デザイナーの白岩と申します。
今回、宇井眞紀子さんより、写真集製作の過程を皆様に知っていただきたい、とのご相談をいただきました。
そこで、こちらのページを通じて製作の状況をお知らせしたいと思います。


今進めているのは、撮影に参加された皆さんから寄せられた『ひと言』の編集です。
短いものも、長いものも、思い思いの100の言葉が綴られたノートを、宇井さんは『命の次に大切』と言いながら持ち歩いていた、とうかがいました。

7年の撮影期間の月日を感じさせるその一冊に、沢山の方の手で書き込まれた『ひと言』を、写真集の後半12ページを使って掲載し、みなさまと分かち合いたいと思っています。

また、海外の方にも読んでいただけるよう、英文の対訳掲載も決まっており、
今、私の元に、アメリカ在住の翻訳者ロニーさんによって丁寧に英語へと置き換えられた英文が届いています。
彼はアイヌ文化に造詣が深く、慎重に正確にモデルの方々の思い伝えようと作業を進めてくださいました。

ここからがデザイナーの仕事です。
お預かりしたその言葉を、より読みやすく、正確に届けることができるか、書体や、文字のサイズ、レイアウトの検討を重ねます。
 
ご本人が書いてくださった文章を尊重し、一般的な校正をするようなことをせず、そのまま皆さんに伝えることを第一に優先するという編集方針が決まっています。

今回は日本語、英語の他にもうひとつ、とても大切な言語が登場します。
それは『アイヌ語』です。

文字を持たないというアイヌ語を織り交ぜていらっしゃる方も少なくなく、その方の想いを表すには、どのような文字で表現したらよいか・・・とても悩みました。日本語と異なることがわかるように、カタカナを斜体表記にすることにしました。宇井さんや編集者であり出版社社長の高橋さんと細かいところまで相談しながら、進めております。

また、英文ではアルファベットの中にそのまま、アイヌ語が入ります。ですから、そのような環境でも読む方が一目でアイヌ語であることを感じられるように、と斜体にしています。


写真作品はカラーですが、『ひと言』のページは墨1色刷りになります。
白と黒だけの世界は、書体や文字のサイズだけではなく、行間・文字間から生まれる余白とのバランスからも影響を受け、全体の印象が大きく変わります。
その印象が、写真集に流れるイメージと調和するように注意深く細部と全体を調整していきます。


このような作業を経て『ひと言』は、地球2周以上の距離を旅した表紙の擦り切れた一冊のノートから、1000の写真集へと生まれかわり、沢山の方の手へと渡ってゆきます。写真集を手にした時『ひと言』のページにも是非ご注目下さい。

引き続き、次回はもうひとつのページのデザインについてお伝えしようと思います。皆さんのご支援で誕生する写真集は着々と出版への準備が進められております。どうぞ楽しみにお待ち下さい。
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