しのぶちゃん　（飼育環境が悪い現場から保護した猫）

重度の貧血と、長引く鼻づまりで、なかなか不妊手術に踏み切れなかったしのぶちゃん。

 

決して良いとは言えない飼育環境で生まれ育ち、飼い主さんは室内で保護できないという事なので、手術ができる体調になるまでお預かりしていました。

 

2キロあるかないかの体重は3キロ近くになり、痩せてとんがって見えた背骨や、板のようにペッチャンコだった腰まわりに、ふっくら肉がついてきました。

 

白血病ウイルス感染とは無関係に、猫は発情します。いつまでも、このままにしておくわけにいかないので、満を持して手術の予約を入れて病院に連れて行きました。

 

しのぶちゃんが飼われていた家にいた子たちは、ほとんどが猫エイズと白血病、いわゆるダブルキャリアでした。

一抹の不安を感じて、不妊手術前にもう一度、ウイルス検査をお願いしました。

 

採血量が少なかったからなのか、最初は正確な診断は出ませんでした。

改めて採血してもらって、確実に検査したところ、不安は的中。

しのぶちゃんは「白血病と猫エイズのダブルキャリア」と判明しました。

 

ダブルキャリアと聞いた時は、予測していたとはいえ、かなりショックを受けてしまいました。

片方だけのキャリアより、さらに免疫力は低いわけです。発症すれば、どんなに手を尽くしても助からないでしょう。

まだ小さいのに。こんなに可愛いのに…(T_T)

 

それでも赤血球数値や肝機能などに問題なく、手術可能な体調との事で手術をお願いしました。そして無事に退院しました。

 

傷口を舐めないよう、先生お手製の可愛い服を着せてもらってます。

今日のしのぶちゃんは、快眠快食快便。久しぶりにケージの外で大はしゃぎ。

抜糸まであと一息です。

 

しのぶちゃんが生まれなければ良かったなんて、これっぽっちも思いません。

でも、もっと早く飼い主さんが、猫について知識を持ち、猫の飼い方に気をつけていれば、もしかしたら、しのぶちゃんや他の猫たちは、もっと健康に生きられるかもしれません。

 

苦しんでいる猫が目の前にいれば、助けるのは当然の行為です。ボランティアとして大切なのは、その猫だけを保護しておしまいではなく、このような猫を増やさないためには、どうすればよいのかを深く考えることです。そのような視点を持たなければ、しのぶちゃんのような猫の保護は永遠に続くでしょう。