誰もが希望を持てる未来へ|挑戦するNGO新人スタッフをともに応援

寄付総額

1,021,000

目標金額 500,000円

寄付者
57人
募集終了日
2023年10月10日

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2023年09月21日 08:00

インタビュー:田口裕晃さん「認めてもらえた、多くの人に喜んでもらえた。それが自分の嬉しさ」

第2回NGO新人賞(2014年度)受賞者
田口裕晃さん(名古屋NGOセンター)

名古屋NGOセンター(以下、NGOセンター)は、名古屋を拠点に、中部地区の市民団体をサポートし、また様々な社会課題の解決に向けての政策提言、そしてNGOやそこで働く人材を育てる活動に取り組んでいます。田口さんは、特に国内外の課題を学び、それに向けての行動を考える「NGOスタッフになりたい人のためのコミュニティカレッジ(通称:Nたま)」に、力をいれていらっしゃいます。


◎田口さんがNGOに関心をもったきっかけは?

 

学生時代に、愛知万博が開催されたんです(2005年)。当時、アルバイトで万博会場やその後の関連イベントに行っていたのですが、会場をまわるなかで、様々なNGOなどの団体がブースを出していた地球市民村にも足を運んで話を聞いたのが初めての接点でした。

 

その時に講演されたカンボジア支援をしている方と話すなかで、事業地にも来てくれと誘われて、その年の夏休みに一ヶ月間ほどボランティアに行ったんです。ちょうど帰国したときに、NGOセンターが行っている「Nたま」が開催される時期で参加しました。大学卒業後、そのままNGOに入るか企業に入るか悩みましたが、まずは企業で働く選択をして、2年ほど企業で働いてからNGOセンターに入りました。

 

Nたまに参加していた時の田口さん

◎NGOセンターを就職先に選んだ理由は?

 

他のNGOも考えたのですが、NGOセンターから誘われたのが一番の理由でした(笑)。スタッフになって15年くらいの関わりになりますね。


NGOセンターは関西NGO協議会やJANICと同じ頃の1988年の設立です。現在は、事務局長は置かず、スタッフ3人が1年交代でマネージャーを担当しています。3人それぞれが経営意識をもって上下関係をつくらず交代で回していこうと考えて、いろいろな仕事に取り組んできました。ちなみに今年は僕がマネージャーです。

 

Nたまに参加していた時の田口さん、その2

 

◎ NGO新人賞を受賞して、何か変化はありましたか?

 

伊藤信道さん(当時のアーユス理事)に推薦いただきました。僕自身が嬉しかったのはもちろんですが、周りの人、いっしょに活動している人たちが喜んでくれ、アーユスにも協力している名古屋在住で友人でもあるお坊さんなどは、わざわざ東京の授賞式についてきてくれました。周りが喜んでくれた姿をみて、自分もうれしかったです。

 

自分がやってきたことを認められている、応援してもらえている感覚があって、気負うわけでは無いけれど、頑張らなきゃと思えたタイミングでした。

 

◎新人の頃の特有の苦労で思い出すことはありますか。

 

働き始めたとき、他の団体と掛け持ちして働いていて、ほとんど休みがなかったのはしんどかったです。イベントが土日に開催されると週に1日も休みがないことも多かったです。次から次へのやってくる仕事の〆切に常に追われ続けていたのは、嫌な思い出です。


あと、当時の中部地域のNGO業界で働く男性ってほとんどいなくて、男性がいなかったのがちょっと寂しかったです。

 

◎女性が多い業界ですからね。給与が少ないから男性が少ないのかしら? 田口さん自身は家庭を持ちお子さんもいて、将来設計で不安に思うことはありませんか。

 

物価高では思うかなー。それに合わせて給与をベアしようという話はあまり出てこないですものね。僕自身は、もともとあるだけで暮らすタイプなんです。東京に比べれば家賃は安いし、そんなにお金は使わないし。

 

ただ、それがボトルネックになってNGOに転職しない男性はけっこう見てきました。NGOで働きたいけれど、給与的な面で厳しい。上場企業で働いて年収1千万近くの方は、NGOだと半分以下になってしまうことが多い。ある会社員の方と一緒に給与のライフデザインを描いたとき、飲み会の回数を減らさないといけないなどの現実に直面して、「これは難しいな」と言っていました。

 

Nたまを運営する田口さん

 

◎アーユスで新人賞の賞金をクラウドファンディングで集めることにしたとき、この事業の意義は「次の世代にどうつなぐか」にあると思ったんですね。想いを持ってNGOに入ってきた人たちを多くの人で支えるのが新人賞の魅力のひとつと思ったんです。「Nたま」にも通じるものがある気がするのですが、最近のNたま参加者の関心事などはいかがでしょうか。

 

日本に住んでいる海外にルーツをもつ人たちへの関心が高まっている印象があります。名古屋は入管問題で注目を集めた影響もあるかもしれません。昔から名古屋では移住者支援のNGOが盛んな場所でもあります。

 

でも、昨年は受講者の関心事ももっとばらけていて、コミュニティ開発や、気候変動などさまざまでしたね。年によって参加者も異なって、今年は学生が多いです。Nたまに参加している大学生に共通するのは、大学では「意識高い系」と思われてしまってなかなかできない話をしたいと思ってくる人が多いということです。

 

最近のNたまの様子

 

◎修了生の受け皿の状況はどうですか?

 

Nたまの修了生は、国際協力だけではなく、広く日本の課題を扱っている団体に関心のある方もいるので、就職先も様々です。あとは行政がやっているNPOセンターなどもあるので、広く構えていればどこかしらに就職されています。

 

◎田口さん自身、Nたまの事業への展望はありますか?

 

Nたまでできていないのは、就職した後のフォローアップです。


アーユスの新人賞のように、働いて少し経ってから背中を押して貰える機会はなかなかないんですね。入った瞬間はモチベーションが高いけれど、少しずつ下がっていく。下積み時代は長く、まわりから評価されることもない。働いて5年で「がんばったね」って言ってもらえるのは良い機会だと感じます。


NGOの仕事って、外から見ると華やかに見えるらしいけれど、実際は地味な仕事が多いですよね。Nたまの受講者にも、受講前のNGOへのイメージと現実のギャップに驚く人がいますよ。NGOはとても大きな組織だと思っていて、NGOセンターの事務所にきて「こんな狭いところなの?」とか。

 

◎受付ですか?って?(笑)
さて、NGO に関わる中で、NGOと一般社会との距離を感じることはありますか。

 

感じます。この業界では当たり前に疑問視されることが、世の中ではどんどん進んでいるし。

NGOやNPOはボランティアが中心になってなりたっている団体。寄付もひとつのかたちだと思います。企業を含め、いろんな人た組織が関わることがパワーになっていきます。多くの人といっしょに活動をつくれるよう、今後も頑張っていきたいです。

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