【第2弾】名古屋大学の使命!重要文化財の絵図を守り継ぐ

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2022年09月09日 11:00

連載企画「高木家文書の裏話」第9回 -高木家による鵜飼漁-

初秋の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。

本日は、長良川・木曽川で有名な鵜飼漁に関する史料をご紹介します。美濃国には鵜飼漁を行う人々が古代からおり、長良川沿いの黒野・下鵜飼・小野など9か村が鵜飼郷と呼ばれ、朝廷に鮎を献上していました。元和5(1619)年、長良川一帯が尾張藩領になると、これ以降尾張藩の保護を受けて鵜飼漁が行われ、捕れた鮎の一部は御役鮎として尾張藩に納められました。

この鵜飼漁が、西高木家でも一時期行われていたようなのです。同家が鵜飼漁を始めた時期は定かではありませんが、遅くとも享保11(1726)年頃には鵜飼漁が行われており、記録をたどると安永元(1772)年頃までは行われていたようです。

長良川から遠く離れた高木家の領内で行われた鵜飼漁とは、いったいどのようなものだったのでしょうか。『御用日記』の記述から次のようなことが分かります。

 

1.鵜を長良から連れてくる時期

高木家は、鵜飼漁をしていない時期は鵜を長良の鵜匠に預けていました。『岐阜県史』所収の小瀬村の鵜匠足立家に伝わった「鵜漁年内仕方書」によれば、漁をしていない時期(10月~3月頃)は、餌飼(えがい)といって、鮎漁を行う川の生態系を守るために、おもに漁場に使用していない川へ赴き、鵜に自由に魚を捕らせ食べさせます。寒冷の時期は魚が少ないため、鵜匠が生魚を用意して鵜に餌として与えることもありました。このような鵜の世話を高木家単独で行うのは大変なので、長良の鵜匠に鵜を預けていたと考えられます。

高木家では、例年(旧暦)3月になると、長良の鵜匠のもとに家臣を派遣し、鵜を受け取りに行かせていたようです。宝暦2(1752)年の場合、3月7日に鵜を取りに行かせ、翌3月8日に使いの者が鵜を連れて戻ってきています。

 

2.鵜飼漁を担った三宅梶右衛門

高木家で鵜飼漁を主に担った家臣に三宅梶右衛門がいました。梶右衛門は格式としては徒士(かち)で、当時は林奉行であったとされます。彼の主な職務は山川の管理でした。川漁のほか、贈答品に使う秋の松茸の管理も重要な任務であったようです。

 

3.鵜飼漁の時期

長良・小瀬での鵜飼漁は4月から9月頃にかけて行われました。高木家の場合、寛延3(1750)年から宝暦5(1755)年までの記録を見ると、主に6月後半から8月頃にかけて漁を行っています。この時期に漁が集中している理由について示唆を与えてくれるのが、次の記述です。

 

A.寛延3(1750)年7月朔日条(F-3-1-1)

画像赤枠部分に以下の記載があります。

一下河内川狩白綱・鵜計、横渕上より市ノ瀬村岩崎迄、惣数百四拾五、何れも見事ナル魚也

(牧田川下流域へ鵜と白綱だけを遣わし、横渕上から市ノ瀬村岩崎で漁を行い145匹捕った。いずれも見事な魚であった。)

 

B.宝暦2(1752)年5月22日条(F-3-1-3)

一下川へ鵜遣ひ参候、下辺殊外鮎少ク御座候、漸々弐百廿程取レ申候、田作之様成物ニ御座候

(牧田川下流域に鵜を遣わして鵜飼漁を行わせた。下流域はことのほか鮎が少なく、漸く220匹捕れた。これは田作りを作る程度の大きさであった。)

 

C.宝暦4(1754)年6月28日条(F-3-1-5)

一今日鵜計川狩申付候、鮎弐百余取申候、当年無之大鮎取申候事

(今日、鵜のみで漁を行うよう申しつけた。鮎を200匹余捕ってきた。当年にこれなき大きな鮎が捕れた。)

 

Bは、5月後半に漁を行った記述ですが、220匹も捕っておりながら、鮎が少ないとあり、その上で捕れた220匹も田作りにする大きさと記されています。一方、A、Cでは大きな鮎(魚)が捕れたとことについて感嘆しています。したがって、高木家では小鮎より大きな鮎を好み、若鮎の季節の漁を避け、成魚の季節に集中して漁を行ったと考えられます。ただし、鵜を漁に慣らす必要があるため、若鮎の季節にも梶右衛門による小規模な鵜飼漁は行われたと考えられます。

 

4.漁の形態

漁は主に鵜のみ、または鵜と魚が逃げないようひき巡らし追い立てる白綱(一般には白縄)の併用で行われたと推測されます。牧田川は水量が少ない川であることから、鵜匠(高木の場合は梶右衛門か)が浅瀬まで徒歩で入り漁を行う「歩行遣い」(船を使用する場合は「船遣い」)であったと考えられます。漁を行う時間帯は魚を追い立てる白綱を使用していることから、鮎の明るい場所に集まる習性を利用し夜に篝火をいて行う長良川の鵜飼漁とは違い、昼間に行われたものと考えられます。これは、鵜飼漁に出た梶右衛門が、鮎が捕れず、ようやく4匹のみ捕って夜5つ(午後8時頃)に帰館していることからも裏付けられます。主に鮎漁が行われましたが、当主の意向でアマゴ漁に鵜が使われたこともありました。

 

5.鵜を預ける時期

鵜飼漁の時期が終わり、鵜を長良へ預ける時期は9月半ば頃だったようです。寛延3年(1750年)の場合、9月13日に鵜を例年どおり預けに使者を派遣したという記述があります。

 

6.捕った鮎の加工

高木家では焼鮎・塩鮎・鮎鮓を贈答品として方々に贈っています。しかし、これらが鵜飼漁により捕れた鮎かは分かりません。焼鮎・塩鮎が他所から高木家に贈られることもあり、これが贈答に充てられた可能性もあります。しかし、少なくとも鵜飼漁で捕れた鮎を塩鮎・うるかにすることはあったようです。なお、塩鮎は鮎の塩漬け、うるかは鮎の内臓の塩辛です。

 

長良川から遠く離れた高木家領でもこのような形で鵜飼漁が行われていたのですね。捕れた魚の数や大きさ、調理法まで記されており、当時の人々の生活が身近に感じられますね。

以上、本日は高木家による鵜飼漁についてお届けしました。次回もどうぞお楽しみに。

 

参考文献

『長良川鵜飼の記』(岐阜県、1900年)

岐阜遊船株式会社編輯・発行『長良川鵜飼観覧案内』(1914年)

可児弘明『鵜飼』(中央公論社、1966年)

岐阜県編集・発行『岐阜県史』史料編 近世六(1969年)

岐阜県編集・発行『岐阜県史』通史編 近世下(1972年)

「日本の食生活全集 岐阜」編集委員会編『聞き書き 岐阜の食事』(農山漁村文化協会、1990年)

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