大学に進学して最初の1年、上辺上友達はいても、自分の存在が迷惑になっているんじゃないか、みんなは優しさから私に合わせてくれているだけではないかと考えていました。

 

「お前が思ってる以上に障害者って邪魔なんや」と言い放った母親の言葉が頭から離れませんでした。家族からの資金援助はなかったため、奨学金を受けても生活が苦しく、塾や家庭教師などのアルバイトに応募したのですが、視覚障害を理由に全て面接もせずに断られました。

 

自分はやはり誰からも必要とされていないのではないか、自暴自棄になって、人に会うのが怖くなり、道を見失いかけていた時に、フリー・ザ・チルドレン・ジャパンが主催している、フィリピンへのスタディーツアー参加者募集のホームページを見つけたのです。 スタディーツアー中盤で、現地団体のフィリピン人スタッフも同席し、参加者一人一人がスタディーツアーを通しての体験や感想をシェアする時間があったのです。 他の参加者は日本語で感想を話し、それをFTCJスタッフが英語に訳したのですが、私は日ごろから英語でも授業が行われる大学に通っていたのもあり、日本語で感想を話した後、英語で繰り返しました。

 

すると現地スタッフにものすごく驚かれ、 「ところで君は、いったいどうやって英語を勉強したの?」と聞かれました。 「この国では、まだまだ障害者は何もできないと思われていて、教育を受けていない障害者が沢山いる。君はこうして他のメンバーたちといっしょに外国にまでやってきて、そして健常者でさえ日本語だけで感想を言う中で、英語で発言できる。教育に関わる仕事をしている者として、僕は君が日本でどのようにして教育を受けてきたのか、どのような体験をしてきたのかにとても興味がある」と言っていただいたのです。

 

「あの、もしいつか、私がまたこの国へ個人的に来たとしたら、何かしら私に、できることはありませんか?」と聞いてみたところ、 「あると思うよ。障害者だけじゃない、この国には貧困や失業の結果、自暴自棄になって希望を見失っている人が沢山いる。君はそんな人たちを、励まして前向きにする存在になれると思う。君に会ってもらいたい人たちが沢山いるから、案内する」

 

自分なんて誰からも必要とされていないと思っていた私に、フィリピンの人たちは存在価値を教えてくれたのです。

 

(次回に続きます)

 

スタディーツアー当時の石田とフィリピンの子どもたち
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