表です。インターネット望遠鏡プロジェクト(ITP)では、ブレラ天文台(ミラノ市)に設置してある望遠鏡が落雷で故障したため、その復旧を目指してクラウドファンディングを実施しています。そのページには書ききれなかったITPにまつわる’あれこれ’を綴ることで、皆様にITPへのご理解と親近感を深めていただきたいと願っています。今回はその第1回目です。

 

ことの発端は、今から10数年前に私の研究室を訪ねて来た知人のグリニッジ出張の土産話から始まりました。その話の中で語られたことの一つが、「英国では研究用の望遠鏡を、時間を決めて教育用に貸し出すことが始まったようです」でした。その話を聞いて思いついたアイデアが、「研究用の望遠鏡は利用予約が詰まっているのでその貴重な時間を一部開放するよりも、教育用のニーズに合う手頃な望遠鏡を緯度と経度の異なる国内外のいろいろな地域に設置し、それをインターネット経由で操作するためのネットワークを教育現場に開放すれば、時差を利用していつでも天体観測できる環境を整えることが出来るだけでなく、その方が教育用にはより有効であろう」でした。

 

これがITP立ち上げの発端ですが、実際に教育現場でITPを活用してもらうためには、インターネット望遠鏡を利用することで24時間リアルタイムで天体観測できる環境を整えるだけでは不十分であり、指導に当たる先生にとってもまた生徒さんたちにとっても、システム自体が使い易いものあることが大切な条件となります。

 

という訳で、「いつでも・どこでも・だれでも」天体観測可能、これがインターネット望遠鏡プロジェクトの目指すところであり、この3つの‘でも’がプロジェクトのキャッチフレーズとなりました。

 

システムが使い易いためには、操作しやすいインターフェイスの開発と、特別な機能のソフトをインストールしなくても、PCやスマホに標準装備されているソフトだけで十分足りるものでなくてはなりません。

 

幸いにしてプロジェクトメンバーの中にIT関係に詳しい人がいましたので、だれでも簡単に使えるインターネット望遠鏡用の操作画面を開発することができました。開発された操作画面の使い易さは、各種のイベントなどでインターネット望遠鏡による天体観測体験に挑戦した小・中学生たちが、すぐに操作法を体得し自分でインターネット望遠鏡を利用して天体観測を始めていることからも推し測ることができます。このページを訪問していただいた皆様にも、ITPのホームページ http://www.kitp.org/)から、インターネット望遠鏡を利用した天体観測に挑戦していただきたいと願っています。

 

使い易い操作画面の開発をソフト面での課題とすれば、いろいろな地域への望遠鏡の設置はハード面での課題といえます。ハード面での苦労話は次回に譲ることにして、その前に下の写真を見てください。これは今年の6月6日の夜、横須賀の望遠鏡に自宅からアクセスして撮った土星の画像ですが、輪が鮮明に写っていることに気付かれたことと思います。望遠鏡で見る土星の輪の美しさは天文フアンにとってはたまらない魅力であり、観望会等でも土星が見たい天体のトップに挙げられる理由となるものです。

 

土星と言えば、イタリアの天文学者カッシーニ(Cassini G. D)を思い出す人も多いかもしれません。彼はレアを含めて土星の4つの衛星を発見しただけでなく、その輪を詳しく観測し隙間の存在(カッシーニの間隙)など多くの重要な発見をしました。この偉大な天文学者の名前に因んでカッシーニと名づけられた土星探査機は、1997年10月15日の打ち上げから20年間に及ぶ任務を終え、昨日(日本時間の2017年9月15日)夜土星の大気に突入して消滅しました。インターネット望遠鏡で撮った土星の輪を見ながら、探査機カッシーニの成し遂げた偉大な業績を称えたいと思います。2015年10月16日記

 

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