自分の気持ちと会話する？！

私はクリニックでクリニカルアート（臨床美術）を担当させていただいていますが、時々「今朝、起きてからここへ来られるまでのご気分をオイルパステルの色の中から選ぶとしたら何色ですか？」と患者さんに尋ねます。

初めての患者さんは、この謎の質問に「は？気分の色？」と怪訝な顔をされます。

 

「朝ごはんは和食ですか？」

「いいえ、私は外でモーニングを食べるのが趣味なの」

「いい時間ですね。コーヒーですか？紅茶ですか？」

「コーヒーが好きなの。コーヒーの香りの色なら赤かしら。お店を出たら、まだ風が冷たくてね、冷たい風を色にするなら黄色かな？」

 

ちゃんと五感をフルに使って感じておられたことを掘り起こして気づく作業をしていただくのです。

そうやって選んだ「気持ちの色」を使いながら作品作りをすることはとても楽しく、「朝はいつもだるいと思っていたけど、色にしてみると今日はそこまで悪くないのね」とおっしゃったりします。

 

しかし、逆に「桜が咲いていたかどうか、風の冷たさを感じていたかどうかも思い出せないな。すこし、忙しすぎるかも」と気づかれる方もあります。

 

臨床美術士は、評価や判定を行うことはありません。

けれども、「目にみえないもの」を描くことによって「自分の気持ちと会話する」ことができる新しいアートセラピーです。

 

写真は「風の流れのコラージュ」というプログラムです。

皮膚で感じた風だけでなく「私のクラスに流れる温かい風」を表現した子どももいます。

 

ご支援が60％に達するほどになりました。

皆様、本当にありがとうございます。

このプロジェクトは4月26日が期限です。

どうぞ皆様、引き続きご協力をよろしくお願いいたします。

 

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　辻　香乃