『鉄工島FES』誕生の原点に「BUCKLE KÔBÔ」の存在があります。


- 現役の鉄工所の一角を、アーティストが自由に作品を制作できるオープンファクトリーにしたい。-

その発想こそが、モノづくりの祭典『鉄工島FES』 のはじまりでした。

 

「いろんな表現の光でこの島を照らしたい」。今回は『鉄工島FES』の事務局長であり、BUCKLE KÔBÔの発起人である、寺田倉庫の伊藤悠さんにお話をうかがいました。

 

伊藤悠さん@BUCKLE KÔBÔ
撮影:花坊

 

世界で戦えるアーティストを育むために、環境は自分たちでつくる

 

ーまず、BUCKLE KÔBÔを立ち上げたきっかけを教えてください。

 

寺田倉庫が京浜島にある鉄工所の一部を借りるということで、現地を見に行った時に、「ここがアーティストのスタジオだったらいいな」とイメージが湧いて。
というのも、日本の作家さんは、大きな作品をつくるスペースがあまりないんですよ。
国内で売れるものは小品だったりするんですけど、海外の国際的なアートフェア基準だと、ある程度の大きさや内容がないと通用しないんですね。
だけど、日本ではなかなか制作場所がない。「海外と同じレベルで戦えてないな。」という思いがずっとありました。

 

ーそれは実際、伊藤さん自身が海外で体験したことですか?

 

はい。実際、海外のアートフェアに作家と一緒に参加したり、そこで展示されていた巨大な作品を観ていく中で痛感しました。

 

今年の6月にスイスで開催された『Volta Basel2018』. BIEN 作品展示の様子
©island Japan


ー"世界でちゃんと戦えるアーティスト"を生み出していく環境がなかなかない、と。

 

はい。でもそれは、自分たちで変えていくしかない。

今できるとしたら、そこをアーティストのスタジオにして、普段作れないような大きさの作品を、音も気にせず、火も出せて、自由に制作できる環境を作りたいっていう思いが、スタートラインにありました。

 

アーティストが自由に作品を制作できるBUCKLE KÔBÔ. 壁面にはTENGAoneの壁画.
撮影:花坊

 

ー都内という距離感で、制限を設けずにこれだけ大きな作品をつくれる環境は、アーティストにとってありがたいですよね。実際、展示するとしても会場は都内だったりするわけですし。

 

そうなんです。それに関しても、国際的な問題があって。
日本は、スタジオのある地域とギャラリーのある地域とがバラけてしまっているんです。ギャラリーの場所もバラバラな上に、制作場所も都内から離れた場所しかなかったりするので、海外からコレクターやキュレーターの方が来てくださった時も、1日ではとても案内できるような制作環境じゃないんです。  

 

京浜島すぐ隣(対岸100m)に羽田空港があり、飛行機が頭上を飛び交う.
撮影:花坊


なので、羽田空港から行きやすい距離にスタジオがあると、そこに立ち寄ってから都内のギャラリー街にも行けるというのは、国際交流的にも好条件の立地だったんです。 


ー伊藤さんは、世界的視点から日本のアートを成長させるべく、BUCKLE KÔBÔを立ち上げたのですね。


京浜島をブルックリンのような文化発信拠点へ

 

ー音を気にしなくていいところや立地の良さという話が出ましたが、工業地帯における条件の良さはアートにも共通するのですね。

 

そうなんです。同じ「ものづくり」だから工業とアートは共存しやすい。
実際、海外には工業地帯にアーティストが住み始めた事例がいくつもあって。そこから映像制作会社や音楽関係会社ができるなど環境がどんどん変わっていって、文化都市として栄えた歴史はいっぱいあるんです。
ニューヨークだとブルックリン、ロンドンだとイーストサイドとか。
あとアジアでは上海、北京にも798地区とか…

 

ーアジアでも、既にそういったエリアが存在するのですね。

 

そう。アジアの中でも香港、上海、北京は特に進んでいます。けど日本はどんどん取り残されている気がします。
本当は、日本という国は高いポテンシャルを持っていて、クオリティの高いものも作れる国民性だと思うし、ある程度、練られたコンセプトを作ることもできる。だけど実際に作る環境がなかったり、いいところに気づいてもブランドデザインをする人があまりいない、という実態があります。

 

ーつまり、BUCKLE KÔBÔは、京浜島をブルックリンのような文化発信都市にする、第一歩ということですね。

 

そうなんです。だから「BUCKLE KÔBÔ」って名前をつける時も、その湾岸エリアをベルトに見立てて、"BUCKLE=バックル"のように繋いでいくっていう意味があります。

 

ーそういった構想に共感してくださった方々が、クラウドファンディングに参加してくれたのですね。

 

はい。まず200万円という目標を掲げ、BUCKLE KÔBÔがやりたいことや目標を提議してスタートしたところ、本当に新しい出会いや励ましをいただき3ヶ月ほどで達成しました。
協力してくださったあるコレクターさんが「自分も、ブルックリンでのびのび制作する環境を見てきたから、日本にそういった環境がないのは残念すぎる」とお話ししてくださいました。

 

クラウドファンディング協力者を招いたBUCKLE KÔBÔお披露目会.
目標金額の達成後、アーティストと一緒にリノベーションをしてスタジオを作った.
撮影:花坊 

 

BUCKLE KÔBÔ1Fのスタジオスペース
撮影:花坊 

 

第1回『鉄工島FES』にも展示された作品『2021』藤元明 × TENGAone.
撮影:花坊 

 

ここに来ること自体が体験だ

 

スタジオができたら作品の制作や展示だけではなく、映画の上映やミュージックビデオの撮影に使ってもらったりなど、思ってもみなかった利用方法がどんどん広がっていき。
その中で「工場でライブしては面白いんじゃないか」っていうお話を、円城さん(F.I.B JOURNAL/山崎円城)とさせていただいて…

 

BUCKLE KÔBÔの音楽イベント第一弾となったF.I.B JOURNALのライブ
撮影:花坊


初めは音響もない環境で機材を全部持ち込んでくださり、手作りでライブを行ったけど、他では見られないような特別なライブになりました。そこで、「クラブやライブハウスのようにできるわけではないので、逆にここ(BUCKLE KÔBÔ)でしか出来ないライブや制作をつくっていくしかない」と思うようになりました。


ーアートだけでなく映像や音楽が、"ここでしか出来ない"表現をする。BUCKLE KÔBÔの方向性が見えてきた瞬間ですね。

 

はい。「クリエイトする」というのは、アートに限ったことではないから。いろんなタイプの人に使っていただけたらいいんじゃないかなと思います。

 

撮影:花坊

 

ー表現者の皆さんは、実際にここ(BUCKLE KÔBÔ)でライブなどをされて、どんな反応でしたか?

 

「面白かった!」と。あと「お客さん自身も、ここに来ること自体が体験だ」と言ってくださったのが、印象に残っています。
 

BUCKLE KÔBÔでのイベントの様子② PBC LIVE (2016.06.11)

 

BUCKLE KÔBÔでのイベントの様子① 『SCENERY』Installation+Live(2017.05.27)
撮影:花坊

 

「ここに来ること自体が体験だ」
『鉄工島 LIVE vol.3 - 2DRUMS JAM meets Madoki Yamasaki(伊藤隆郎、井上司、山崎円城)
特殊照明:市川平 ダンス:藤平真梨 映像:藤崎了一 (2017.03.12)
撮影:花坊


関わったみんなが元気になるような、

お祭りがしたい

 

ーBUCKLE KÔBÔの立ち上げから今日までを聞かせていただきました。その中で、この『鉄工島FES』への歩みを教えてもらえますか?

 

BUCKLE KÔBÔが出来てから「自分のアトリエでは入らないようなVOCA展の作品をここで描きたい」と、アーティストの幸田千依さんが3ヶ月間の滞在制作をすることになりました。滞在していく中で、鉄工所や島の方たちとも関係性が深まっていったんです。

 

幸田千依さん滞在制作の様子。「滞在中、お菓子を差し入れしてくださったり、寒いだろうとホットカーペットをお持ちくださったりと、島の方々との交流が始まりました」と、伊藤さん.
(上記作品は「VOCA展2017」で大賞となるVOCA賞を受賞)

 

そんな中で、鉄工所の方から「ものづくりをする上では(アーティストも職人も)同じだから」って言ってもらえて。それがまた『鉄工島FES』の着想にもつながっています。

 

ー須田さん(須田鉄工所)も前回のインタビューで同様のことを仰っていましたよね。

(須田眞輝さんインタビュー記事はこちらhttps://readyfor.jp/projects/ironislandfes2018/announcements/85648)

 

そう。そんな感じで島の皆さんと仲良くなり、「楽しんでいただける場をつくりたい」「みんなで何か一緒に作れたらいいな」って思うようになって。

 

『鉄工島FES2018』オープンBBQ(2018.09.06)
撮影中央『鉄工島フェス』公式看板は、京浜島の「北嶋絞製作所」で働くアーティスト・高橋輝雄さんによるもの


それで、京浜島の職人の方々や島で出会ったみなさんと「お祭りをしよう!」って。
それが『鉄工島FES』の原点になっています。

 

ーみんなで"つくる"というのが、元気の源ですね。

 

はい。そこはやはり、”ものづくり”の島ですから。
表現するひとってイキイキしているんですよね。作品を作ってる人も、音楽を奏でる人も、踊っている人も。そういう人たちが発光する光で、この島を照らしたい。

 

「私たちができることは、ニーズを新しく作り、コミュニティへの参加を迷ってるひとたちに手を差し伸べること」
伊藤悠さん@BUCKLE KÔBÔ
撮影:花坊

 

テキスト:多田愛美

 

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今年の鉄工島FESを一緒につくりあげる”クルー”になっていただけるリターンも、引き続き絶賛募集中です!興味がある方はお気軽にご連絡ください!

 

■クラウドファンディングに関するお問い合わせ

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MAIL:info@readyfor.jp

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【STAFF参加】『鉄クルー』メンバー として、鉄工島FESをともにつくろう

鉄工島CREW(略して『鉄クルー』)なる、鉄工島を愛してくださるボランティアを募集します。

 

◉ 決起会BBQご招待
鉄工島(京浜島)にて開催される決起会バーベキューにご招待いたします。10月中旬開催予定。(食事代+1ドリンク代が上記料金に含まれます。)

◉ 事前ロケハン & ミーティングへの参加
事前に実施される鉄工島(京浜島)ロケハンや、オープンミーティングへご参加頂きます。

◉ クルーメンバー登録
事務局よりクルーに向けた連絡をさせていただきます。設営(11月3日)や開催日(11月4日)のサポートに一緒にご参加ください。

◉ スタッフユニホーム
本番日に着用いただくスタッフユニホームを差し上げます。

◉ ご招待チケット <2枚>

◉ お礼のメール