「こうやって息子のことをお話するのは初めてなんです」
すでに涙目になりながら、そう言ってお母さんはお話をはじめました。

「以前、友人に話したときに重いって言われたことがあって。
・・・私の話、聞くの苦しくないですか」
申し訳なさそうに、そうおっしゃいます。

 

1歳半の息子さんを亡くされたのは5年前のこと。
それまで言葉にできなかった思いを、ゆっくりとお話されました。
未熟児で生まれ水頭症をわずらいましたが、退院できたこと。
入院中には十分に抱っこしてあげられなかったから
家ではずっと抱っこばっかりしていたこと。

 

そして突然の急変。
5カ月の意識不明の後、息子さんは旅立っていきました。
「この子が本当に望んでいたことを、私はできなかったと思うんです」
絞り出す思いを前に、私はただ見つめることしかできません。

 

「申し訳ないって言葉しか出てこなくて。
・・・いつか、ありがとうって言える日がくるでしょうか」

 

お話するお母さんの肩が震えるのを見ながら
その思いの深さ、痛み、孤独に涙が出ました。

 

お母さんが、息子さんにありがとうと言える日。
その日が来るために、私に何ができるのか。
大きな、そして大切な宿題をいただいた取材となりました。
 

(報告 ぎすじ)

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