マスダ・ボストン・チャレンジを成功させることができました
ボストン出発まで2週間ちょっとという短期間での挑戦。時間がない中でチャレンジを成功できたのは、最初から最後まで、みなさまにとても温かく支えられたからです。準備に活動に一緒に奮闘してくれた仲間、サポートに駆けつけてくれたサポーター、私のチャレンジを応援してくださったすべてのみなさんに感謝の気持ちでいっぱいです。呼吸器を装着してから、こんなに楽しく充実した日々を経験することができ、とても幸せです。ありがとうございました。
ボストンでは、オランダやベルギーのALSの仲間にインタビューをしたり、ナーシングホーム(ボストンの介護施設)を見学しました。そして国際学会では、日本のALSの現状を伝えるとともに、介助者と一緒に生活をしている私の経験から、人工呼吸器を装着しても自分らしく生きられる道があることを伝えました。人工呼吸器を装着した患者は私ひとりだけでした。でも、人工呼吸器を装着しても飛行機に乗り、透明文字盤を使ってコミュニケーションもとり、自分のしたいことを実現している姿を目の当たりにした世界の仲間たちは、「日本の重度訪問介護のような制度があって介助者との生活が実現できれば生きられる」と言いました。私は自ら言葉を発することも身体を動かして相手に触れることもできないけれど、確かに仲間の「生きたい」という気持ちをキャッチしました。
みなさまからご支援いただいた1,048,000円のうち、224,812円はクラウドファンディングの手数料に、823,188円はボストンへの渡航と滞在費用の一部に充てさせていただきました。あらためて報告書にも記載させていただきます。
みなさまへの御礼のリターンは1月末頃に送付させていただく予定です。これからみなさまからのあたたかい気持ちで成し遂げられた経験のひとつひとつを今後につなげるべく形にしていく作業に取りかかります。
今回、ボストンでのALS国際学会に参加し、多くの仲間や支援者と会って、まだまだ人工呼吸器を装着して生きるということがあたりまえでないということを実感しました。仲間たちは、「生きたい」という気持ちを自分の中に封じ込め、今を一生懸命生きていました。かつての私がそうだったように、家族に介護や経済的な負担が集中してしまうことを恐れていました。そしてそこで描かれる人工呼吸器を装着した生活は、何もかも病気に奪われたモノクロームの世界です。今回のチャレンジを通して、私もまた、患者や家族を生きづらくさせる社会が実際にあるということを、あらためて経験しました。航空会社の対応によっては乗客とさえみなされないこと、介助者がいて渡航できたとしても介助者分の費用がかかってしまい経済的な負担が大きいこと、様々な場面で私のような存在が想定されていない、認められていない、と感じました。
だけどその一方で、人の手や少しの工夫によって生きられることも実感しました。私はこうした経験をひとつひとつ形にして、仲間につなげたいと思っています。そして仲間と一緒に私たちの視点で私たちに必要なことをまとめて、社会に働きかけていきたいと考えます。