本日、神奈川新聞朝刊  四面一面にて特集記事を掲載して頂きました。とても丁寧に取り上げて頂いたので、この場をお借りして、一部を紹介したいと思います。

 

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「買う」から「つくる」へ ー 21世紀型ものづくり工房「FabLabKamakura」ー



鎌倉市に''21世紀型ものづくり工房'' がある。その名も「FabLabKamakura」(ファブラボ鎌倉)。世界遺産登録を目指す歴史ある街に、最新技術を備えた工房。一見、ちぐはぐな組み合わせのように見える。ファブラボが生み出す新しいものづくりの可能性とはー。 (柏木智帆)



【古い蔵に最新機械】
鎌倉駅西口から徒歩5分。秋田県から移築した趣きのある蔵が「ファブラボ鎌倉」(同市扇ガ谷)。2階には、3次元プリンター、レーザーカッター(現在では封印)、デジタルミシン、ペーパーカッターなどが、ところ狭しと並ぶ。外観からは想像もつかない不思議な空間だ。ファブラボは、こうした先端工作機械によって実現される「パーソナル・ファブリケーション」(個人的なものづくり、多品種少量生産型デザイン)の可能性を、さまざまな人たちと共同で開拓するための実験工房。日本では2011年5月に、鎌倉と茨城県つくば市に誕生した。世界30ヵ国に地球規模のネットワークが広がっている。



【デジタル x 手仕事】
鎌倉には、生地や和紙など素材を扱う店や木工や彫刻などの工房があり、手作りの文化や職人技が残る。こうした街の素材や職人とのつながりを生かした「Fab Town Project」と銘打った地域密着型ものづくりをすすめ、これからのものづくりのヒントを探っている。「鎌倉は、歴史的文脈が地域に根付き伝統がある一方で、新しいものをオープンに受け入れる土地」。そこに、新しいものが生まれる可能性を見いだす。

デジタル機械に対する職人たちの反応は肯定的だった。ある木工職人は、「日頃、旋盤も使う。どの部分の肯定が大事かを見極めれば両立は可能」と受け止めた。手仕事だけではコスト面で実現できなかった製品の開発に結びついている。これまでに、革製スリッパの製作キットや、1点もので54種類のデザインを展開していく木製時計などを開発。先端技術と職人の手仕事の融合だ。

*金曜日の「結のファブ」は、7月までの活動内容が記載されておりますので、現在行なっているプロジェクトベースの公開日と内容が異なるのでご注意ください。


これまでに、高校生や大学生、主婦、クリエイター、デザイナーなどが訪問。斬新な花器や透かし彫りの名刺などを作ってきた。サポート役を務める男性学生は、「日頃こういう機械に触れていない人たちと一緒に取り組む中で、僕たちがやったことがない手法のアイデアが生まれたり、ゼミや研究だけでをしているよりも幅が広がったりする」と話す。学生自身も最新機器で自身のアイデアを形にするなど、研究と実践の場となっている。



【ものづくりを身近に】
渡辺さんは「いまの消費生活は『つくる』よりも『買う』マインド」と指摘する。買う行為をすべて否定するわけではないが、「買う前に『作れるかな』と、ものづくりをもっと身近に感じてもらいたい。つくるという思考に変われば、たとえば昔の職人の手仕事を見て『すごい』で終わりにせず、『これを生かすにはどうしたらいいか』という学びのスイッチが入る」。ものづくりを身近に引き寄せるツールが、ファブラボだという。


東日本大震災発生直後、懐中電灯やろうそくなどがあらゆる店頭で売り切れた。「でも、オリーブオイルや菜種油があれば、ひもを垂らして明かりをつくれる。自分でつくれば焦らず済む。『買う』から『つくる』マインドが変われば、生きる自信につながり生活もわくわくする」渡辺さんがつくりたいのは、こうした「新しい当たり前」。お互いのスキルをオープンにして共有することで問題解決につながるという。コミュニケーションツールとしての可能性にも期待を寄せる。


クラウドファンディング中ということも紹介して頂いた。



取材余話:
手仕事を敬愛している。白状すると、以前は最新機械を使うものづくりにあまり魅力を感じられなかった。だが、取材を通して、見方は変わった。たとえば、くぎを使わない組み木という工法。伝統的な職人の手仕事だ。だが、データがあれば、レーザーカッターで誰でもつくることができるという。すると、ものづくりが身近になる。敷居が高くて技術が絶えてしまうよりも、敷居を低くして日常に取り入れる。ものは生活にとけ込んでこそ、呼吸しているように思う。



神奈川新聞 2012年9月24日  朝刊(記者:柏木智帆)

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