夜の世界で孤立・困窮している女性たちに、必要な支援を届けたい

こんにちは、風テラス事務局の米盛です。

 

この春、久しぶりに帰省したのですが、飛行機の中で、マスクを付けていないCAさんが素敵な笑顔で飲み物を渡してくれました。「コロナが、、、ようやく、終わった」とジーンとしたものです。

 

ただ、世間を見渡せば異例の物価高もあり、多くの人は厳しい生活を強いられていますよね。

 

風テラスでは、この物価高の影響が直撃しているひとり親世帯と子供たちに食を届ける厚生労働省の支援事業「ごはん応援プロジェクト」の採択を受け、43万5000円分の食品を全国各地のご家庭にお送りしました。新潟県内では夜職世帯のお子さんたちを預かるキッズルームにてフードパントリーという形で食品を配布しました。

 

 

▲▼全国の配布世帯からの手書きのメッセージ

 

 

▲▼パントリー利用者からの可愛いメッセージ

 

今回の事業では、発送に際して、お子さんの年齢や人数などの聞き取りも行ったのですが、以前から相談で風テラスのSNSにつながっていた方、LINEのチャットボットを利用されていた方の中に「ひとり親」でお子さんを抱える方がいるということを知るきっかけにもなりました。

 

一期一会のSNS相談窓口で、このようにつながり続けることができ、あらためて採択してくださった中間支援団体の認定NPO法人キッズドアさん、財源を確保してくださった厚労省さん（納税者のみなさん）にお礼申し上げます。

 

今後は、ご本人、そしてともに暮らす子どもたちの存在も見つめながら、丁寧な寄り添いと相談を続けていきたいと考えています。

 

▲ごはん応援プロジェクトの内容例

 

 

 

 

■Twitter「スペース」で自助グループ活動を展開中！

 

昨夏始動したオンラインの自助グループ活動「女の子たちの60分フリー」、まもなく1年がたとうとしています。女の子たちの60分フリーは、風俗業界で働く女性同士が安心して身の上を語り合い、励まし合い、明日も生きよう、と思える居場所を目指した活動です。

 

開始当初はオンラインミーティングツール「Zoom」を使ったのですが、参加希望者の多くがまったくZoomを使ったことがない、という事態が直前に判明、LINEのグループ通話に切り替えるなど、てんやわんやが常といった有様でした。

 

また、仕事のご都合などで当日不参加になる方も少なくなく、継続的な自助グループ運営をどうしていけばよいのか、悩んでいた昨年末、軽い気持ちでTwitterのスペースでトークをしてみることになりました。

 

「スペース」とは、Twitter上で音声を使ったリアルタイムの会話ができる機能です。Twitterのアカウントを持っていれば自由に参加して、会話を楽しむことができるため、「ふと聞きに来る」「ちょっとのぞいてみる」ということが気軽にできます。

 

これまでに計6回開催し、「誹謗中傷対策」「身バレ」「出稼ぎ」など業界ならではのテーマを切り口にしてきました。スペースの中では、発信側の風テラスメンバーが、参加者のキャストさんにたくさんの知識や経験を教えてもらい、ほのぼのとした時間が流れているのも特徴です。

 

次回の「女の子たちの60分フリー」は4月14日（金）20～21時です。

風俗業界に身を置く方であればどなたでも参加可能ですので、ぜひお越しください。

https://futeras.org/4339/

 

 

 

 

■「熱量」「ロジカル」「楽しい！」プロボノメンバーの声

また、今回は、「女の子たちの60分フリー」の司会進行を積極的に担ってくれているプロボノ・つかささんに、風テラス、そして「60分フリー」を運営してきた感想をつづってもらいました。

 

つかさ・社会人プロボノ　2021年12月より風テラスに参加

私は相談援助の仕事を生業としつつ、日々の家事・子育てに追われるアラフォー女性です。 日々慌ただしく（短時間であっても）風テラスとの関わりがキャパオーバー！な時もありますが、志を持って対人援助職に就いた日の決意を忘れないために、風テラスの活動は欠かすことができないと思っています。   風テラスプロボノ・インターンの魅力①『色んな方々とつながれて楽しい！』 私の普段の生活から風俗の世界は縁遠く、相談者の方々から沢山のことを教えていただいています。匿名性の高いこの業界ですが『女の子たちの60分フリー』にて、彼女たちのリアルな声を聞けることがうれしいです。 身ひとつでこの困難な時代をサバイブしている彼女たちは本当にすごい。 本当の意味で職業の貴賎がない世界に、人々の意識が変わっていけたらいいと思います。 また、風テラスのインターン・プロボノも色んなフィールドの方がいます。 学生さんの明瞭な相談回答のアイデアに舌を巻き、事務局スタッフや『60分フリー』のMCメンバーからは人生の濃さを感じます。笑 日常では出会わない、異文化・異年齢の方々と繋がれるのは、この活動の一番良いところではないかなと思います。 風テラスプロボノ・インターンの魅力②『相談受付が非常にロジカルで鍛えられる』 インターン・ボランティアの主な仕事は日々入るご相談の内容整理（インテーク）です。 相談回答の責任者に適宜相談して、返答を考えるのですが、これが本当に難しい。 バシッと指摘されることも多く凹みますが「共感的に受け止める」「主訴に答える」等相談援助の基礎基本が詰まっていると感じます。 福祉領域の対人援助はまだまだ学問的に未整理な分野ではないかと思っているのですが、風テラスではより多くの人に受け入れられる相談対応を論理的に文章化して共有しています。 法律の知識＋福祉の知識の異業種ハイブリッドの対応を体系化した風テラスの相談技術からは大いに刺激を受け、対人援助職として成長する機会をもらっていると感じます。   風テラスボランティアの魅力③『新進気鋭のNPOの熱量を感じられる（自分も熱を取り戻せる）』 風テラスは、熱量が高くかつ柔軟性に富んだNPOだと感じます。 365日の相談受付や複数回に渡る食糧支援といった相談者ファーストの支援に留まらず、各種講座・イベントを実施。業界を外に開いていこう・困っている方に必要な情報を届けようという姿勢を持ち続けて、新しい取り組みも積極的に行っていく…その情熱と行動力には感服の一言です。 熱量の高い現場にいると、業務上の些末なことで擦り切れた自分の情熱も息を吹き返していく感覚があります。 自分も熱量高くかつ柔軟性のある人間になれたらいいな…少しでもマシな相談援助ができるようになるといいな…そんな思いで、風テラスに訪れる方々との一期一会を大切にしています。

 

 

 

■3月のご相談

累計241名（前年216名）

主なご相談 ・生活困窮・家賃滞納57件 ・住まい探し9件 ・離婚・DV　9件 ・性暴力被害7件 ・ホスト・スカウトトラブル10件

 

3月は家賃滞納や住まい探しなどのご相談が多く寄せられました。賃貸の更新時期の影響もあるのかもしれません。

多くは、生活困窮の窓口情報を提供するのですが、すでに家賃滞納で裁判の判決が出ている、「いつまでにどう出ていけばいいですか？」という喫緊のご相談も少なくありません。

そのような場合、最終手段として「親や友人の家に転がり込む」という提案をせざるを得ない時もあります。ご本人にとっては不本意なことも多く、あらたなトラブルの要因にもなるため、各地に迅速につながることができる福祉の窓口、支援団体をもっともっと増やしていきたい、とそう思っております。

 

■3月の食料支援

 16件＋ごはん応援プロジェクト（ひとり親世帯）30件

ひとり親家庭向けに計30世帯分の食品を届けるというプロジェクトで大忙しだったものの、単身の方々からも16件のご希望がありました。

 

また、事務局にもお菓子やゼリー飲料、パックごはんなど、多くの食品のご寄付も届き、本当にありがたく思っています。

 

▲「コロナが収まってきたと思ったら、保育園ではインフルエンザが猛威を奮っています。風テラスにお世話になっているご書いてはどうでしょうか？発熱時に少しですがお役立てください」とのメッセージもありがとうございました(^^)

 

シングルマザーとしてフードバンクを渡り歩いた経験を持つ事務局スタッフによると、風テラスの支援ラインナップはピカイチだそうです！「こんなのがあったら便利だよね、ありがたいよね、という食品が選び抜かれている」とのこと。

 

お暇がありましたら、風テラスのAmazon欲しいものリストをのぞいていただけると幸いです。また、「これも美味しいよ！」という常温保存アイテムがありましたら、遠慮なくご提案ください。

 

（READYFORの個別メッセージや、事務局へのメールinfo@futeras.orgへお願いします）https://futeras.org/donation/#index_id4

 

 

 

■月刊風テラス、4月号公開！

理事長・坂爪真吾のコラム「月刊風テラス」4月号を公開しました。

 

新年度のテーマ「一人で決めない＆やらない」についての決意がつづられております！

参考図書も見どころですので、ぜひお読みください！

https://note.com/fu_terrace/n/n75ad03baf9bf

 

 

 

■マンガ「あしたの嬢」新冊子が完成しました！

夜職女性のトラブル解決マンガ「あしたの嬢」の最新18話までをまとめた新冊子が完成しました！かわいい装丁とサイズ感に仕上がっております～。

 

▲B5版　84ページの超大作

 

風俗で働く女性がどのようなトラブルに巻き込まれがちなのか、その場合、どのように解決する方法があるのかがわかる一冊です。内容もボリュームもパワーアップしました！

 

風俗キャストの皆様はもちろん、行政の窓口、支援団体、法曹の皆様、ご関心がある方はこちらの公式フォームより「冊子希望です」とお申し込みください。

https://futeras.org/contact-request/

 

▲あとがきにて、学生以来着たことがないブラウスとスカート姿で登場。坂爪さんはリュック。

 

 

 

■3月のメディア掲載

年明けから年度末は、報道各社からの取材依頼が頻繁にあったように思います。風俗、ホスト、特定妊婦、などこの業界は社会課題の集積地であることをあらためて実感する日々でした。

 

●朝日新聞

「ホス狂」招く、カケのわな　手持ちなくても高額の飲み食い　２０代女性、気づけば借金１千万円

https://www.asahi.com/articles/DA3S15586757.html

 

●TBS

「普通ではない交際だった」ホストに貢ぎ風俗の“出稼ぎ”も　ホストを刺した22歳の女が法廷で語った“カネで繋がる恋愛”

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/384867

 

●毎日新聞

乳児遺体遺棄事件　一人で悩まないで　性風俗で働く女性孤立　NPO「風テラス」　無料相談、ラインでも　／大阪

https://mainichi.jp/articles/20230320/ddl/k27/040/179000c

 

マスコミへの対応は配慮と速さが求められ、大変ではありますが、より多くの人に関心が広がり、橋を渡し、誰もが社会の一員として助け合える社会になるよう、一歩ずつ進んでいきたいと思います。

 

 

（風テラス事務局・米盛菜美）