安保法制違憲訴訟・北海道　運動と訴訟の記録を文集にして残したい

▼自己紹介

　わが国の安全保障について、政府は長年にわたって、専守防衛に徹し、集団的自衛権の行使は憲法9条に反するとの解釈を堅持してきました。ところが、第2次安倍政権は、2014年7月、集団的自衛権行使容認の閣議決定をし、翌年9月に安保法制を成立させました。それは憲法改正の手続を経ることなく、解釈改憲という手法で憲法9条が定める「平和の砦」を壊すものでした。

　そこで、全国22の地方裁判所（原告数約7700名）で、安保法制は憲法に違反するという趣旨の訴訟が提訴されました。北海道では、2017年1月に提訴され、訴訟を支援する「北海道の会」（iken3@googlegroups.com）が立ち上がり、裁判傍聴、署名、「北海道から平和の風を」というニュースの発行、勉強会、講演会など、積極的に取り組んできました。私たちは、その「北海道の会」の事務局です。

▼プロジェクトを立ち上げたきっかけ

　今回のプロジェクトは、上記の訴訟で裁判所に提出した、安保法制による被害の実態を書いた陳述書を刊行するというものです。陳述書は、現職の自衛官の両親や兄弟姉妹の深刻な不安を訴えたもの、空襲や原爆によって直接戦争被害を受けた方、家族を失った方々が惨状を脳裏に焼き付けて戦後を生きてきたことを書き綴ったものなど熱く書かれたものばかりで、訴訟の中に留めておくだけではなく、より広く多くの人と共有する必要があると考えたのが、今回のプロジェクトのきっかけです。「新しい戦前にしてはならない」という声のある現在の社会状況のもとで、意義深いものと確信しています。

▼プロジェクトの内容

　平和や戦争に対する原告の人たちの思いを公刊して、多くの人たちに読んでもらうこと、立憲主義を否定する横暴な権力に抵抗した人たちがいたという事実を歴史に残すこと、そして北海道訴訟がどのような裁判闘争を進めてきたかを記録にとどめておくことが今回のプロジェクトの内容です。

▼プロジェクトの展望・ビジョン

　出版される本書は、単なる個人的な記録や私本のようなものではなく、市場で流通・販売する場合に不可欠な「ISBNコード」「日本図書コード」を取得し、国会図書館をはじめとする各図書館の蔵書となって広く活用されます。

　安保法制違憲訴訟は、全国で今もなお闘われています。本書は、その支援者や弁護団にも活用してもらう可能性があり、全国に発信できる展望があります。この種の書籍化は初めての試みで、戦争を再び起こしてはならないという思いを同じくする多くの人々の関心と共鳴することを期待しています。