皆様こんにちは。

7月11日からクラウドファンディングのプロジェクトページが公開されてから、あっという間に10日が経ちました。お陰様で少しずつではありますが、アーカスプロジェクトをご存知の方も、初めてこのREADYFORで活動を知って下さった方々にも、ご支援と、情報を拡散いただき、本当に有り難く思っています。

 

アーカススタジオは今年の招へいアーティストもついに!決定しました。

毎年、世界から選ばれて来日したアーティスト達は、まず、守谷でのこのアーカスの歴史を知って驚きます。世界で活躍しているそうそうたる先輩アーティストの名前を知ると、初めての日本でも、初めてのレジデンス体験でも、少しずつ自信をもって活動していきます。今年も楽しみです。

アーカスプロジェクトのアーティスト支援の特徴として、活動がずっと続いている間、完成された「作品」は、ここ、アーカススタジオには一切残されていません。しかし、「ドキュメント資料」が膨大に残されているんです。

 

今日は地域プログラムの中でも17年目の『HIBINO HOSPITAL(日比野美術研究付属病院放送部)/ 通称HH 』についてご紹介します。

 

最近やっと高解像度に更新したH+Hのロゴ。


先日も、1999年から継続してアーティストの日比野克彦さんによる「HIBINO HOSPITAL」ワークショップシリーズの記録を調査していました。

まだ「ワークショップ」なんて言葉も知られていない頃からのスタートです。アーカススタジオで残されている資料を見る限り、日比野さんほど日本のアート界に「ワークショップ、その定義、またはフォーマット」を広めたアーティストはいない、と感じ取れる膨大なデータがあるので少しだけご紹介します。

 

HIBINO HOSPITAL vol.65「納豆ひこうき」@茨城空港(2014)

 

 まだ「インターネット」が普及し出したばかりの頃、「オンラインパーティー」と称して、ネット上で悩み事や相談ごとを一般の方々が書き込むシステムで、HHは20世紀末(1999年!)に始まりました。いまでこそ、全てネットでやりとりするのが普通の21世紀。今のコミュニケーションはSNSなどを介してネットが欠かせない時代です。

 

 当時は、メールひとつ返信するにもじっと画面を覗いてぐるぐる画面を待つ時代でした。その相談メールに返信するのが「担当医」。当時の日比野研究室(東京芸大のデザイン科・そして後に先端芸術表現科)の学生らがひとりひとりの「患者」に向き合いました。

(それはフジテレビの「テレビ美術館」でも取り上げられ、当時の番組アナウンサー、安部千代さんが小さなごついパソコンの前で、相談ごとをメール送信している映像記録(VHSビデオ)も、実はスタジオに残されています。)

 

メールで返信するコミュニケーションを経たあとに、実際に患者と担当医が出会うのが「オフラインパーティー」です。実際に「もりや学びの里」で集合して、様々なワークショップを行い、当時流行り出した「100均」の材料を使って、その日の患者数やコンディションによって何をやるか日比野さんが「お題」を決め、自由に表現することで、治療を施す。そういった取り組みをずっと現在でも形を変えながらも、行っています。

HHは、お題が当日までわからないのも、伝統になってきました。ですから何をやるのかわからないけれど、それを楽しみに集まる参加者が多い人気プログラムなのです。

ときどき、守谷から離れて出張往診にいくバージョンも変わりません。

昨年度は、常総市の水海道公民館や、北茨城市で開催しました。

HH vol.33「ものと単位」岩井(現・坂東市)のショッピングセンタープリオ101(2002年)

 

プラトーさとみでのHHvol.31「アートキャンプ・今と自分とをつなぐ橋(里美)」(2002年)

 

これまでに茨城県内でも様々な場所で実施してきました。ショッピングセンターをワンフロアー貸し切って実施したり、お寺で実施したり。

当時のHHのチラシ。
HH vol.62「アーカス看板」

 

HH vol.62「アーカス看板」(2012年)

 

海や、山あいの牧場でアートキャンプをやったり、空港で茨城県産の納豆藁を使い、大豆という乗客を乗せて「納豆ひこうき」を作ったり。それはそれは様々な環境でのワークショップを行ってきました。それらの活動記録の初期の頃は全て、スライドポジフィルムや、DVなどで残っています。

そして、

日比野克彦さんのアーカスプロジェクトでのワークショップの歴史が垣間みれる、最初のホームページにある記録画像はなんと、200~300KBの画像です。2000年から2001年へとドキュメントツールがデジタル移行する頃、まさにコンパクトデジタルカメラが普及しだしたことが、記録の解像度からわかりました。

HHvol.31「アートキャンプ・今と自分とをつなぐ橋(里美)」(2002年)
HH vol.68では北茨城の海岸で、「忘れ物を探しに...」(2016年)
県北芸術祭との連携企画としてもHHvol.68は実施(2016年)

 

現在では「ワークショップ」という言葉は定着し、誰でも何かを作ってみる、参加してみることの代名詞のようにもなったとも言えます。アーカスプロジェクトのHHは、その時代の出来事にも反映されていたり、当時の流行が見えたり、即興性や何が始まるかわからないドキドキ感は今も変わらずに、その歴史を紡いでいます。

 

20世紀末は記録も主にスライド写真の時代。現在デジタル化するための準備もしています。

 

右下、'95年発行の記録集は最後の1冊。全国に残部がどれだけあるのか、探しています。

 

みなさんに是非、これらの地域プログラム、日本人アーティストによるワークショップやアートプロジェクトの歴史の推移も参考事例として公開できるような図書サロンをめざして、鋭意調査中です。

引き続き、どうぞ宜しくお願い致します!



 

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