

支援者
114人
募集終了日
2021年12月24日

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2021年11月29日 06:06

「原爆、忘れまじ」第二集から 「わたしのいのち」

H・Tさん

(当時 二十一歳)

 夏八月、終戦、月日は巡り今年は四十回目の終戦の日を迎えます。あの日、あの場所にいたら、当然あの場所にいるはずの私なのに。
 八月五日夜の空襲警報の発令が出ていなかったら、いつものように原爆ドームの中にいたのです。そこは私の勤務先でしたから。
 前夜九時以降に空襲警報が発令された場合は朝九時出勤となるのが習わしでした。自宅は中心地より円周一キロの場所にあり、二階家でしたが一階にいて押しつぶされてしまいました。やがて白煙のもうもうと立ち込める中を母の手と三歳の姪の手を引いて、勤労奉仕の作業に出ていて、大火傷を負った兄嫁と人々の後に従って歩いてゆきました。途中兄嫁の妹に出会い、一緒に逃げようと、声をかけましたが、彼女は放心状態で返事はしないし立ったままで動こうともしません。仕方なく私共は、心を残しながら比治山橋を渡ったところにある広島師範学校の防空壕にひとまず避難致しました。一望千里になってしまった私の故郷広島、白煙が立ちこめ火の手の上っている所も見え、まさに生き地獄の様相の私の故郷でした。
  「あくがれし文理大学の傍に越し七日過ぐれば原爆落ちき」
  「かにかくに母と幼き姪連れて比治山橋に生き地獄見し」


 やがて兵隊さんのトラックに乗せられ、似島という島へ落着きました。
  「メラメラと炎のもゆる町並みを牛馬の如くトラックの中」


 そこでは火傷の人、外傷の人でいっぱいでした。兄嫁の火傷が思ったより重く、母がつききりでした。八月の末には兄嫁が三歳の子を残して亡くなりました。
  「ピカ浴びて泣きたき程の哀しさに幼なを置きて義姉は逝きたり」


 私のとなりにいた女学生が、歯だけ白い、と言えば大げさと思われるでしょうが、それ程ひどく焦がされた女の子でした。未だ家族の方も探しておられるのでしょう。一人で横になっておりました。「オシッコ」がしたいとその子が言います。パンツをずらせるのに時間のかかったこと。乙女心に羞しかったろうにと、今にして思っております。その子は明る日には亡くなりました。その女学生のことは今日でも鮮明にして強烈に忘れることはできません。
  「身を焼かれし若きは歯のみ白くして水欲るのみを見し遠き夏」


 そこには同級生だった人のお姉さんが大きな傷を太腿に受けられておりました。毎日の治療の痛さのために、この世の者ではないような声を出されるので本当に切なく、私はいつも部屋をはなれておりました。終戦後何年位でしたか、毎年八月六日の新聞にその方の消息がのっておりましたが、長崎の孤児収容所だったと思いますが、奉仕の生活に入られたと書いてありましたのを覚えております。
 収容所にいます時に生理が始まり、着のみ着のままの私に、初めてお会いした方が白生地と白糸とゴム紐を下さいました。
 働き手を失った家族のために結婚を諦めた人。ケロイド、又外傷のために人生を暗く生きる人も数多くあります。生き残りの私の友人は子供が産めません。
 旧制の中学生、女学生の数多くが校庭で、又勤労奉仕で、青春の真只中の命を散らしたこと、本当に残念でなりません。毎年の原爆忌を迎える度に、仏教語で言う因縁と言いますか、運命とも言いますか、原爆ドームの中にいて死ぬはずの私であったことを思うと、しみじみ生命なるものの不思議を尊く重みあるものと感じるこの頃です。
  「戦争の傷身にのこり原爆ドーム仰げば碧き広島の空」

 

リターン

3,000


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3,000|応援コース

・感謝の気持ちを込めてお手紙を送らせていただきます。
・リターン費用がかからない分、いただいたご支援金はクラウドファンディング手数料やリターン費用を除き、「原爆、忘れまじ」の制作費用に充てることができます。

支援者
17人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2022年8月

5,000


5,000|「原爆、忘れまじ」セットコース

5,000|「原爆、忘れまじ」セットコース

・復刻したこの7冊に、あらたに作成する解説冊子を加えた8冊を箱入り書籍として制作します。
・5,000円を一口として、一口につき8冊箱入り書籍1セットをお送りいたします。二口のご支援であれば、箱入り書籍2セットとなります。
・ご支援いただいた全ての方に、解説冊子編集委員会から編集中定期報告(毎月予定)を送ります。亡くなった被爆者の方が残された資料や掲載されなかった証言などを、編集中の議論を紹介しながら報告します。
・編集委員会に寄せられた支援者のお便りもご了解を得て解説冊子に加えさせていただきたいと考えています。

支援者
42人
在庫数
955
発送完了予定月
2022年8月

10,000


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10,000|応援コース

・感謝の気持ちを込めてお手紙を送らせていただきます。
・リターン費用がかからない分、いただいたご支援金はクラウドファンディング手数料やリターン費用を除き、「原爆、忘れまじ」の制作費用に充てることができます。

支援者
41人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2022年8月

30,000


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30,000|プロジェクト参加コース

・あらたに作成する解説冊子にてご支援者様のお名前を掲載させていただきます。
・「原爆、忘れまじ」を通じて、被爆体験について語り継がれていくにあたり、本リターンをご支援いただいた方のお名前も記録され残される形となります。

※お名前の掲載に関しては希望制とさせていただきます。
※ご不要の方については、お手数ですが質問事項にて「不要」とご記載ください。

支援者
10人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2022年8月

100,000


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100,000|プロジェクト参加コース

・あらたに作成する解説冊子にてご支援者様のお名前を掲載させていただきます。
・「原爆、忘れまじ」を通じて、被爆体験について語り継がれていくにあたり、本リターンをご支援いただいた方のお名前も記録され残される形となります。

※お名前の掲載に関しては希望制とさせていただきます。
※ご不要の方については、お手数ですが質問事項にて「不要」とご記載ください。

支援者
5人
在庫数
制限なし
発送完了予定月
2022年8月

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