人工呼吸器利用者の航空機利用についての提言

みなさま、ご無沙汰をしております。

リターンについてお待たせしておりますが、現在鋭意準備中ですので、もう少々お待ち下さい。

申し訳ございません。

 

さて、増田さんのその後…ということで、みなさまにご報告したいことがあります。

先日、立憲民主党バリアフリーヒアリングに呼ばれ「人工呼吸器利用者の航空機利用についての提言」と題する報告をさせていただきました。もちろん「マスダ・ボストン・チャレンジ」で得られた経験も生かされています。

 

提言のポイントは

・飛行機の運賃の取り扱い

・機内での配慮

・持ち込み機器についての検査や管理体制

・リクライニング式の車いすでも利用できるエレベーターの設置

の4点です。

 

詳しくは「提言」の本文をお読み下さい。

 

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「人工呼吸器利用者の航空機利用についての提言」(2018年2月20日)

 

みなさま、はじめまして。日本ALS協会の副会長を務めています増田英明と申します。今日は京都から参りました。本日はこのような場に呼んでいただき、とてもうれしく思っています。早速、これまでの経験を踏まえて、とくに飛行機を利用するにあたって障壁となる具体的な問題や課題について、述べたいと思います。

まず、飛行機の運賃の取り扱いの問題についてです。

私たちのような人工呼吸器を装着した重度の障害者が飛行機を利用する場合には、フルリクライニングができる席が必要になります。なぜなら、自分で身体を動かせない私たちは、体重や体にかかる圧を自分の力で分散することができないので、長時間同じ姿勢でいること自体が苦痛で、危険を伴うからです。

とくに私の場合は、少し角度を起こすと、肺に負担がかかり、高圧アラームが鳴ります。そのため、飛行機を利用する場合は、フルリクライニングが可能なビジネス席を選択せざるを得ません。

しかし、ビジネス席はエコノミー席の2倍以上の金額がかかります。当然、介助を必要としますから、隣には介助者がいないといけません。そのため、昨年ボストンでの国際会議に出席したときには、1席50万円もするビジネス席2席分をとらなければならず、それだけで片道100万円かかりました。

ストレッチャーという方法もありますが、ストレッチャーが取り付けられる機体が限られており、その取り付けにはエコノミーの座席6席分を必要とします。そのため、費用にエコノミー席の6席分が含まれてしまいます。さらに、それらは、割引がされない基本料金で計算されるため、結局多額の費用がかかります。
岡部会長がダブリンでの国際会議に出席したときには、約300万円の費用がかかり、昨年、私がボストンに行ったときにも、同様の費用がかかりました。なぜなら、先ほど説明したビジネス席2席分と、他の介助者のエコノミー席の費用がかかるからです。

私たちが外出するためには、最低でも3名の介助者が必要です。とくに環境も言語も違う海外では、安全面や介助者の体調にも配慮を要するため、最低でも6名必要です。その費用はすべて本人負担で、そこに対する割引などの料金の配慮は一切用意されていません。また、本日も介助者3名が同行していますが、JRでも介助者1名の乗車券のみの割引しかないため、それ以外はすべて私が負担しています。交通会社によって割引の範囲も曖昧で、航空会社のように割引制度がないところも多いです。このことが、私たちのような人工呼吸器を装着した重度の障害者の外出の大きな障壁となっています。

とくに航空会社においては、ビジネス席の障害者割引きの新設や適用、同行する介助者にかかる費用の配慮、ストレッチャー料金の見直しは、国内線と国際線どちらも緊急に対応すべき課題です。

二つめは、機内での配慮についてです。具体的には座席など機内の設計にもバリアフリーの基準が必要だということです。希望を言えば、車いすのまま飛行機に乗れるようにしてほしいです。現状では、機内の通路が狭く、移動が非常に困難です。航空会社によっては、移動用の車いすを用意していない、またリクライニング式ではないため使用できないこともあります。担架での移動を要請しても、航空会社に用意がない、また空港の担架は緊急時にしか利用できないという理由で認められないこともあります。実際に私も担架の利用を断られ、介助者に一番後ろのストレッチャー席までスライディングシートで引きずられての移動を経験し、あちこちに傷ができました。


長時間のフライトではトイレが問題になります。新幹線に設置されているプライベート空間を保てる多目的室(個室)やカーテンなども用意されていないため、おむつ交換することもままなりません。

こうしたことからも、新幹線に設置されているような多目的室の設置や機内の設計それ自体にもバリアフリーの基準が必要だと考えます。


三つ目は、持ち込み機器についての検査や管理体制についてです。私たちが飛行機に乗るためには、事前に航空会社に問い合わせて、その会社の規定に沿った書類を準備し提出します。そこでは医師の意見書や機内に持ち込む機器一つひとつの説明が求められます。事前に認められても、持ち込み機器の検査などの管轄が空港と航空会社と行政で違うために、フライト当日に人工呼吸器のバッテリーなどが認められずに、搭乗自体を拒否されることがあります。

また、空港での検査では多くの場合、医療機器なども解体して確認されます。しかし解体したこともすることもない医療機器を、組み立て直すこと自体が私たちにとっては危険です。

こうしたことから、すでに医療機器として安全性が認められている医療機器やそれに使用されているリチウムバッテリーなどの持ち込み、また経管栄養等に必要な流動食などの水分についても、事前申請なしで持ち込みを認めるようにすることが求められます。当日の検査においても機器の解体や過剰な確認作業を不要とするなど、管轄間で連携してスムーズな搭乗体制を整備することは、国内線と国際線どちらも緊急に対応すべき課題です。

四つ目は、空港や駅などの移動する場所に、私たちが利用しているようなリクライニング式の車いすがすっぽりと入るくらいのスペースがあるエレベーターを設置してほしいということです。現在設置されている多くのエレベーターでは、リクライニングを起こして直角にしても、やっと介助者一人が一緒に乗れるか乗れないかのスペースしかありません。


こうした経験を通して突き付けられた現実は、人工呼吸器を装着した私たちのような障害者が健常の人と同じように移動して活動することが想定されていないということです。飛行機ではそもそも乗客として想定されておらず、あらゆる移動の場面において私たちには、通常の人が選べるはずの選択肢が用意されていません。それを要求しても、多くの場合、サービスを用意していないと言われ、会社の規定を理由に要求自体の検討も受け入れてもらえません。

こうしたことが、私たちで言えば、人工呼吸器を装着した不便さや不利益と捉えられてしまい、人工呼吸器を装着することをためらわせる要因の一つになっています。バリアフリーの問題はそうした私たちの選択にも大きな影響を与えています。以上です。ありがとうございました。

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以上、下記のページより転載いたしました。

http://www.arsvi.com/2010/20180220mh.htm

 

 

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