石巻の子どものため、無償の学習支援を続けさせてください。

震災から１２年、石巻の子どもたちの学力は全国最低ランクです。

　放課後こどもクラブBremenは宮城県石巻市の日和山の中腹で民設民営の学童を運営しています。無謀とも思えるほどの質で学童保育運営を続けて今年で１２年目を迎えました。

　我ながら「無謀」と思えます。

　なぜかというと・・不登校傾向のお子さんを含めどのお子さんにも、遊びも学びも含めて、きめ細かに支援し続けているからです。

　Bremen は、年間２８０日程度の通常の放課後児童クラブを開設しています。学校から帰ってくると教員免許を持ったスタッフが学習支援をします。毎日、歩いてこれない地域のお子さんを７つの学校にお迎えに行きます。

　その合間を縫って放課後子ども教室を年間３５回程度実施しています。ほかにも親子野外体験や防災体験、石巻地区こども将棋大会など、子どもに良いと思ったことは何でもしています。

　お子さまのケアーをしているのは、支援員６名　学習の指導者７名　事務２名　送迎２名です。遊びボランティアの高校生も来てくれます。放課後児童支援員は３名　教員６名　認定心理士、保育士、カウンセラー、遊びの自然体験士などの資格を持ったスタッフがおりますし、精神疾患を抱えていながら子どものために誠実に働くものもおります。その他、緊急時に駆けつけてくれる１０指に余る教員免許保持者もいます。これだけの質で学童保育を運営している児童クラブは他にないと自負しています。

　それだけでも十分かと思っておりましたが、２０２０年には石巻の子どもの学力があまりにも低いことに驚き、市民のお子さん対象に「無料の学習支援」まで始めてしまいました。

　「無料の学習支援」を始めたのは、石巻市のあまりの学力の低さからです。残念ながら、石巻市の小学生の学力は震災からの影響を脱することができず全国最低クラス。朝日新聞のデジタル版（https://www.asahi.com/articles/ASQ7X6W43Q7XUNHB002.html）によれば宮城県平均は小学校の算数がワースト、小学校の国語と理科はワースト２の成績でした。

　石巻市の平均を見ますと、その県平均にさえ遠く及ばないのです（「令和３年度　全国学力・学習状況調査結果（概要）」石巻市教育委員会学校教育課〈令和３年５月２７日〉）。https://www.city.ishinomaki.lg.jp/cont/20101500/zennkokutorikumi.pdf

　義務教育終了段階でこんなに差がついたまま社会に立ち向かっていかなければならない石巻市の子どもたちの現状に胸を痛め、２０２０年からは無料の学習支援を始めました。先生の人件費は助成金をいただきながら続けてきました。おかげで、子ども達は勉強をしたいと楽しみに来るようになりました。

　石巻市の学力向上の支援のために、毎週火曜日には石巻中央公民館をお借りして、無償で学習支援を続けてまいりました。土曜日にはBremen 会館で近所の子どもたちを対象に無償で学習支援を行っていました。責任ある教え方をしたいと、退職した教員や塾の先生を配置して実施していましたので、どんどん参加する子ども達が増えてきて、教えてもらうのを楽しみにするようになりました。一度も「勉強しなさい」などとつまらない事は言ったことがありません。

　このように、子どもの居場所でありながら無償の学習支援を続けてまいりました。が、継続できなくなるかもしれない状況に陥りました。補助していただいた助成金が打ち切られたのです。震災復興系の補助金です。無償の教育は緊急性が低いと感じられたのでしょうか？

　素敵な先生方にお願いしていた「無料学習会」も人件費の裏打ちがあってこそ続けてこれました。先様のご都合があってのことと思います。贅沢と思われたのかもしれません。しかし、学習困難なひとりひとりのお子さんに寄り添うには、どうしても必要な対応でした。大手の塾のように一人で２０人もお勉強を教えるようなことはできません。つまづいたお子さんは本当に一人一人に合った対応が必要なのです。

　学習支援の先生には、一コマ２０００円で月に４回来ていただいても２万円の謝金に届きません。無駄に使っているわけではありません。打ち切られてしまいますと、それさえもできなくなります。

　４月５月は、保護者に３０００円の負担増をお願いしましたが、複数の保護者から「会費が払えないから、もう通わせられない」と相談を受けるようになりました。そこで６月からは他の助成金や寄付金をいただきながら頑張ることとして、皆様のご支援に頼む事にいたしました。

丁寧に教えられた子は、高学年になると年下のお子さんに丁寧に勉強を教えます。

保護者にも寄り添って

　Bremen は被災地で活動している民間の放課後児童クラブとして、保護者にも寄り添った運営をしてます。石巻市の公設の放課後児童クラブは午後６時までのところ、Bremenは７時まで、時には８時９時までお預かりすることもあります。勤務先から帰ってこれないときは泊める事さえあります。遠いために来たくても来れない小学校や併設の放課後児童クラブまで車でお迎えもしています。私の息子娘世代のパパやママが心穏やかに働けるように全力で保護者を支えます。

夏休みは朝から子ども達がやって来ます。沢遊びや海にも連れていきます

不平等な社会の在り方は、早くなくなりますように。

　貧富によって、学力に差がつくと自明のように言われます。しかし、それはＳＤＧｓでいう「すべての人に平和と公正を｝に反する事です。同じように生を受けたものは、どのお子さんにも平等にチャンスが与えられるべきものと考えています。石巻市も進めているＳＤＧｓの目標１６には「平和と公正をすべての人に」と謳われています。

　本当にそれを望んでいるなら、どの子にも同じようにチャンスがあってよいと考えています。

学習支援運営費協力のご支援を

　本来、このような活動は、保護者が負担すべきものでしょうか？

　年収１５０万円から３００万円が多いひとり親世帯には、お子さんの学習支援や習い事に割く費用を捻出することはできません。共働きでも年収５００万円程度では、とても苦しいのです。

　児童福祉法には、子ども養育の責任は社会と家庭が責任を負う！と書いてあります。ひとり親家庭が増え、いくら働いても収入が上がらない現状を見ますと、最低の学力保障ぐらいは周りの社会が支えたいと思って無料の学習支援を続けたいと思います。

　週に１回程度の学習支援に来て下さる７名の先生方の学習支援（１コマ２０００円程度、全３０コマ）と毎日の学習支援（宿題支援の先生方）へのご支援をお願いいたします。毎日の学習支援の先生には学習支援に関わる時間分の時給程度（週５時間×３人程度、１万５０００円）、無償の学習支援（週２回、４コマ　週８０００円程度）、毎日の選べる学習・習い事（週１２コマ　週２万４０００円程度）を担当する学習支援の先生方への報酬について１０月から３月までの半年分のご支援と、それぞれお子さんへの教材費（プリントやワークなど）などへのご支援をお願いします。

　現在、２５名のお子様が利用しております。金曜日に「明日もBremenに来る」（土曜日は無料学習会とBremen文庫を開設しています）と宣言して帰る子も。子ども達が大好きなBremenに今後も通ってくることができますように、遊びも勉強も 全力で続けていけますように、ご支援をお願いいたします。このままでは下半期の学習支援は続けることが困難になってしまいます。どうぞよろしくお願いいたします。

来年も桜の花を子ども達といっしょに見に行きたいと思います