「世界は変えられるんだ！」一歩を踏み出す勇気を、この一冊で。

みなさん、こんにちは！ACE事務局長の白木朋子です。

昨日からスタートした、ACEスタッフの“Changeストーリー”をご紹介するシリーズ。

 

私にとってはACEとともに歩んできた20年。NGOも組織運営もよくわからない中、すべては一から自分たちで作り上げるため、常に変化、成長を迫られる日々だったようにも思います。おかげで苦手なことにもいろいろチャレンジしたり、成長する機会をいただいたと思います。

 

さて、うまくお伝えできるかわかりませんが、今日はわたしの人生観や世界観、世の中の見方みたいなものにシフトが起きたというお話をしたいと思います。

 

「この世界はすばらしい。生きる上で大切なものは、すぐそこにある。」

ACE事務局長　白木朋子（しろき　ともこ）       

 

 

2005年にACEがNPO法人になるのに合わせて、前の仕事を辞めてACEからお給料をもらって働くようになったのが、私が31歳の時。やりたかった仕事を毎日できるようになったことと、活動をその次の年も継続していくためにとにかく稼がなければと思い、がむしゃらに夢中になって働きました。

 

ある時期になると、仕事だけではなくプライベートも充実させたいと欲張りに動き回り、あまりに忙しくしていたせいか、耳の病気を患ったりもしました。。気づいたら30代半ば。周りの友人は結婚して子どもがいる人がほとんどで、結婚への焦りも感じる年頃。お見合いパーティーに行ってみたりしたこともありました（岩附に強く勧められて笑）。

 

その前後のあたりに、ガーナでプロジェクトを実施するために現地調査に入り、2009年からプロジェクトがスタート。そこから、現地の活動のモニタリング（活動がしっかり行われているかの確認や調整、現地スタッフへのアドバイスなど）をするために、年に3回ガーナに通う生活が始まりました。

 

当時プロジェクトを行っていたのは、アシャンティ州のクワベナ・アクワ村。州の端っこにあって行政サービスがほとんど届かない、電気や水道も通っていないところでした。村の人たちは数少ない井戸（バケツをくみ上げる方式）の水を遠くから運んで、調理や飲み水、水浴びなどに使っていました。プロジェクトでは、村の空き家を一軒借りて改装し、事務所兼宿舎として使っていました。私が村を訪ねる際もそこに滞在し、蚊帳を張ったベッドに寝たり、バケツ一杯の水で水浴びをしたりしていました。

 

 

あれはたぶん2010年頃、村で学校を回ったり、活動に参加するカカオ農家の家庭訪問などを終えたあと、もうすぐお昼ごはんというくらいの時間。学校近くのお宅の前に腰掛けて、ぼーっと休憩していたら、その家のお母さんが帰ってきました。農作業を終えた帰り、収穫したイモなど野菜でいっぱいの重そうなカゴを頭に乗せて。

 

頭に乗せていたカゴを下ろして顔を上げたその女性の額にはキラリと光る汗。その姿が私にはとても美しく見えました。同時に周りの風景もすごくキラキラ輝いて見えてきました。「自分が生きていく糧を自分で作れるってとてもすばらしいな、尊いことなんだ。」そう思った瞬間でした。

 

 

ガーナの村に滞在して気づいたことがもうひとつ。村での暮らしは、日の出とともに朝5時ごろから1日が始まって（ニワトリの鳴き声で目が覚めます）、日が暮れたらご飯を食べて夜9時頃には眠りにつく、そんなサイクル。私も村に滞在している時はそんな生活をしていました。これがなんとも身体に心地いい。

 

当時東京で一人暮らしをしていた私は、夜遅くまで仕事をして、帰宅後も遅くまで夜更かしし、翌朝はぎりぎりまで寝ているような日々。朝5時起きなんて考えられない生活をしていました。ガーナの村で生活してみて、人間も自然の一部、太陽の動きに合わせて生活した方が身体も元気だし、無理がないことに気づかされました。

 

日本に帰ってきて、モノにあふれている自分の部屋で、ガーナの村で人々がたくましく生きている姿を思い浮かべた時、モノはそんなになくても生きていけるんだ、人が生きるために必要なものはほんの少ししかないのかもしれない、とも思いました。

 

生きるために大切なこと、それは家族だったり、コミュニティだったり、人々の温かい絆。自分で食べる食糧を作れることも。結婚相手を探しに着飾ってパーティに行くことも、あまり必要ではないモノに囲まれた生活も自分には必要ない。ほんの少しの大切なものを大事にしながら生きていこう。自分にとって何が大切で、何が大切でないか、気づくことができたのです。一生ひとりで生きていくことになってもいいことにしよう、そう覚悟したのもこの時です（笑）。

 

 

 

今わたしは、埼玉県の片隅で夫と娘と3人で暮らしています。周りは田んぼや畑に囲まれて、空が広く感じられる小さな町で。ありがたいことに、のんびりとした平穏な暮らし、と漠然と思い描いた風景が現実になっているように思います。

 

実はガーナで農業の尊さに気づいてから、日本の農業について学びたいと思い、朝活のクラスに通うようになりました。その延長線上で、農業に携わる今の夫と出会い、結婚することができました。娘が生まれてから約2年半。気づいてみたら、夜9時頃には寝室に入り、朝5時半頃には起きる生活にもなっていました。

 

ガーナの村での体験を通じて「自分にとって大切なこと」に気づくことができたおかげで、今の私があります。人それぞれ大切なものは違うと思いますが、それに気づけることで生き方も仕事も、自分が思うようなイメージに近づくことができるのではないか、そう思っています。

 

この世界はすばらしい！そして、人それぞれの人生もすばらしい！そんな思いを、このプロジェクトでも伝えていきたいです。

 

（白木朋子　2017/12/3）

 

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